■下の写真は、ムラサキカッコウアザミ。アサギマダラの好きな植物である。
この植物がどのような経緯でいつごろ南西諸島に帰化したのかに興味を持っているが、
まだ適切な情報に巡り会えていない。
■今回は「日本帰化植物写真図鑑---Plant invador 600種---
編著 清水矩宏、森田弘彦、廣田伸七。全国農村教育協会」
に載っている記事から引用したい。歴史的なことは記載がないが、
植物自体の記載は充実しており、有用であると思った:
「ムラサキカッコウアザミ[キク科]
Ageratum houstonianum Mill.
(E)blue billy goatweed
熱帯アメリカ原産の一年生草本。暖帯~熱帯に分布し世界的に見られる。
茎は直立し、高さ30~70cm、長い白毛が生える。
葉は対生、枝の上部では互生、葉身は円形~方卵形、円頭、
基部は浅い心臓形、上方の葉では広いくさび形、浅い鋸歯があり、
葉柄とともに葉の両面に毛がある。
枝先に淡紫色ときに白色の頭状花が散房状につき、総苞片はひ針形、
先は尖りほぼ同長、全縁、長毛を散生する。
冠毛は鱗片状で先が総状に裂け、花冠筒よりはるかに短い。
果実は四角柱状、灰褐色でやや光沢があり多数の短い鱗片状の冠毛を持つ。
春に発生し、花期は夏から秋。
南西諸島に帰化し、いたるところに発生する。
カッコウアザミより頭状花が大きくて全草が香りがよく、
花が美しいため花卉として栽培されるが、熱帯・亜熱帯では
カッコウアザミと同様に雑草になっている。
[文献] 日本原色帰化図鑑。3図。北隆館。1972。長田武正。
1987~1997世界の雑草。I 合弁花類。(II 離弁花類。III 単子葉類)。
竹松哲夫。一前宣正。全国農村教育協会。
[分布情報]静岡県産帰化植物目録。杉野孝雄。1976。私刊。p399。
改訂三重県帰化植物誌。ムツミ企画。1997。太田久次。
■本ブログの過去の紫カッコウアザミに関する記事を並べておく:
●07.08.02「07年は5月3日にアサギマダラのマーキング500頭
目に標識。奄美諸島では前年の約4分の1の個体数(奄美大島にて。
SRS500。ムラサキカッコウアザミ)
http://srs21.blog59.fc2.com/blog-entry-1094.html●07.07/18「明るい陽射しの中でムラサキカッコウアザミを訪れた
アサギマダラの雄(奄美大島。07年5月4日)」
http://srs21.blog59.fc2.com/blog-entry-1014.html●07.07/09「ムラサキカッコウアザミの群落で
吸蜜するアサギマダラは美しい(奄美大島。07年5月2日)」
http://srs21.blog59.fc2.com/blog-entry-984.html●07.06/08「07年5月2日の奄美大島ではSRS437-489をマーキング
・・・誘引の主体はムラサキカッコウアザミ」
http://srs21.blog59.fc2.com/blog-entry-885.html●07.05/19「5月にも住用町のアサギマダラは
ムラサキカッコウアザミに飛来する(奄美大島にて)」
http://srs21.blog59.fc2.com/blog-entry-810.html●07.05/19「ムラサキカッコウアザミはアゲラタムとも呼ばれて
南西諸島で野生化している(奄美大島にて。ムラサキカッコウアザミNo.1)」
http://srs21.blog59.fc2.com/blog-entry-809.html●07.04/03「アサギマダラが集まるムラサキカッコウアザミの
大群落もここが最後か(奄美大島、07年3月)」
http://srs21.blog59.fc2.com/blog-entry-533.html●07.04/03「ムラサキカッコウアザミで吸蜜するアサギマダラ
(奄美大島、07年3月)」
http://srs21.blog59.fc2.com/blog-entry-532.html●07.03/22「大国林道のムラサキカッコウアザミは減っていた
(アサギマダラの吸蜜植物)」
http://srs21.blog59.fc2.com/blog-entry-481.html■SRS研究所の「3Dアサギマダラの世界」での
ムラサキカッコウアザミの記事は以下の通り:
Asagi54■ムラサキカッコウアザミでのアサギマダラの吸蜜(2)(奄美大島4月)
http://www.srs21.com/3d_insect/asagi_pages/Asagi-054-murasakikakkouazami.htmAsagi9■ムラサキカッコウアザミで吸蜜する奄美のアサギマダラ
http://www.srs21.com/3d_insect/asagi_pages/asagi-009-murasakikakkouazami%20no%20hana.htm
[070504]鹿児島県奄美市住用町。
■キク科アゲラタム属ムラサキカッコウアザミ。学名Ageratum houstonianum Mill.。英名blue billy goatweed
■本ブログの総合的な画像目次や、ブログ内容を地域毎・テーマ毎にまとめた画像目次を下記のHPから見ることができます。
●
SRS研究所の公式HP<参考HP>
●
奄美大島の自然旅行体験(SRS研究所) ●
姫島のアサギマダラを守る会の紹介●
3Dアサギマダラの世界(SRS)●
SRSアサギマダラ生態図鑑●
2007年アサギマダラ移動調査記録(SRS)■ランキングのために次の2つをそれぞれ一押ししていただければ幸いです:
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■写真は、奄美大島の住用町でマーキングした渡りをする蝶アサギマダラ。
標識はSRS500。これは07年の500番目の個体であることを意味する。
背景に見える薄紫の花の群落はアサギマダラの好きなムラサキカッコウアザミ。
5月3日のこの日は、SRS490~512の合計23頭に標識をした。
前年の06年には、同じに5月3日に奄美大島で
SRS1781~1910の合計130頭に標識をした。
年頭から同日までの比率で言うと、昨年の4分の1近くであることが分かる。
(これらの合計数は、両年とも、奄美大島と喜界島での個体数の合計である)。
すなわち、07年の南西諸島では、前年より数分の一のアサギマダラの個体数なのだ。
■07年5月3日のブログ記事は以下を参照のこと:
07.06/08●「住用町のアサギマダラのポイントは
豊かな緑が夕陽に映えていた
(奄美大島。07年5月3日。マーキングはSRS490-512)」
http://srs21.blog59.fc2.com/blog-entry-881.html
[070503]鹿児島県奄美市住用町。奄美大島。
■この記事に関する筆者(栗田)への取材は、07年7月6日朝に龍郷町で行われました。■本ブログの総合的な画像目次や、ブログ内容を地域毎・テーマ毎にまとめた画像目次を下記のHPから見ることができます。
●
SRS研究所の公式HP<参考HP>
●
奄美大島の自然旅行体験(SRS研究所) ●
姫島のアサギマダラを守る会の紹介●
3Dアサギマダラの世界(SRS)●
SRSアサギマダラ生態図鑑●
2006年アサギマダラ移動調査記録(SRS)●
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■「大島新聞」(鹿児島県奄美市名瀬小浜町21-4。電話0997-53-6333、FAX53-6332。大島新聞社発行)の2007年7月7日(日刊)の第一面の記事として、京都大学CEOプログラムと龍郷町主催の講演会で、筆者が07年7月5日に講演をした内容を含めて、7月6日に取材を受けて、記事が書かれました。
以下、その内容を引用して紹介します。
■ 「アサギマダラ群舞地・大分県姫島
住民ボランティアで保護活動
草取りや砂入れ 全国から観察者。島起こしに」
渡りをするチョウ・アサギマダラは、春には南西諸島から本州へと北上するが、大分県国東半島の北東の海上に位置する姫島は個体数の多さから「群舞地」として知られている。アサギマダラが群がるムラサキ科の植物・スナビキソウが群落しているためで、住民がボランティアで保護活動に取り組んでいる。(7面参照)
龍郷町であったシンポジウムで講演した群馬パース大学教授の栗田昌裕さん=医学博士=によると、アサギマダラはAP(ピロリジジンアルカロイド)を多く含む植物に集まる性質があるが、スナビキソウはその植物の一つ。姫島ではスナビキソウが自生する海岸に、春になるとたくさんのチョウが集まる。
当初、地元の人々は「良くないことが起きる兆候では」ととらえていたが、最近になりアサギマダラと分かった。
姫島での個体数は千頭単位で確認されている。栗田さんは2005年春に訪れた際、数百頭と大量にマーキング(翅に標識)するなど多く集まる場所として知られている。その環境を保護していこうと組織された守る会は、中城信三郎さんを会長に地元の有志17人で発足。事務長の木野村孝一さんは今回のシンポにあわせて、栗田さんとともに奄美を訪れた。
若い時からアサギマダラが海を渡っていく事実を海上の船の上で観察してきた中城会長は、スナビキソウ群落に特に集まることを知り、そこを休息地として保護。
これに協力した人々で発足した守る会は、草取りなどが集まりやすい環境づくりに取り組んでいる。
04年の秋の台風により、海岸のスナビキソウ群落の場所が大きく破壊(高波による砂の流出)されたときには、生育地の埋め戻し作業を実施、大量の土砂を用いて修復した。海岸だけでなく、内陸の土地を畑に造成し、そこにスナビキソウを移植する取り組みも。スナビキソウは砂に根を深く張る性質があるが、その根を分断したところ、それぞれから根が出ることも分かり、植栽が大規模に行われた。
全国で行われているアサギマダラのマーキング報告によると、今年の北上では個体数が少ない傾向にある。それでも栗田さんは姫島で2千数百頭もマーキング。姫島から中部日本を中心に全国へ移動しており、現在のところ2頭が再捕獲(四国、東北から島根[栗田注:四国と島根にて再捕獲])された。
守る会の活動により、生息環境が保護されている姫島では春になると全国から観察者が訪れる。栗田さんは「多くのアサギマダラを一カ所で観察できる場所として姫島は日本一。その観察を目的に全国からたくさんの人が訪れており、アサギマダラは島おこしにつながっている」と話す。村行政も毎年5月にある「カレイ祭り」と関連させ、バスで移動しアサギマダラを観察したりマーキングするイベントを企画している。
「アサギマダラが群舞状態で大量に観察できる環境は、他では見られない価値あるものとして注目を集め、全国から人々が訪れ観光につながっている。その保護に地元の人々が取り組んだのが大きい」と栗田さんは語り、個体数が減少しているという奄美について「秋の渡りでは、奄美ではヤマヒヨドリバナに飛来するが、雑草として草刈りの対象となっている。11月下旬まで奄美に渡ることから、そのころまで草刈りはひかえ1ヶ月ずらすなど、渡りの時期への配慮をしてほしい」と求めている。
<写真の解説>
大分県・姫島の取り組みを報告した栗田さん(龍郷町シンポでの講演)↓

[070707]
■この記事に関する筆者(栗田)への取材は、07年7月6日朝に龍郷町で行われました。■本ブログの総合的な画像目次や、ブログ内容を地域毎・テーマ毎にまとめた画像目次を下記のHPから見ることができます。
●
SRS研究所の公式HP<参考HP>
●
奄美大島の自然旅行体験(SRS研究所) ●
姫島のアサギマダラを守る会の紹介●
3Dアサギマダラの世界(SRS)●
SRSアサギマダラ生態図鑑●
2006年アサギマダラ移動調査記録(SRS)●
2007年アサギマダラ移動調査記録(SRS)■ランキングのために次の2つをそれぞれ一押ししていただければ幸いです:
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■前項の大島新聞の記事は、
京都大学のCEOプログラムと龍郷町の主催による
アサギマダラのシンポジウムがあった翌日に、
龍郷町の公民館で行われた。
この公民館は、龍郷町の町役場のすぐ向かいに位置しており、
前日のシンポジウムの開催場所である「りゅうゆう館」からも
300m程度の位置にある。
幸い日射しの爽やかな朝で、取材の後、
湯湾岳に行くことに期待が持てた朝であった。

[070710]鹿児島県大島郡龍郷町、町中央公民館。奄美大島。
■この記事に関する筆者(栗田)への取材は、07年7月6日朝に龍郷町で行われました。■本ブログの総合的な画像目次や、ブログ内容を地域毎・テーマ毎にまとめた画像目次を下記のHPから見ることができます。
●
SRS研究所の公式HP<参考HP>
●
奄美大島の自然旅行体験(SRS研究所) ●
姫島のアサギマダラを守る会の紹介●
3Dアサギマダラの世界(SRS)●
SRSアサギマダラ生態図鑑●
2006年アサギマダラ移動調査記録(SRS)●
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■「大島新聞」(鹿児島県奄美市名瀬小浜町21-4。電話0997-53-6333、FAX53-6332。大島新聞社発行)の第一面のコラム「奄美春秋」にて、2007年7月10日(日刊)、筆者が07年7月5日に講演をした内容を含めて、記事が書かれました。以下、その内容を引用して紹介します。
■「奄美春秋
この日の会場は小中学生の姿が目立った。渡りをするチョウ・アサギマダラをテーマにしたシンポジウムが龍郷町で開かれた。最先端の調査研究を進める大学教授・研究員が講師を務めた。
◆同町では今年度から正規の授業として環境教育が進められている。その一環のシンポであり、聴講者は児童生徒や教員など学校関係者が大半を占めたが、地域づくりに関するヒントも盛り込まれた内容だった。
◆講師の一人、栗田昌裕さんは多彩な方だ。内科医、群馬パース大学教授、SRS研究所長、東京大学医学部付属病院医師の肩書きをもつ。医学博士、薬学博士であり、座禅、ヨガ、気功、東洋医学に精通している。栗田式能力開発法の提唱でもおなじみ。
◆その一部として速読法、記憶法などを指導し、受講者は5万人を超えるほど幅広い支持を得ている。活躍ぶりを記すとこの欄が埋まるほどだが、アサギマダラの研究者としても知られる。移動に関心をもち、全国各地で観察しており、奄美にも何度も訪れている。
◆栗田さんは、大分県姫島(瀬戸内海西端の離島)での住民による保護活動にもかかわる。姫島の「アサギマダラを守る会」顧問だ。姫島の海岸には、アサギマダラが好む希少な植物・スナビキソウが自生している。その群落が保たれているため、毎年多くのアサギマダラが飛来する。
◆草取りや砂入れなど、守る会の地道な作業によりスナビキソウは保護されている。他の地域では観察できない群舞の様子を見ようと飛来時期には全国から大勢の人が姫島に訪れる。自然の価値に気づく。そこから地域おこしが始まっている」。

[070710]
■この記事に関する筆者(栗田)への取材は、07年7月6日朝に龍郷町で行われました。■本ブログの総合的な画像目次や、ブログ内容を地域毎・テーマ毎にまとめた画像目次を下記のHPから見ることができます。
●
SRS研究所の公式HP<参考HP>
●
奄美大島の自然旅行体験(SRS研究所) ●
姫島のアサギマダラを守る会の紹介●
3Dアサギマダラの世界(SRS)●
SRSアサギマダラ生態図鑑●
2006年アサギマダラ移動調査記録(SRS)●
2007年アサギマダラ移動調査記録(SRS)■ランキングのために次の2つをそれぞれ一押ししていただければ幸いです:
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