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アサギマダラと自然のよろこび+仏像の写真・画像 【SRS研究所】

アサギマダラは渡りをする蝶、旅をする蝶。その生態と移動調査(マーキング)と国内外の四季の自然を画像で紹介。地球はよろこびの惑星。有限の惑星の無限の美しさと素晴らしさに共鳴・共感しませんか。植物図鑑、昆虫図鑑、動物図鑑も兼用。仏像写真の特殊処理画像も紹介。

大島新聞の秋のアサギマダラの取材記事:「アサギマダラ 奄美から南下の例なし 群馬パース大の栗田教授調査 本州に長期残留 渡りで2グループ」[071104。奄美大島]

■07年11月1-2日と11月8-9日に、奄美大島にアサギマダラの調査に行きました。11月2日に、大島新聞の取材を受けました。以下、11月4日に掲載された筆者に係わる記事内容の全文を引用します。この記事と併せて、「渡りの習性学ぶ 龍郷で子供博士講座 アサギマダラに関心」という記事も掲載されました(内容省略)。
■タイトル「アサギマダラ 奄美から南下の例なし」
■サブタイトル「群馬パース大の栗田教授調査 本州に長期残留 渡りで2グループ」
■序文 
「渡りをするチョウ・アサギマダラの南下にあわせて、群馬パース大学教授の栗田昌裕さん=医学博士・薬学博士=がマーキング(翅(はね)に標識)調査で奄美を訪れている。奄美大島では福島県や愛知県などから飛来した個体が再捕獲されたが、奄美大島からの南下の証明は一例もなく、島内での移動も不明な点が多い。栗田さんは、春と秋に日本列島を移動する珍しい昆虫に多くの人々が関心を持ち、マーキングへの参加を呼びかけている」。
■本文
「毎年一人で全国で2万頭もマーキングを行い、個体群の推計や生態調査を進める栗田さんは、今月1、2日に奄美大島で、3、4日は喜界島での調査を予定している。
 奄美大島では北部の龍郷町で初日に40頭、2日目は71頭にマーキング(奄美大島での標識記号はSRA)。このうち再捕獲は1頭あり、愛知県渥美半島でマーキングされた個体で、南西方向に約1003キロの距離を移動したことになる。今年の南下(本州からの)で、これまでに奄美大島で再捕獲されたのは四例。最初の確認は10月16日にあり、栗田さんが福島県グランデコスキー場でマーキングしたアサギマダラが58日間かけて福島から奄美まで1446キロ移動した。
 栗田さんは『主にヤマヒヨドリバナを吸蜜植物としている。ヤマヒヨドリバナの開花株数は過去3年の中では一番多く、状態がいい。アサギマダラを迎えるという意味では、奄美大島はこれからの季節が楽しみ』としており、ヤマヒヨドリバナを草刈りの対象とせず保全を求めている。
 南下のスタート地点は例年より早かったものの、10月下旬でも愛知県など中部地方で再捕獲されるなど、本州での滞在が長引いている。また南下せずに東へ移動するケース(高知から徳島へ、愛知・長野から静岡へ)もみられる。栗田さんは「寒いところから暖かいところへという移動の図式が崩れつつあり。気温の高さが影響しており、南下が遅れ長引く可能性がある」と指摘する。
 本州からの南下は長崎(五島列島でも再捕獲)、宮崎、熊本、それに奄美諸島で確認されているが、11月2日には県本土(指宿市)でも福島から85日間かけて1137キロ移動したものが再捕獲された。
 栗田さんによると、奄美への渡りでは①愛知から10日前後でいっきに南下する(早い)②屋久島経由で12月ごろまでかかる(遅い)-二つのグループに分かれるという。他の地域でマーキングされたものが奄美で再捕獲されることで渡りのルートが明らかになるが、奄美からの南下は一例も証明されていない。
 喜界島から沖縄への南下は確認されているものの、奄美大島からの南下は謎となっている。また奄美大島内の移動も笠利-龍郷間の移動は確認されているが、北部から南部への移動は再捕獲例がない。喜界島から奄美大島への移動は、奄美大島北部で二例確認されている。栗田さんは、「奄美大島北部ではこれまで何千頭もマーキングしているが、その南下を示す再捕獲例がない。奄美からの南下ルートを明らかにするためにも、奄美の多くの人々がマーキングに関心を持ってほしい」と話す。
 日本各地で行われているアサギマダラのマーキングにより、今年の南下で見られるように気温とのかかわりが推測できる。アサギマダラは人間の営みや温暖化など地球の変化と連動しており、マーキングは自然に目を向けるチャンスとなる。
■<写真> アサギマダラのマーキング調査を行った栗田教授 
大島新聞記事071107
[071107] 鹿児島県奄美大島龍郷町にて取材。
■タテハチョウ科マダラチョウ亜科(以前はマダラチョウ科とすることもあった)アサギマダラ属アサギマダラ。学名Parantica sita 。英名Chestnut Tiger。
■本ブログの総合的な画像目次や、ブログ内容を地域毎・テーマ毎にまとめた画像目次を下記のHPから見ることができます。
SRS研究所の公式HP
<参考HP>
奄美大島の自然旅行体験(SRS研究所)
3Dアサギマダラの世界(SRS)
SRSアサギマダラ生態図鑑
2007年アサギマダラ移動調査記録(SRS)
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大島新聞でのアサギマダラ記事:「龍郷町・環境教育シンポジウム 下 旅するチョウ アサギマダラから見た奄美 [070705。奄美大島]

■07年7月5日に、奄美大島の龍郷町で開催されたアサギマダラに関するシンポジウムに関する記事が7月23日に、大島新聞に掲載されました。その全文を引用します。
 この記事は上下の連載からなり、「上」は筆者に関する内容でした。
■タイトル
 「「旅するチョウ アサギマダラから見た奄美
   龍郷町・環境教育シンポジウム 下」
■サブタイトル 藤崎教授「謎解きは保護に」
        矢原教授「共通感覚持つ」
■ チョウ・アサギマダラを通し、身近な自然を見つめ直す環境教育シンポジウム(龍郷町・京都大学21世紀COEプログラム共催)。登壇した京都大学大学院農学研究科・藤崎教憲治教授(59)、九州大学理学研究院・矢原徹一教授(53)の講演を振り返る。
 藤崎教授は「アサギマダラの渡りの謎を解く」をテーマに講演。渡りの謎について、①移動の方向性の決定②移動の適応性③移動する理由-の3点を挙げ回答した。
 アサギマダラの移動の方向性は詳しい研究がされていないため、類似の渡りをするオオカバマダラを例に紹介。アサギマダラも▽太陽をコンパスとして方向付けする▽光周期(明期と暗期の周期)に頼った体内時計で、季節ごとに移動の方向性を決める-の2点が考えられるとした。
 移動の適応については、翅(はね)の防水性に注目。アサギマダラは、翅に黒、褐色、青みがかった透明部分を持つ。極めて防水性が高いのは、表面に独特な立体構造がある透明部分。藤崎教授は防水性が、「渡りの途中の降雨、海上での休息になる」とみている。
 移動する理由は、避寒・避暑によるものと判断。「アサギマダラの生態や行動の謎を解くことは保護にも役立つ」とまとめた。
  ◇      ◇
■「アサギマダラ累は、なぜ蜜(みつ)が少ない小さな花のヒヨドリバナ類」を好むのか」-。矢原教授は、花と昆虫の関係について質問を投げ掛けた。
 理由はアサギマダラ類が、ヒヨドリ花の蜜にある有毒成分・ピロリディン・アルカロイドを集める習性があるためと説明。雄は性フェロモンを作る際、有毒成分を利用するという。
 続いて「なぜ花を作るのか」という問いについて、多くの植物は、他の生物に花や草を食べられないよう毒を作って体を守っていると答えた。
 生き物と人との共通点については、好き・嫌いの感覚が共通と指摘。「人は、昆虫や動物の祖先から受け継いだ感覚を持つ」と話した。
 たとえば、人がイモムシなどを見て嫌悪感を抱くように、昆虫も毒々しい色や目玉模様は嫌いらしい。人にとって安らぎの緑は動物には隠れ家で安心できるものなど共通点が見えてくる。
 「感覚に頼らず生き物を知ることで受け取れるものがたくさんある」。矢原教授は、生き物からのメッセージに耳を傾けるよう勧めた。 
■ <記事での画像の解説>  アサギマダラの翅は超防水性!
    水との接触角は実に165度ある!
    テフロン(人間が作った最高の防水性の物質)でも100-110度に過ぎない
大島新聞記事 シンポ下
 [070705] 鹿児島県奄美大島龍郷町にて。
■タテハチョウ科マダラチョウ亜科(以前はマダラチョウ科とすることもあった)アサギマダラ属アサギマダラ。学名Parantica sita 。英名Chestnut Tiger。
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SRS研究所の公式HP
<参考HP>
奄美大島の自然旅行体験(SRS研究所)
3Dアサギマダラの世界(SRS)
SRSアサギマダラ生態図鑑
2007年アサギマダラ移動調査記録(SRS)
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