■08年9月1日(月曜日)は、08年のグランデコスキー場での
アサギマダラのマーキングの27日目でした。
SRS12763からSRS13600までの
838頭を標識することができました。
グランデコの合計では10274頭となり、
1万頭を超えることができました。
[080902] 福島県耶麻郡北塩原村桧原荒砂沢山 グランデコスキー場。デコ平。
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■本日は晴れときどき曇りという天候で、
風も霧もない旅立ちに適した日でした。
■朝7時代から、徒歩で山の斜面を上がっていくと、
次々と南方に移動するアサギマダラに出会えました。
旅立ちの現場を見ることができたのです。
方向は方位計で見ると、ほぼ正確に南に向かっています。
(これはアサギマダラが方位を把握しているからという
わけではなく、ゲレンデが南向きの斜面に開けているためである
かもしれません)。
いずれの個体もタオル回しに鋭敏に反応し、
SRS12763から、SRS12774までは
主としてタオルキャッチで捕獲し、標識しました。
■旅立ちをするアサギマダラの特徴は、
1)タオル回しに反応すること、
2)互いにチェイスをすること。
3)ネットや人の回りを飛び回るストーカー行為をすること、
などです。
これらの行為は成熟したアサギマダラの特徴とも言えます。
(これにさらに、地面の上を低空飛行することなども加えられます)。
■旅立ちに好適な気象条件は、風がなく、
霧のない見通しのよい気候の朝では
ないかと思われます。
今朝はその条件をよく満たしていました。
■アサギマダラは風に乗って旅をするのではないか、
と漠然と考えている人に出会うことがありますが、
筆者は、むしろ風のない日に、自力で飛んでいくのが
基本ではないかと思っています。
■陸上での旅をする際の飛び方は一通りではなく、
梢の上を飛んでいくものもあり、
草原から高く飛び上がっていくこともあり、
地面に比較的近いところを進んでいくものもあります。
■ネジバナで吸蜜するアサギマダラを撮影しました。
大変珍しい例ではないかと思います。
■本日標識した838頭のうち雌は104頭で、比率は12.4%。
雌比率は中間的な値と言えます。
現場では雌が多い印象を受けました。
■小さい個体は33頭で、3.9%でした。
(小さい個体とは、油性ペン「マッキー」の
キャップの長さよりも前翅長が短い個体のこと)。
■病気の個体はSRS13427でした。
■「中古」個体は2例で、SRS13084♂、13231♂。
「古」個体はありませんでした。
「中古+古」を合わせて2例で、割合は0.2%でした。
■ヘアペンシルを出した♂個体はSRS13254。
これは今年の夏で初めての左右両方が出た個体でした
(ただし、出方に左右差があり、やはり正常な状態ではないと
考えられました)。
■翅に変形のある個体はSRS12798、12816♂、
12848♂、12996♂、13065♀、13210の6例
で、480例中の0.4%)で多くはありませんでした。
■本日の838例のうち、
前日の8月31日の標識のある個体の再捕獲は8例でした。
前日は480例に標識をしましたから、
480×838/8=50280頭(=約5万頭余)となります。
以下には、長期的に意味のあると思われる推定をしましょう。
■標識日を日付順にA、B、C、・・・とすると、各日の分の再捕獲は
A3、B5、C2、D3、E4、F7、G6、H6、I0、
J4、K7、L1、M5、N0、O8、P0、Q1、R0、
S7、T10、U11、V9、W8、X8、Y8
となり、その合計は
3+5+2+3+4+7+6+6+0
+4+7+1+5+0+8+0+1+0
+7+10+11+9+8+8+8
=123例です。
筆者の標識した個体は累積で昨日までに9436例ですから、推定値は
9436×838/123=64276(頭)[=約6万頭余]
となります。すなわち、
前日には約6万頭前後のアサギマダラが
「ゲレンデ周辺(見えないところも含めた仮想領域)」にいたと推定されます。
■838頭のうち、既標識の個体は123例でしたから、
標識率は14.7%(約15%)です。
■当日筆者が放蝶した個体の自己再捕獲は7頭でした。
■筆者以外の人が標識した個体の再捕獲は26例でした。
■白い部分が多い個体(白い部分の斑紋模様が派手に見える個体)
は減ったように見えています。例としては、
SRS12827♂、12970♂、13105♂、13125♂、
13167♂、13217♂、13331♂、13408♀(注目)、
13460♂、13498♂、など。
■鱗粉のある場所の全体が普通より黒っぽい個体(黒化個体)の例は、
29例記録されました(3.5%)。
参考:対照となる標準的な個体はSRS12819♂です。
■福島県安達太良山で放蝶されたアサギマダラを再捕獲しました。
「あだたら HK66 8/14」がその個体で、
「SRS13557 デコ 9/1」と書いて放蝶しました。
■本日は、筆者やネットの回りを飛び回る行動
(筆者がストーカーと呼ぶ行動)がよく見られました。
●SRS12774♂は寄って来て、
ストーカー飛翔をしました。
飛ぶ様子が撮影されています。これは「小さい個体」の例です。
●SRS12775♂もストーカー飛翔の例です。
●SRS12776♂はやや小さい個体で、
ストーカー飛翔をした例です。
●SRS12779♂もストーカー飛翔個体。
●SRS12781♂、12782♂も同上。
●SRS12784はタオルキャッチをした例。
●SRS12785はストーカー飛翔個体。
●SRS12788、12789はタオルキャッチをした例。
●SRS13118は手に止まった例。画像あり。
■8月下旬までは、梅雨時のような天候に遮られて、
アサギマダラの移動もままならぬものがあったと推測されます。
これから天候が改善する日が到来すれば、
本日のように次々と渡りをしていくことでしょう。
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■タテハチョウ科マダラチョウ亜科(以前はマダラチョウ科とすることもあった)アサギマダラ属アサギマダラ。学名Parantica sita 。英名Chestnut Tiger。
■本ブログの総合的な画像目次や、ブログ内容を地域毎・テーマ毎にまとめた画像目次を下記のHPから見ることができます。
●
SRS研究所の公式HP<参考HP>
●
グランデコ・デコ平・裏磐梯でのアサギマダラ・自然旅行体験(SRS研究所)●
3Dアサギマダラの世界(SRS)●
SRSアサギマダラ生態図鑑●
2008年アサギマダラ移動調査記録(SRS)■ランキングのために次の2つをそれぞれ一押ししていただければ幸いです:
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■08年8月31日(日曜日)は、08年のグランデコスキー場での
アサギマダラのマーキングの27日目でした。
SRS12283からSRS12762までの
480頭を標識することができました。
[080831] 福島県耶麻郡北塩原村桧原荒砂沢山 グランデコスキー場。デコ平。
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■全国的には大変な豪雨による被害が出ており、
福島県にも大雨が予想されていた一日でした。
福島県下では大雨による土砂被害が出ています。
そんな異常気象の中でも、
アサギマダラたちはけなげに活動して、
グランデコを舞台に、
成熟と移動のストーリーをつむぎ出しています。
■本日は起きたときは磐梯山に重層的な純白の雲がかかっており、
美しさに感動したのですが、朝食の間に雨が降り始めてしまいました。
■雨が弱まるまで時間を費やしましたが、
雨が少し弱まりましたので、
ともかくもゲレンデに行こうと、上がっていくと、
雨は降り続いていましたが、細かい雨で、
アサギマダラが高い空で舞い始めていました。
■ヨツバヒヨドリにはほとんど訪れていませんが、
コシアブラ(樹木)の花には数十匹が
ふわふわと舞ったり、止まって吸蜜したりしていました。
雨の降った後や雨が降っているときなどで、
ヨツバヒヨドリが吸蜜に向いていないときには、
コシアブラの方に人気があるようです。
集まっているアサギマダラの雄雌に
特徴があるかもしれないと思い、
5頭捕獲してみましたが、いずれも雄でした。
「特に雌がコシアブラを好む」といったことはないようです。
■やがて、雨が止み、ヨツバヒヨドリにもぽつぽつと
アサギマダラが寄って来るようになりました。
このときに、タオルを回して見ると、
全部ではありませんが、状況によって
タオルに反応する個体がありました。
通常、グランデコではタオル回しには反応しないので、
タオルキャッチをすることはありませんが、
渡りの時期の頃にはある程度成熟していますので、
タオル回しに反応するようになっているようです。
■グランデコで初めてリスをみかけました。
コシアブラの木を観察していたら、
不思議な鳴き声が聞こえ、
直後にその横にある山毛欅(ブナ)の幹を上っていきました。
途中で、止まったり、振り返ったりしたので、
たくさん写真を撮影することができました。
おそらく山毛欅の幹の上の方に住んでいるのでしょう。
■本日標識した480頭のうち雌は8頭で、比率は1.7%。
雌比率は前日よりさらに下がり、
この夏でもっとも低い割合でした。
■小さい個体は32頭で、6.7%であり、
相変わらず多い印象でした。
■病気の個体はありませんでした。
■「中古」個体は2例で、SRS12473♂、12575♂。
「古」個体はありませんでした。
「中古+古」を合わせて2例で、割合は0.4%でした。
■ヘアペンシルを出した♂個体はありませんでした。
■翅に変形のある個体はSRS12468、12678の2例
で、480例中の0.4%)で多くはありませんでした。
■本日の480例のうち、
前日の8月30日の標識のある個体の再捕獲は7例でした。
その日は前日は407例に標識をしましたから、
407×480/7=27909頭(=約3万頭弱)となります。
頭数が減った可能性を示唆します。
以下には、長期的に意味のあると思われる推定をしましょう。
■標識日を日付順にA、B、C、・・・とすると、各日の分の再捕獲は
A1、B0、C1、D4、E1、F3、G3、H2、I1、
J1、K3、L0、M6、N0、O2、P0、Q0、R0、
S7、T11、U6、V9、W3、X7
となり、その合計は
1+0+1+4+1+3+3+2+1
+1+3+0+6+0+2+0+0+0
+7+11+6+9+3+7
=16+12+43
=71例です。
筆者の標識した個体は累積で昨日までに8956例ですから、推定値は
8956×480/71=60547(頭)[=約6万頭]
となります。すなわち、
前日までには約6万頭程度のアサギマダラが
「ゲレンデ周辺(見えないところも含めた仮想領域)」にいたと推定されます。
■標識数480頭に対して、既標識個体は71頭ですので、
標識率は14.8%(約15%)でした。
■当日筆者が放蝶した個体の自己再捕獲は0頭でした。
■筆者以外の人が標識した個体の再捕獲は11例でした。
■白い部分が多い個体(白い部分の斑紋模様が派手に見える個体)
は減ったように見えています。例としては、
SRS12529♂、12572♂など。
■鱗粉のある場所の全体が普通より黒っぽい個体(黒化個体)の例は、
SRS12495(典型例)などで、28例記録されました
(比較の対照となる個体はSRS12402など)。
■小さい個体は32例ありました(小さい個体とは、
油性ペン「マッキー」のキャップの長さよりも前翅長が短い個体のこと)。
■茶色が非常に印象的な個体を見ました(SRS12623)。
これは赤でも黒でもなく、系統がやや異なる個体に見えました。
■前日、標識中に筆者やネットに寄って来た個体はありませんでしたが、
本日は、天候不良があった割に、寄って来る個体が目につきました。
SRS12324は、小さい個体ですが、
「ストーカー」のように周囲を飛び回りました。
一般に、このような行動をするのは、新鮮で
大きさは標準かやや大きい個体がほとんどですが、
SRS12324は珍しい例と言えます。
SRS12327もストーカーのように飛び回りました。
これはネットで捕獲して標識しました。
SRS12404も同様に、ストーカーのように飛びましたが、
ネットで捕獲し、標識しました。
このようなストーカー個体は、8月の下旬になると見られるものですが、
今年はその発現が5日間くらいは遅くなりました。
■昨日(8月30日)は、「自己再捕獲の頻度を見ていると、
再捕獲の頭数が少ないので、
グランデコにいたかなりの数のアサギマダラが、
すでに移動したかもしれない、と感じ始めました」と述べましたが、
本日も同様に感じました。
特に、アサギマダラ観察会で標識された個体がかなりあるのですが、
その再捕獲が非常に少なくなったのを見ると、
それらの多くはすでに南方に渡ったことを示唆しているように感じます。
■SRS12325やSRS12457は、
コシアブラで吸蜜していた個体ですが、
吸蜜の様子が撮影されています。
■SRS12411やSRS12497は、
アザミの花で吸蜜する様子が撮影されています。
アザミはアサギマダラの好きな植物ですが、
今年はこの日に初めてアザミで吸蜜しているのが目撃されました。
これはアザミのゲレンデでの開花が例年とり遅れているからです。
グランデコには複数のアザミがありますが、
優勢なものはトネアザミと言われています。
■ゲレンデや標高1000mあたりでは、
下山の頃にもなると秋の虫がたくさん鳴き始めています。
今日は邯鄲(カンタン)の声を聞いたように思います。
8月の下旬の始め頃までは、
日中はひっきりなしにウグイスやホトトギスが鳴いていますが、
23日以後は、ウグイスもホトトギスの声もぱったり聞かなくなりました。
そのかわり、チョッチョッ(またはチッチッ)と鳴く小鳥が増えています。
ギャーギャーと下品な鳴き方をする鳥もいます。カラスもよく見ます。
植物も、それを含む他の生物たちの変化も、
季節の推移を実感させてくれます。
■明日の9月1日(月曜日)の天気予報は「終日雨傘マーク」です。
地域の降雨確率は30%となっています。
今日のホテルへの帰着は20時前頃になりましたが、
昼間は雲が空を覆い、西大巓の頂上全体も雲の中にあったのですが、
日没の頃には青空が広く見えていましたので、
明日は今日よりもよい天候で始まることが期待されます。
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■タテハチョウ科マダラチョウ亜科(以前はマダラチョウ科とすることもあった)アサギマダラ属アサギマダラ。学名Parantica sita 。英名Chestnut Tiger。
■本ブログの総合的な画像目次や、ブログ内容を地域毎・テーマ毎にまとめた画像目次を下記のHPから見ることができます。
●
SRS研究所の公式HP<参考HP>
●
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■08年8月30日(土曜日)は、08年のグランデコスキー場での
アサギマダラのマーキングの26日目でした。
SRS11876からSRS12282までの
407頭を標識することができました。
■[080830] 福島県耶麻郡北塩原村桧原荒砂沢山 グランデコスキー場。デコ平
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■この日は、全国で豪雨が予測されている日でした。
福島県の中通り地方も終日雨傘マークが並ぶ予報でした。
■グランデコスキー場は、曇り→霧→曇り→ひどいにわか雨
と推移しました。
そこで、雨が降るまでの時間に頑張ることで、
上記の標識を行うことができました。
雨が降ったところで、本日の標識は中止する決心をして、
いつもより早めに下山をすることとしました。
■本日の特徴は、雌個体が前日同様に非常に少ないことです。
■小さい個体は相変わらず多いことが特徴でした。
■病気の個体なし、「中古」個体なし、「古」個体なし、
ヘアペンシル個体なし、という状況でした。
■雌は12頭で、
交尾個体はありませんでした。
■ゲレンデのアサギマダラは霧や曇りや雨に敏感に反応して、
その活動を変化させていきました。
■自己再捕獲の頻度を見ていると、再捕獲の頭数が少ないので、
グランデコにいたかなりの数のアサギマダラが、
すでに移動したかもしれない、と感じ始めました。
データを詳細に検討して、いつからそれが始まっていたかを
考察するのはこれからの課題です。
■今日は雨が降っていない時間帯に、
3mほどの高さより上に咲いている1本のコシアブラの木の花に
50頭くらいのアサギマダラが吸蜜している場面を見る
ことができました。
雨の日にコシアブラに止まっているのはこれまでも見て
いましたが、雨の降っていないときにこれほど多くの
個体が群れているのを見るのは初めてのことです。
そもそもグランデコで過去4年間標識を続けていて、
コシアブラにアサギマダラが集まっているのを見ること
自体が今年の初体験ですから、
例年とは何か異なることが起きていると言えるのではないか
と思われます。
■驚くべき場面を目撃してしまいました。
アカガエルの仲間(正確な種名は不明。画像あり)が、
草に止まっているアサギマダラにぱくりとくいついて、
しばらく時間をかけて、そっくり呑み込んでしまったのです。
カエルがアサギマダラを食べる、ということはこれまで
考えたこともないことなので、大変驚きました。
その全経過を撮影できましたので、
いずれ画像を示したいと思います。
■下山したあと、まだ明るい時間がありましたので、
五色沼のひとつの毘沙門沼の入り口まで、ドライブをしました。
8月6日からグランデコに標識に来てから、
26日ぶりに1000m以下の「下界に」来たことになります。
毘沙門沼のほとりではひまわりやヤナギランとともに、
まだ紫陽花が咲いているのには驚きました。
■福島県では、おとといからの大雨で、
土砂崩れの危険性が指摘されており、
本日も大雨警報の中にあります。
雨はまだ続く、という予報の中にあります。
□この【速報版】記録はまだ不完全です。いつか補う予定です。
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■08年8月29日(金曜日)は、08年のグランデコスキー場での
アサギマダラのマーキングの24日目でした。
SRS11284からSRS11875までの
592頭を標識することができました。
[080829] 福島県耶麻郡北塩原村桧原荒砂沢山 グランデコスキー場。デコ平。
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■本日は朝から雨が降っているので、
ゲレンデ行きは延期。
朝のテレビニュースを見ていると、
愛知県の岡崎市の広田川が決壊して大変な被害が出ているとのこと。
関東にもゲリラ豪雨で床下浸水、床上浸水が生じている地域があります。
本日も東海地方では200mm、
関東甲信越地方や東北地方では100mmの降雨が予想されていました。
雨が収まったので、10時頃にゲレンデに出て標識開始。
しかし、16時には再度雨が降って来ましたので、
しばらく様子を見てから、雨の中で徒歩下山をしました。
■この日は標高の低めのところで標識をしました。
■本日標識した592頭のうち雌は8頭で、比率は1.35%。
雌比率は15%、15%、23%、16%、24%、
24%、8%、6%、7%、17%、7%、・・・
などと推移してきましたので、
雌比率が大変低い日であると言えます。
■交尾痕のある雌個体はなし。
■ヘアペンシルの出た雄個体もなし。
■翅の変形は2例のみ(SRS11341♂、11385♂)。
割合は0.33%で、少ない方です。
このうち、SRS11341は、前翅端に近い部分に、
直径1×2mm程度の小さい穴(ただし破損ではない)が出来ている
という珍しい例でした。
■モンシロチョウ程度の小さい個体が多い傾向は続いています。
40例を記録しましたが、これは6.8%にあたります。
■「中古の個体」は0例。「古い個体」も0例。
合わせて0例で、割合は0%でした。
■「病気」と思われる個体は0例。
■本日の592例のうち、
前日の8月28日の標識のある個体の再捕獲は5例でした。
その日は533例に標識をしましたから、
アサギマダラの推定頭数は
533×592/6=52589頭(=約5万頭余)となります。
以下に、より意味のあると思われる推定をしておきましょう。
■標識日を日付順にA、B、C、・・・とすると、各日の分の再捕獲は
A0、B0、C4、D2、E3、F2、G3、H5、I1、
J4、K6、L0、M9、N2、O8、P0、Q2、R0、
S5、T16、U10、V5
となり、その合計は
0+0+4+2+3+2+3+5+1
+4+6+0+9+2+8+0+2+0
+5+16+10+5
=87例です。
筆者の標識した個体は累積で昨日までに5560例ですから、推定値は
7957×592/87=54144(頭)[=約5万頭余]
となります。すなわち、
前日までには約5万頭程度のアサギマダラが
「ゲレンデ周辺(見えないところも含めた仮想領域)」にいたと推定されます。
■592頭中、87例が既標識例でしたので、標識率は14.7%でした。
■当日筆者が放蝶した個体の自己再捕獲は4頭でした。
■筆者以外の人が標識した個体の再捕獲は11例でした。
■白い部分が多い個体(白い部分の斑紋模様が派手に見える個体)
の例としては、SRS11296。
■鱗粉のある場所の全体が普通より黒っぽい個体の例は、
SRS12230など37例を記録しました。
(対照となる非黒化個体の例はSRS11427)。
その中でSRS11420は特に香りが強いので印象的でした。
SRS11443は小型でかつ黒化個体の例でした。
SRS11470はハートマークが印象的な例でした。
■標識中に筆者やネットに寄って来た個体
(これをストーカーと筆者は呼びます)は、
以下の通り14頭が記録されました。
1●SRS11285♂を標識中に2頭のストーカー飛翔例あり。
2●SRS11287♂を標識中に1頭のストーカー飛翔例あり。
3●SRS11306♂はネット・ストーカー。
すなわち、ネットに止まったので、手で捕獲して標識。
4●SRS11315♂は手に止まった例。止まった写真あり。
手で捕獲して標識。
5●SRS11316♂は寄って来てストーカー飛翔したので、
捕獲して標識。
6●SRS11317♂は手に止まりました。写真あり。
7●SRS11330♂は寄って来てストーカー飛翔したので、
捕獲して標識。寄って来たときの写真あり。
8●SRS11340♂は寄って来てストーカー飛翔したので、
捕獲して標識。
9●SRS11341♂も同上。
10●SRS11400♂は寄って来てストーカー飛翔した例。
この例はホバリングが特に著明なので、印象的。
11●SRS11420♂は寄って来てネットに止まった例。
12●SRS11568♀は寄って来て手に止まった例。
この例は♀(雌)であることに注意してください。
この項目だけ見るとストーカー飛翔する個体には、
♀が少ないように見えますが、そもそも♀個体は本日捕獲した
592例の中で8例しかいませんでしたので、ストーカー個体が
特に雌が少ないというわけではありません。
13●SRS11630♂は、寄って来て時計の腕輪部分に
止まった例。
以上、この日はストーカーが多い日であることが分かります。
旅立ちを始めると、ストーカーが増えて来るのです。
■本日は、タオル回しに反応することが分かりました。
通常はグランデコではタオル回しには反応しないのですが、
旅立ちをするほど成熟すると、
一部の個体はタオル回しに反応をするようになります。
これは成熟度が高まっていることを示唆します。
ストーカー個体が増えることとタオルキャッチが出来ることとは
相関のある現象です。
■8月27日はアサギマダラが明確に旅立ちを始めた日
と認識されましたが、このようなゲリラ豪雨の間を縫って
巧みに渡りを実行しているように見えるのは、
アサギマダラが気候の動向を見極める
素晴らしい直観的な能力を持っていることを
示唆しているように思います。
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■タテハチョウ科マダラチョウ亜科(以前はマダラチョウ科とすることもあった)アサギマダラ属アサギマダラ。学名Parantica sita 。英名Chestnut Tiger。
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■08年8月26日(火曜日)は、08年のグランデコスキー場での
アサギマダラのマーキングの23日目でした。
SRS10751からSRS11283までの
533頭を標識することができました。
[080828] 福島県耶麻郡北塩原村桧原荒砂沢山 グランデコスキー場。デコ平。
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■前日は、アサギマダラの移動日と考えられましたが、
本日は全国的に豪雨でした。
39箇所で、1時間の最多雨量を更新しました。
石川県、福井県を含む北陸や、愛知県を含む東海地方では、
一時間80mmもの大雨が降った場所があります。
愛知県豊橋市では68mm/時の激しい雨が降り、
東海道新幹線が2度止まったり、
道路では動けないで立ち往生する車もありました。
福島県でも、局所的な大雨が降りました。
グランデコのゲレンデも17時までは曇りでしたが、
17時からは雨が降り始めましたので、標識はそこで中断しました。
■8月26日には標高の低めのところで標識をしました。
■本日標識した533頭のうち雌は14頭で、比率は2.6%。
雌比率の極めて低い日でした。
これまでは雌比率は標識頭数の少ない日は信頼姓がないので除くと、
15%、15%、23%、16%、24%、
24%、8%、6%、7%、17%、7%、11%、12%、
などと推移して来ました。
■交尾痕のある雌個体はなし。
■ヘアペンシルの出た雄個体もなし。
■翅の変形は1例のみ(SRS11137♂)。
割合は0.2%で、少ない方です。
■モンシロチョウ程度の小さい個体が多い傾向は続いています。
SRS10771など、31例が記録されました。
5.8%にあたります。
■「中古の個体」は0例。「古い個体」も0例。
合わせて0例で、割合は0%と低い値です。
■「病気」と思われる個体は1例(SRS10805♂)でした。
■本日の533例のうち、
前日の8月27日の標識のある個体の再捕獲は8例でした。
その日は750例に標識をしましたから、
750×533/8=49969頭(=約5万頭)となります。
以下に、長期的な観点から意味を持つ推定をしておきましょう。
■標識日を日付順にA、B、C、・・・とすると、各日の分の再捕獲は
A0、B2、C4、D4、E4、F7、G2、H4、I0、
J3、K5、L0、M7、N1、O8、P0、Q1、R0、
S10、T10、U8
となり、その合計は
0+2+4+4+4+7+2+4+0
+3+5+0+7+1+8+0+1+0
+10+10+8
=80例です。
筆者の標識した個体は累積で昨日までに7424例ですから、推定値は
7424×533/80=49462(頭)[=約5万頭]
となります。すなわち、
前日までには約5万頭程度のアサギマダラが
「ゲレンデ周辺(見えないところも含めた仮想領域)」にいたと推定されます。
■今回の約5万頭という推定からは、8月20日頃からは、
個体数は4~6万頭程度で、目立った増減はないことを示唆しています。
■当日筆者が放蝶した個体の自己再捕獲は2頭でした。
■筆者以外の人が標識した個体の再捕獲は26例でした。
■白い部分が多い個体(白い部分の斑紋模様が派手に見える個体)
は7例を記録しました。
SRS10777♂、10961♂、10967♂、
11052♂、11108♂、11238♂、などです。
このうち、10967♂はふっくらした印象を与える例でした。
その対照として比較できる例は10968♂です。
■鱗粉のある場所の全体が普通より黒っぽい個体は、
18例を記録しました(3.4%)。
SRS10921♂、10978♂、11006♂、11073♂、
11073♂、11078♂、11079♂、11088♂(典型例)、
11117♂、11118♂、11127♂、11130♂、
11132♂、11207♂、11208♂、11227♂、
11252♂、11256♂などです。
-------------------------------------------------------------
■タテハチョウ科マダラチョウ亜科(以前はマダラチョウ科とすることもあった)アサギマダラ属アサギマダラ。学名Parantica sita 。英名Chestnut Tiger。
■本ブログの総合的な画像目次や、ブログ内容を地域毎・テーマ毎にまとめた画像目次を下記のHPから見ることができます。
●
SRS研究所の公式HP<参考HP>
●
グランデコ・デコ平・裏磐梯でのアサギマダラ・自然旅行体験(SRS研究所)●
3Dアサギマダラの世界(SRS)●
SRSアサギマダラ生態図鑑●
2008年アサギマダラ移動調査記録(SRS)■ランキングのために次の2つをそれぞれ一押ししていただければ幸いです:
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■08年8月27日(火曜日)は、08年のグランデコスキー場での
アサギマダラのマーキングの22日目でした。
SRS10001からSRS10750までの
715頭を標識することができました。
これは、08年の夏の最多標識数となりました。
[080827] 福島県耶麻郡北塩原村桧原荒砂沢山 グランデコスキー場。デコ平。
■この日は標高の低めのところで標識をしました。
■本日標識した750頭のうち雌は90頭で、比率は12.0%。
雌比率は高い日、低い日のある中での中間的な日でした。
これまでは雌比率は標識頭数の少ない日は信頼姓がないので除くと、
15%、15%、23%、16%、24%、
24%、8%、6%、7%、17%、7%、11%
などと推移してきました。
■交尾痕のある雌個体はなし。
■ヘアペンシルの出た雄個体は一例ありました。
SRS10525で、尾端の左右両方に
ヘアペンシルが出て出ている初めての例です。
ただし、どちらもきちんと出ているのではなく、
中途半端な出方で、左右差があり、
右が少し出ており、
左はより少ない形でわずかに顔をのぞかせている状態です。
やはり、「ヘアペンシルが出ている」のは正常な状態ではなく、
「収納の不良状態」であるという筆者の仮説に合っているように思います。
■翅の変形は5例ありました(SRS10025♂、10086♂、
10097♂、10264♂、10333♂)。
割合は0.67%でした。
■モンシロチョウ程度の小さい個体が多い傾向は続いています。
筆者のメモには41例も記録されています。
割合としては5.5%に上ります。
■「中古の個体」は4例
(SRS10236♂、10289♂、10328♂、10506♂)。
「古い個体」は1例(SRS)10419♂)。
合わせて6例となり、その割合は1.2%です。
■「病気」と思われる個体は1例(SRS10086♂)でした。
■本日の750例のうち、
前日の8月26日の個体の再捕獲例を個体推定に用いてみましょう。
8月26日の標識のある個体の再捕獲は24例でした。
その日は725例に標識をしましたから、
725×750/24=22656頭(=約2万頭余)となります。
以下に、より意味のあると思われる推定をしておきましょう。
■標識日を日付順にA、B、C、・・・とすると、各日の分の再捕獲は
A0、B6、C7、D9、E11、F5、G6、
H4、I2、J1、K3、L1、M13、N0、
O13、P0、Q2、R0、S10、T24、
となり、その合計は
0+6+7+9+11+5+6
+4+2+1+3+1+13+0
+13+0+2+0+10+24
=44+24+49=117例です。
筆者の標識した個体は累積で昨日までに6674例ですから、推定値は
6674×750/117=42782(頭)[=約4万頭]
となります。すなわち、
前日には約4万頭程度のアサギマダラが
「ゲレンデ周辺(見えないところも含めた仮想領域)」にいたと推定されます。
8月18日の推定の計算結果は約4万頭で、
8月20日の推定の計算結果は約6万頭、
8月25日の推計の計算結果は約5万頭、
8月26日の推定の計算結果は約4万頭でした。
これらから、
個体数は4~6万頭程度で、推移していることを示唆しています。
■当日筆者が放蝶した個体の自己再捕獲は8頭でした。
■筆者以外の人が標識した個体の再捕獲は28例でした。
■白い部分が多い個体(白い部分の斑紋模様が派手に見える個体)
は増えたままで著変なし。
例としては、SRS10071、10100、10224、
10262、10319、10425、10516など。いずれも♂。
このうち、10425は、黒化を兼ねています
(その比較対照例は10516)。
■鱗粉のある場所の全体が普通より黒っぽい個体の例は、
22例記録しました。♂がほとんどです(比較対照例は10131)。
♀の例(黒雌)は、SRS10101、
10279(比較対照例は10285)、10373、10480。
■翅が赤っぽい例としてはSRS10072♂(比較対照は10073)、
10125♀、10126♀、10156♂(美しい例)
の4例を記録しました。
■翅の茶色が印象的な例もありました。SRS10297が典型例です。
■標識中に筆者やネットに寄って来た個体は、以下の通り。
SRS10220を標識中に1例。
SRS10231自体(画像あり)。
その他、標識中に2例が周囲をストーカーのようにホバリングしながら
旋回していました。
このような「好奇心に満ちた」個体の存在は、
グランデコに滞在するアサギマダラたちの
成熟の兆しを示す目印です
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■タテハチョウ科マダラチョウ亜科(以前はマダラチョウ科とすることもあった)アサギマダラ属アサギマダラ。学名Parantica sita 。英名Chestnut Tiger。
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●
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■08年8月26日(火曜日)は、08年のグランデコスキー場での
アサギマダラのマーキングの21日目でした。
SRS9286からSRS10000までの
715頭を標識することができました。
下はSRS10000の画像です。

[080826] 福島県耶麻郡北塩原村桧原荒砂沢山 グランデコスキー場。デコ平。
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■この日は標高の低めのところで標識をしました。
■本日標識した715頭のうち雌は81頭で、比率は11.3%。
雌比率は多い少ないの中間的な日でした。
これまでは雌比率は標識頭数の少ない日は信頼姓がないので除くと、
15%、15%、23%、16%、24%、
24%、8%、6%、7%、17%、7%、11%などと推移してきました。
■交尾痕のある雌個体はなし。
■ヘアペンシルの出た雄個体は2例で、
SRS9527とSRS9567。
■翅の変形は10例もありました。1.4%です
(SRS9329♀、9416♂、9418♀、9422♂、
9637♂、9644♂、9764♂、9921♂、9937♂)。
割合は0.25%で、少ない方です。
■モンシロチョウ程度の小さい個体が多い傾向は続いています。
具体的に記録したのは27頭に上りました(3.7%)。
■「中古の個体」は5例(SRS9401♂、9663♂、
・・・、9751♂)。
「古い個体」は0例(SRS9307♂)。
合わせて7例となり、その割合は1.0%です。
■「病気」と思われる個体は1例(SRS9294♂)でした。
■本日の715例のうち、
前日の8月25日の個体の再捕獲例は、13例でした。
その日は399例に標識をしましたから、
399×715/13=219458頭(=約2万頭余)となります。
以下に、より意味のあると思われる推定をしておきましょう。
■標識日を日付順にA、B、C、・・・とすると、各日の分の再捕獲は
A5、B2、C5、D9、E5、F7、G4、H5、I0、J3、
K13、L1、M10、N0、O14、P0、Q1、R0、S13
となり、その合計は
5+2+5+9+5+7+4+5+0+3
+13+1+10+0+14+0+1+0+13
=45+52=97例です。
筆者の標識した個体は累積で昨日までに5959例ですから、推定値は
5959×715/97=43924(頭)[=約4万頭]
となります。すなわち、
前日までには約5万頭程度のアサギマダラが
「ゲレンデ周辺(見えないところも含めた仮想領域)」にいたと推定されます。
8月18日の推定の計算結果は約4万頭で、
8月20日の推定の計算結果は約6万頭で、
8月20日の推定の計算結果は約5万頭でしたので、
今回の約4万頭という推定からは、8月20日頃からは、
個体数は4~6万頭程度で、特に増えてはいないことを示唆しています。
■当日筆者が放蝶した個体の自己再捕獲は53頭でした。
■筆者以外の人が標識した個体の再捕獲は16例でした。
■白い部分が多い個体(白い部分の斑紋模様が派手に見える個体)
は増えたままで著変なし。
例としては、SRS9691、9779など。
(比較対照の例はSRS9761)。
■鱗粉のある場所の全体が普通より黒っぽい個体の例は、
SRS9566、9584、9590、9593、
9661、9812、9884などで、いずれも♂です。
■翅全体に赤い色調の強い個体も注目されました(SRS9337)。
■標識中に筆者やネットに寄って来た個体は、
以下の通り7例あります。
SRS9529を標識中に、ネットに寄って来た個体があります
(その様子を撮影した写真画像あり)。
SRS9557を標識中に、周囲を飛び回って、
最後はNetに止まった個体がありました。
SRS9612は、手に止まりましたので、手で捕獲して標識しました。
SRS9656を標識中にストーカーのように飛び回った例があります。
SRS9691も同上です。
SRS9707を標識中にもストーカーのように飛び回った個体がありました。
SRS9709を標識中にもストーカーのように飛び回った個体がありました。
このような「好奇心に満ちた」個体が増えているのは、
アサギマダラが成熟して来た兆しのひとつと考えています。
■上記の推定頭数からは、特に大きな変化は見られませんので、
まだ南下移動は始まっていないと考えられます。
■8月24日に、アサギマダラの標識を予定したのに
雨のためにそれが事実上不可能となった千葉県木更津高校の
生徒さんが、再度、引率の先生らと共にグランデコを訪れました。
今度は、前回より条件が改善しているので、
初めてマーキングを体験することができました。
それぞれがおよそ20頭程度は標識できたようです。
■前日、NHK総合テレビのMさんから電話取材を受けました。
その内容は、本日8月26日の午後6時10分からのニュースで、
季節便りとして、紹介されたとのメールをいただきました。
「NHK総合6時10分から放送の、『はまなかあいづToday』内で、
季節のお話としてご紹介致しました」とのことでした。
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■タテハチョウ科マダラチョウ亜科(以前はマダラチョウ科とすることもあった)アサギマダラ属アサギマダラ。学名Parantica sita 。英名Chestnut Tiger。
■本ブログの総合的な画像目次や、ブログ内容を地域毎・テーマ毎にまとめた画像目次を下記のHPから見ることができます。
●
SRS研究所の公式HP<参考HP>
●
グランデコ・デコ平・裏磐梯でのアサギマダラ・自然旅行体験(SRS研究所)●
3Dアサギマダラの世界(SRS)●
SRSアサギマダラ生態図鑑●
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■08年8月25日(月曜日)は、08年のグランデコスキー場での
アサギマダラのマーキングの20日目でした。
過去2日間は雨天続きで、過去5年間を通じて初めて、
1頭も標識できない日となりましたが、
今日は曇り空の一日でSRS8887からSRS9285までの
399頭を標識することができました。
■下は、途中のSRS9200の画像です。

[080825] 福島県耶麻郡北塩原村桧原荒砂沢山 グランデコスキー場。デコ平。
■本日は、「4日連続の雨→好天の1日→雨の日→ほどほどの日→4日連続」、
と続いて、やっと雨降りでない日となりました。
地域の天気予報では、午前30%→午後30%→夜20%
という降雨確率で、夕方18時までは雨傘マークがついていました。
(平地の)予想気温は19度Cと前日同様低値でした。
しかし、結果として振り返ると、
まるで梅雨時のように続いた雨の日が、
やっと小休止を迎えた感じの一日でした。
■8時30分の最初のゴンドラでゲレンデに上がると、
ゴンドラ駅の気温は15.5度C。
前日より若干上がりましたが、
アサギマダラが動ける温度ではありません。
■ゴンドラから下を眺めると、
数々の植物が秋に向かって変色の歩みを進めていました。
ウダイカンバの大きめの葉は黄色みを帯び、
一部のカエデの葉は変縁が紅がかっています。
ナナカマドの実もオレンジから赤へと移行しつつあります。
■西大巓は終日雲が立ちこめ、
ゲレンデも終日曇りといってよい状態でしたが、
午後になって雲の一部に青空が見えました。
■ゲレンデには長い雨が一段落したからか、
温度は低めでしたが、アサギマダラが姿を現していました。
まだ、雨で傷んだヨツバヒヨドリの花は
完全にはもとのようなふっくらした雰囲気には戻っていませんが、
「おなかをすかしたアサギマダラ」がそこそこで吸蜜をしていました。
おそらく、この程度の曇り日がもう一度続けば、
ゲレンデはもとの賑わいを取り戻すことでしょう。
■この日は標高の低めのところで標識をしました。
■本日標識した399頭のうち雌は28頭で、比率は7.0%。
雌比率の低い日でした。
これまでは雌比率は標識頭数の少ない日は信頼姓がないので除くと、
15%、15%、23%、16%、24%、
24%、8%、6%、7%、17%、7%などと推移してきました。
■交尾痕のある雌個体はなし。
■ヘアペンシルの出た雄個体もなし。
■翅の変形は1例のみ(SRS063♂)。
割合は0.25%で、少ない方です。
■モンシロチョウ程度の小さい個体が多い傾向は続いています。
■「中古の個体」は2例(SRS9058♂、9203♂)。
「古い個体」は0例。
合わせて2例となり、その割合は0.5%と低い値です。
■「病気」と思われる個体は1例(SRS8909♂)でした。
病気とは言えないかもしれませんが、
テントウムシの幼虫に形が似た虫が
腹部にはりついていて離れない例が一例ありました(SRS9064)。
ダニの仲間が腹部や翅についているのは時々見ますが、
それとは異なります。
■本日の399例のうち、自己再捕獲で個体数推定に使う意味があるのは
8月20日の個体の再捕獲例です(なぜなら、
8月21日は1頭、23日と24日は0頭しか標識しておらず、
22日は76頭標識しましたが、その再捕獲は本日はないからです。)
8月20日の標識のある個体の再捕獲は6例でした。
その日は589例に標識をしましたから、
589×399/6=39168頭(=約4万頭余)となります。
ただし、これは5日も前の個体を論じていますから、
参考にはなりますが、信頼姓は高くありません。
以下に、より意味のあると思われる推定をしておきましょう。
■標識日を日付順にA、B、C、・・・とすると、各日の分の再捕獲は
A0、B4、C1、D2、E2、F4、G2、H4、I0、
J3、K2、L1、M11、N0、O6、P0、Q0、R0
となり、その合計は
0+4+1+2+2+4+2+4+0
+3+2+1+11+0+6+0+0+0
=19+23=42例です。
筆者の標識した個体は累積で昨日までに5560例ですから、推定値は
5560×399/42=52860(頭)[=約5万頭]
となります。すなわち、
前日までには約5万頭程度のアサギマダラが
「ゲレンデ周辺(見えないところも含めた仮想領域)」にいたと推定されます。
8月18日の推定の計算結果は約4万頭で、
8月20日の推定の計算結果は約6万頭でしたので、
今回の約5万頭という推定からは、8月20日頃からは、
個体数は4~6万頭程度で、特に増えてはいないことを示唆しています。
■当日筆者が放蝶した個体の自己再捕獲は3頭でした。
これが少ないことも、全体の個体数の多さを示唆しています。
■筆者以外の人が標識した個体の再捕獲は16例でした。
■白い部分が多い個体(白い部分の斑紋模様が派手に見える個体)
は増えたままで著変なし。例としては、SRS9275など。
■鱗粉のある場所の全体が普通より黒っぽい個体の例は、
SRS8887、9069(典型)、9158、9163、
9209などで、いずれも♂です。
■標識中に筆者やネットに寄って来た個体は、以下の通り。
ネットに止まったのはSRS8903(画像あり)。
筆者のワイシャツに止まったのはSRS8907(画像あり)。
いずれも手づかみでつかめて、標識ができました。
画像とは、止まっているときの画像です。
8月の下旬になると、
このような「好奇心に満ちた」個体が次第に増えてきます。
これはグランデコに滞在するアサギマダラたちが、
成熟しつつある兆しのひとつと考えています。
■上記の推定頭数は、雨の期間中の推定から特に増えてはいません。
これはまだ南下移動が始まっていないことを示唆します。
というのは、南下が始まると、
蔵王などのより北部から移動して来るアサギマダラで
ゲレンデは賑わいを見せ、頭数が一時的に増加するからです。
例年では24日くらいから移動の兆し見られ、
蔵王マークなどが再捕獲されるものですが、
2008年は8月25日になってもまだ移動の気配は
感じられません。
雨が続いて、例年より移動が遅れていると思われます。
■撮影隊の方々は、本日までおられましたが、
ゲレンデを撮影した後に東京に戻られました。
■今日は、イチモンジセセリをこのゲレンデで初めてみました。
過去にも見たことはありませんでした。
■コシアブラという樹木の花で吸蜜している姿を見ました。
23日には、雨が降っている最中のゲレンデでは、
ヨツバヒヨドリの花で吸蜜しているアサギマダラは
見られませんでした。しかし、森の中の、
コシアブラとカエデとブナを含む樹木の梢で、
20頭くらいのアサギマダラが飛んでいるのを見ることが
できました。すべてがコシアブラで吸蜜しているとは
言えませんが、そのうちの南頭かは、コシアブラで吸蜜
していると見えました。
■下山はかなり遅い時間帯になりましたが、
深い闇の中の道を歩いていてふと見上げると、
雲の一部が切れて、星が姿を現していました。
10日ぶりに星空を見ることができました。
ホテルに到着するこころには、空の一角のみではありましたが、
グランデコの夜は天気がよければこんなに星が数多く見えるのだ、
と改めて感動するほどの星が見えていました。
落ち込んだ気分に少し光りがさしてきた一日でした。
■明日の8月26日(火曜日)の天気予報はやはり「終日雨傘マーク」です。
地域の降雨確率は20%となっています。
確率は本日の予報よりは低い値ですから、
明日も恵まれる可能性があります。
テレビではグランデコのある福島県の「中通り」地域の降雨確率は
午前60%-午後60%-夜60%とのこと。
北海道に高血圧が陣取り、
その南には低気圧があって動かす、
その影響で雨の多い日々になっているとの説明でした。
■ホテルに戻ったところ、NHK総合テレビのMさんから、
取材電話が入りました。
6時10分からのニュースで、季節便りとして、
グランデコでのアサギマダラの話題を採り上げたいとのこと。
30分ほどお話をしました。放映日は未定とのことでした。
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■タテハチョウ科マダラチョウ亜科(以前はマダラチョウ科とすることもあった)アサギマダラ属アサギマダラ。学名Parantica sita 。英名Chestnut Tiger。
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■08年8月24日(日曜日)は、08年のグランデコスキー場での
アサギマダラのマーキングの19日目でした。
昨日は過去5年で初めて1頭も標識できずに終わりましたが、
今日もその記録を延長して、標識頭数0で終わりました。
■下は、雨の降る朝のゴンドラの上の駅で、
西大巓に上ろうとする準備をする方々(雨でも登山は決行です)。

[080824] 福島県耶麻郡北塩原村桧原荒砂沢山 グランデコスキー場。デコ平。
■本日は、「4日連続の雨→好天の1日→雨の日→ほどほどの日→3日連続」、
と続いて、再度雨の日となりました。
9日目の雨天で、文字通り、終日雨が降り続きました。
地域の天気予報では、午前80%→午後80%→夜70%
という降雨確率で、終日雨傘マークがついていました。
(平地の)予想気温は19度Cと非常に低値です。
山の上の予想はさらに低値であることを意味します。
■8時30分の最初のゴンドラでゲレンデに上がると、
ゴンドラ駅の気温は13.5度C。
前日ほど低温ではありませんが、同様に
アサギマダラが動けない気温です。
■本日は筆者の指導するアサギマダラ観察会の予定でしたので、
その準備のためにゲレンデを回って観察しましたが、
雨は前日よりひどく、結果としては、
出会ったアサギマダラは正真正銘0頭でした。
したがって、通常の一般の方々を対象とする
アサギマダラ観察会は事実上中止になりました。
■もともとの予定では、観察会をひととおり行ってから、
11時30頃から、千葉県の
木更津高校の生徒さんたち9名と付き添いの先生方4名に
グランデコのアサギマダラに関する特別な講義をする予定でした。
天候不良で、事実上観察会ができませんので、
それを早めて講義をしました。
■内容は、筆者の「自然の見方」から初め、
グランデコの地勢的な特徴、
その生態系を構成する植物、昆虫、動物たち、
および、筆者が解明しつつあるアサギマダラの活動の詳細です。
1時間半ほど話をしたことになります。
昨日から来ておられる撮影隊による撮影も行われました。
■講義の後で、雨の中ではありますが、
木更津高校の生徒さんたちは、
現場のゲレンデを観察して回りました。
これが事実上のアサギマダラ観察会になります。
筆者も同行して、解説を行いました。
実際にマーキングをすることを期待して来られたのですが、
天候不良のためとあっては、
アサギマダラに出会えなくともどうしようもありません。
せっかく来られたのに、筆者も残念に思いました。
ただし、翌々日に再度来られる可能性があるかもしれないとのこと。
■雨の中のゲレンデで、撮影隊の簡単な取材を受けた後、下山をしました。
■前日から見ている気圧に関しては、1150mの地点で、
900ヘクトパスカルを一度も達成できない状態。
気圧の谷に入り込んで抜け出せないでいるように思われます。
■明日の8月25日(月曜日)の天気予報はやはり「終日雨傘マーク」です。
地域の降雨確率は30%となっています。
確率は本日よりは低い値です。
アサギマダラのマーキングをする立場としては、
グランデコとしては過去に体験したことのない
「寒く厳しい夏」が続くのでしょうか。
■問題意識としては、「標高の比較的高い場所で、
ヨツバヒヨドリを吸蜜しながら
夏の避暑生活をしている羽化して間もないアサギマダラ集団が、
吸蜜活動ができないほどの寒い気象条件に
2、3週間も置かれたならば、
いったい秋口の南下の旅はどうなるだろうか」というものです。
現在は10日ほど気象条件の悪い期間が続いています
(まるで梅雨時のような雨と低温の状況です)。
一番の問題は、次第に温度が下がる秋に近づいていく、ということと、
吸蜜できない状況が続くと雄の成熟のための期間が
いたづらに過ぎてしまい、
未熟な状態のまま秋を迎えてしまうのではないか、
ということとの2点です。
即断は下さないで、経過を見たいと思います。
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■タテハチョウ科マダラチョウ亜科(以前はマダラチョウ科とすることもあった)アサギマダラ属アサギマダラ。学名Parantica sita 。英名Chestnut Tiger。
■本ブログの総合的な画像目次や、ブログ内容を地域毎・テーマ毎にまとめた画像目次を下記のHPから見ることができます。
●
SRS研究所の公式HP<参考HP>
●
グランデコ・デコ平・裏磐梯でのアサギマダラ・自然旅行体験(SRS研究所)●
3Dアサギマダラの世界(SRS)●
SRSアサギマダラ生態図鑑●
2008年アサギマダラ移動調査記録(SRS)■ランキングのために次の2つをそれぞれ一押ししていただければ幸いです:
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■08年8月23日(土曜日)は、08年のグランデコスキー場での
アサギマダラのマーキングの18日目でした。
この日は過去5年で初めて1頭も標識できずに終わりました。
写真は、霧と低温の中で
アサギマダラ観察会に参加された方々の様子です。

[080823] 福島県耶麻郡北塩原村桧原荒砂沢山 グランデコスキー場。デコ平。
■本日は、「4日連続の雨→好天の1日→雨の日→ほどほどの日→雨→雨」、
と続いて、再度雨の日となりました。
8日目の雨天で、雨が降ったり止んだり霧が出たりといった日でした。
地域の天気予報では、午前30%→午後80%→夜60%
という降雨確率で、朝9時以後は終日雨傘マークがついていました。
(平地の)予想気温は17度Cと非常に低値です。
■ゲレンデに上る前に、ホテルの庭を見ると、
ナナカマドがオレンジ色になりつつあります。
セイヨウノコギリソウも例年より遅い時期ですが開花してきました。
エゾアジサイの花は山ではもう終わっていますが、
ホテルの庭ではまだ開花しています。
ヤマハハコの花はホテルの庭では一番きれいな時期にありますが、
山では、今年は植物全体の成長が遅く花の見栄えもよくありません。
雨続きのためか、芝生の上に
直径7-8cmの大きなキノコが2本も育っています。
オオバギボウシはここ2週間の間に、
花から実へと完全に移行しました。
庭の花を日々眺めて比較していくと、
一日だけでは分からない季節の足取りの進行を
確実に感じることができます。
■朝からゲレンデに上がると、
ゴンドラ駅の気温は10.5度C。
過去5年で8月に見た最低値です。
これではアサギマダラは動こうにも動けない気温です。
■実際に、ゲレンデをかけ回りましたが、前日と異なり、
出会ったアサギマダラは正真正銘0頭でした。
したがって、マーキングの成果もなく、
頭数推定も今日はお休みです。
ゲレンデで手持ちの温度計で調べると16.5度。
やはりアサギマダラが活動する条件ではありません。
全体に薄暗いためか、
マツヨイグサが夕方でもないのに開花していました。
■観察会を行う場所で、
三重県から来られた畑中さんにお会いしました。
家族旅行のついでに寄られたとのことです。
畑中さんは昨年三重県熊野市有馬町で筆者の放蝶したアサギマダラを
再捕獲してくださいました。具体的には、
筆者が福島県グランデコで07年8月11日に標識した蝶を、
10月22日に再捕獲してくださったのです。
場所は世界遺産のある熊野の札立峠です。
これは筆者のHPにも掲載済みです:
●
2007年のアサギマダラの移動調査記録■また、この日のアサギマダラ観察会に参加された管野さんご一家は、
昨年も参加されましたが、
お子さんの当時小学4年生の弦矢君がGK25と標識した個体が、
大分県の姫島に移動しました。
この結果も上記の●印のついたHPに記載してあります。
8月26日にグランデコで標識され、
10月13日に姫島で小学生3年生の岸本静さんが再捕獲されました。
48日間で、約881km移動したことになります。
小学生が放蝶し、遠くの小学生が再捕獲した印象的な一例と言えます。
詳細は、筆者のブログ記事にも紹介してあります。
http://srs21.blog59.fc2.com/blog-entry-1178.html アサギマダラを通して、さまざまな人間関係のネットワークが生まれます。
■ゲレンデの条件が悪いので、いったん下山し、
午後再度チェックに行きました。
本日来られるはずの撮影隊が雨の中で
ゲレンデの状況を撮影していました。
今日の筆者の講演会の状況を撮影するために来られました。
ゲレンデで取材に応じて、再度下山。
このときの温度はゴンドラ駅では11度C、
手持ちの温度計で13度Cと極めて低い温度です。
このような低温は、夏のグランデコでは過去には体験したことがありません。
本当に「異常低温の8月中下旬」と言えるでしょう。
これは福島県では特にその傾向が強いようです。
アサギマダラの活動(成熟も含めて)にとっては
おそらく「想定外の不利な気象条件」と言えるでしょう。
■本日は、終日雨、というわけではなく、ときどき雨の止んだ
時間帯がありましたが、何よりも温度が低すぎるために
アサギマダラの活動を見る機会がほとんどなかったのです。
■本日のホテルスタッフが行ったアサギマダラ観察会は、
JAFの方々を始め、かなり参加人数が多かったのですが、
標識としての成果はありませんでした(上記写真参照)。
雨が降らない時間帯もありましたが、温度が低すぎました。
しかし、高い枝先などをふわふわと飛ぶアサギマダラを見た方は
おられたことでしょう。
■19時半から、ホテル・グランデコで、
「アサギマダラとグランデコ」の講演を行いました。
■この講演には、千葉県の木更津高校の生徒さん9名と
先生3名と一緒に来られたもう1名の合計13名が参加されました。
生物の実習の一環として参加されたのです。
明日はアサギマダラの観察会にも参加される予定です。
その際に、筆者は30分余の講義をすることにもなっています。
講演は若干延長して45分ほど話をしました。
■昨日から、気圧測定をしていますが、標高1150mの場所では
低気圧が続き893hPa(ヘクトパスカル)前後から、
ほとんど動いていない状態でした。
■明日の8月24日(日曜日)の天気予報は終日雨傘マーク。
地域の降雨確率は50%となっています。
マーキングをする立場からは
グランデコとしては過去に体験したことのない
「厳しい夏」になっています。
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■タテハチョウ科マダラチョウ亜科(以前はマダラチョウ科とすることもあった)アサギマダラ属アサギマダラ。学名Parantica sita 。英名Chestnut Tiger。
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SRS研究所の公式HP<参考HP>
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グランデコ・デコ平・裏磐梯でのアサギマダラ・自然旅行体験(SRS研究所)●
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■08年8月22日(金曜日)は、08年のグランデコスキー場での
アサギマダラのマーキングの17日目でした。
この日はSRS8811からSRS8886までの
76頭にマーキングをしました。
写真はその途中のSRS8880の画像です。

[080822] 福島県耶麻郡北塩原村桧原荒砂沢山 グランデコスキー場。デコ平。
■この日は姫島の「アサギマダラを守る会」の中城さんから電話をいただき、
姫島は7月29日が最後にアサギマダラを確認されたとのことでした。
例年より遅くにアサギマダラを見たことになります。
(例年は7月上旬が最後)。)
■本日は、「4日連続の雨→好天の1日→雨の日→ほどほどの日→雨の日」、
と続いて、再度雨の日となりました。7日目の雨天です。
ただし、午後は曇りから晴れ空も出て来ました。
地域の天気予報では、午前60%→午後40%→夜60%
という降雨確率で、終日、雨傘マークがついていました。
(平地の)予想気温は24度C。
結果は午前中は予報通りで雨天。午後になって曇りに転じました。
そこで午前中は持ち込んだ仕事をして、午後1時からゲレンデに赴きました。
■ゴンドラからは標高1200-1300mレベルで、
7頭ほどアサギマダラを見ました。前日よりは期待ができそうです。
ゴンドラ駅の気温は、13時半過ぎに16.5度Cで前日とほぼ同じ値。
雨はほぼ止んでいますが、温度が低いのは同様です。
■ゲレンデに接するカラマツの高い梢に止まっていた
アサギマダラが、「宿替え飛翔」でふらついているのを見ました。
つなぎ竿よりも高いところでしたので、
捕獲して標識することは困難な位置でした。
■石川県から来られた堀さんにお会いしました。
秋に宝達山で標識をされるそうです。
筆者のグランデコの報告をメールで読んでおられるとのこと。
■雨は上がっていますが、温度が低いので、
アサギマダラは極めて少数しか見られません。
ただし、そこそこアサギマダラがいるポイントがあったので、
上記のように76頭が標識できました。
■しかし、空には青空も見えて来ましたが、
雲が根強い上に、温度が低い状態が回復しないためか、
アサギマダラは基本的には「シンクロして出て来ない」
状態でしたので、16時には下山を決心しました。
今年はアサギマダラの集団行動のシンクロ(共鳴)の度合いが
例年よりも高いと感じています。
■明日は、低気圧が移動するため、
東北地方は全域で夕方に雨になる確率が高くなる。
福島県は20%も降雨予想。温度は20度が最高音と予想される。
やはり温度が低いことが問題だ。
2008年の東北は雨が多く「寒い夏」になりつつあります。
■この日は標高の低めのところで標識をしました。
■本日標識した76頭のうち雌は6頭で、比率は7.9%。
雌比率としては非常に低目の値でした。
雌比率は日によって
15%、15%、23%、16%、24%、
24%、8%、6%、7%、17%、0%、7%と推移しています。
■交尾痕のある雌個体は0頭でした。
■ヘアペンシルの出た雄個体は0頭。
■翅の変形は0例。
■「中古の個体」は0例。「古い個体」も0例。
■「病気」の個体も1例。
■前日は1例放蝶しただけでしたので、
その再捕獲は(もちろん)ありませんでした。
ですから、前日例を用いた個体数推定はできません。
以下で、より大局的な個体数推定をしましょう。
■標識日を日付順にA、B、C、・・・とすると、各日の分の再捕獲は
A0、B0、C1、D0、E0、F0、G0、H0、
I0、J1、K0、L0、M0、N0、O1、P0、
となり、その合計は3例です。
この数が小さいので、以下の推定は信頼度が低いものです。
あくまで参考として述べましょう。
筆者の標識した個体は累積で昨日までに4894例ですから、
推定値は
5484×3/76=138928(頭)[=約14万頭]
となります。すなわち、
8月21日(=前日)には約14万頭程度のアサギマダラが
「ゲレンデ周辺(見えないところも含めた仮想領域)」
にいたと推定されます。
8月20日の再捕獲による8月17日の推定値は
約6万頭でした。
今日の方法による推定値14万頭という値は
個体数が増えたことよりも、再捕獲の数が少ないための
過剰推定(overestimation)と思われます。
意味があるとすれば、推定頭数は減少傾向にあるのではなく、
増加傾向にある可能性があるということであろう。
■当日筆者が放蝶した個体の自己再捕獲は0頭でした。
これが少ないことは、全体の個体数が増えたという
予想に矛盾しません。
■筆者以外の人が標識した個体の再捕獲は4例でした。
これは筆者の放蝶した個体の再捕獲数に比べると
多めに見えます。
■白い部分が多い個体(白い部分の斑紋模様が派手に見える個体)
は増えたままで著変なし。
■鱗粉のある場所の全体が普通より黒っぽい個体の例は、
SRS8818♂、8854♂。
■本日から、気圧測定を折々にすることとした。
アサギマダラは気圧を認識しているのではないかと推測するからだ。
本日の気圧は893hPa(ヘクトパスカル)と低い。
今後、気圧変動とアサギマダラの活動との相関を見ていきたい。
■明日の8月23日は、低気圧が動くため、
東北地方は全体的に雨になるという。
しかも、夕方に雨になる確率が高まるという。
今朝の局所予報では、降雨確率は70%だった。
ローカルなテレビでの予想は、福島県の降雨確率は20%で、
最高温度は20度とのこと。
2008年8月半ばの暗く寒い夏は異常なことに、
下旬になってもまだまだ終わらない。
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■タテハチョウ科マダラチョウ亜科(以前はマダラチョウ科とすることもあった)アサギマダラ属アサギマダラ。学名Parantica sita 。英名Chestnut Tiger。
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■08年8月21日(木曜日)は、08年のグランデコスキー場での
アサギマダラのマーキングの16日目でした。
この日はSRS8810の
1頭だけにマーキングができました。
これは過去のグランデコの歴史の中では最少の標識頭数です。
写真はそのSRS8810の画像です。

[080821] 福島県耶麻郡北塩原村桧原荒砂沢山 グランデコスキー場。デコ平。
■4日間連続して雨→1日よい天気の日→雨の日→ほどほどの日、
と続き、再度雨の日となりました。6日目の雨天です。
この地域の天気予報は、午前60%→午後40%→夜60%
という降雨確率で、終日、雨傘マークがついていまし。
結果は予報通りで終日雨天。
福島県は大雨が降り、1時間に100mの降水を超える地域もあり、
全国一番の降水量でした。
テレビでは土砂災害、洪水、暴風に注意とのニュースが放映されました。
ともかくもアサギマダラが活動するような日ではありませんでした。
今年の夏のグランデコを含む地域は雨災害の年とも感じられます。
過去数年にはこのような体験はありませんでした。
明日8月22日も雨天の予報が出ています。
■本日は福島県だけでなく、東北、北陸、中国地方に大雨が降りました。
関東にも激しい雨が降ったとのことです。
福島県のTV局では「一雨ごとに秋が近づいています」
という表現をアナウンサーが用いていました。
■朝食時には、ホテルの前の緑の芝生の上を、
ツバメが地上10cmほどの超低空の高速飛行で繰り返し飛んでいました。
これは飛びながら虫を捕っていたのです。
撮影をしてみましたが、暗い上に、
拡大率の大きい装置ではなかったので、
思ったような画像は撮れませんでした。
■午前中は雨降り続きのため、ホテルで仕事をしていました。
昼過ぎになって観察のためにゲレンデに上りました。
ゴンドラ駅の気温は、13時半に16.4度Cで大変低値でした。
手持ちの温度計でも17度C。
一般には19度C以下では、
グランデコのアサギマダラはほとんど活動できません。
■ひととおりゲレンデのポイントを回りましたが、
予想通り吸蜜しているアサギマダラは皆無でした。
西大巓の山は雲に覆われ、ゲレンデの上部は霧の中で、
その霧は次第に下りて、ゲレンデ全体を包みました。
■ただし、ゲレンデを囲む森の一箇所で、
2頭のアサギマダラが梢の上をふらふらと飛んでいるのを目撃しました。
私が「宿替え飛翔」と呼ぶことにした状態です。
雨の降る中でも、ときどき雨宿りしている場所
(といっても雨が防げているわけではない場所がほとんどですが)
を替えることがあるのです。
■雨の推移を見るために、リフト駅の屋根の下で時を過ごしていたところ、
目の前に一頭のアサギマダラが現れました。
いかにも私に標識してください、といわんばかりに
私の目の前でホバリングを続けています。
そこで、そうっとネットに納めて標識をしたのがSRS8810。
上に示した本日唯一の標識個体です。
新鮮な雄でした。
このような好奇心に満ちた行動をするのは
ほぼ例外なく翅に破損のほとんどない新鮮な個体です。
■筆者が標識をしていると、周囲を飛び回る個体がいるのは
グランデコでの特徴の一つですが、
ことしはそのような個体が多くありません(これまでに数例)。
■本日は、早めに下山しましたが、ゴンドラ駅では、霧の中で
ホテルの庭で行っていたのと同様に、
ゴンドラ駅の近くのゲレンデで、
超低空飛行+霧中飛行を繰り返していました。
今年は、ゲレンデに遅れて現れた燕たちですが、
雨が降ろうと振るまいと、せっせと虫を捕る日々を過ごしています。
■夜は、レストランの窓辺のガラスの外にアキアカネが来ていました。
トンボが照明に飛んで来るのは、例としては多くないと思いますので、
ガラス窓の中から撮影をしました。
■ゲレンデでは、ヨツバヒヨドリの花に緑のバッタが止まっていました。
ここには多くのバッタが例年発生し、
8月を通してどんどん成長していきます。
その経過で、8月の終わりに近づくと、
草に止まったまま命を失っている個体が見られるようになります。
今年も、数例そのような状態を見ています。
おそらく病気なのだと考えています。
■今年のグランデコで見た蝶を振り返ってみました。
キベリタテハは数頭見ました。
ヒョウモン類の個体数が少ないと感じています。
特にミドリヒョウモンは極めて少なかったです(8月上旬は通常は多い)。
メスグロヒョウモンは見ていません。
モンキチョウも過去に比べると多くありません。
スジグロチョウはそこそこの数を見ました。
ヒカゲチョウは見ていません。
ヒメキマダラヒカゲは非常に少なく、年々少なくなっています。
クロヒカゲはそこそこいますが、過去に比べると減っています。
ヒメシジミも例年多く発生する場所に、
今年は8月上旬だけ数頭見ただけでした。
■他に、今年ここで見た蝶は、キアゲハ、ミヤマカラスアゲハ、
ウラギンヒョウモン、オオウラギンスジヒョウモン、
オオチャバネセセリ1頭、キバネセセリ1頭、サカハチチョウ1頭など。
見ていないのは、コムラサキ、テングチョウ、トラフシジミ、・・・。
2004年、2005年頃には、ゲレンデに多種類の蝶がいましたが、
年々減っています。
アサギマダラも個体数は減少傾向にありますが、
ゲレンデではダントツに多く種類で、
そこがアサギマダラの特異なところと言えるかもしれません。
私の想像するには、蝶の個体数が減っているのは、
ここだけではなく、全国の多くの場所でそうではないかと思います。
■2008年は、ヤンマの発生が見られません(一頭だけ目撃)。
アキアカネも数年前に比べると非常に減っています。
ノシメトンボはほとんど見ません。
■ゲレンデ周辺では、植物が秋めいています。
1昨日(8月19日)、ゲレンデの下界(標高1000m近く)では
秋への曲がり角(ターニングポイント)を超えたと述べましたが、
今日はその第二歩の歩みを感じました。
すなわち、観察を通して、急速に秋に向かっている印象を持ちました。
ノブドウの葉が色づき初めています。
ゴンドラで見ると落葉松(からまつ)の枝先の
白っぽく伸びた部分が目につくようになりました。
ウダイカンバの葉にも黄色みが増えました。
ススキの群落も葉の色調に黄色みが少し増したように思います。
笹(チシマザサ)の茶色も増えたことがゴンドラから確認できます。
オオバカメノキの葉が下界で赤くなりました。
実は紅になっていきますが、葉の紅葉も次第に進んでいくのです。
ホテルの芝生も茶色が増していることに気づきました。
しかし、植えてあるアキニレの葉は不変で、メグスリノキも不変。
いずれも秋には変色しますが、今はまだ緑色の葉を保っています。
■筆者の現在の印象は、08年のグランデコ周辺に関する夏の特徴付けは
「成長は早いが、成熟が遅い夏」というものです。
これは丈は早く伸びたが、花は豊かに開花していない種が多く、
開花の時期も遅れているものが多いことを意味しています。
■昆虫も植物も08年の夏から秋への移行がどうなっていくのか、
注意深く見守りたいと思います。
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■タテハチョウ科マダラチョウ亜科(以前はマダラチョウ科とすることもあった)アサギマダラ属アサギマダラ。学名Parantica sita 。英名Chestnut Tiger。
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SRS研究所の公式HP<参考HP>
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■08年8月20日(水曜日)は、08年のグランデコスキー場での
アサギマダラのマーキングの15日目でした。
この日はSRS8221からSRS8809までの
589頭にマーキングをしました。
この値は天候のよかった前々日とほぼ同数です(前々日は591例)。
写真上はその最初に標識したSRS8800の画像です。

[080820] 福島県耶麻郡北塩原村桧原荒砂沢山 グランデコスキー場。デコ平。
■4日間連続して雨→1日よい天気の日→雨の日、
と続き、本日を迎えました。
この地域の天気予報は、午前30%→午後20%→夜40%
という降雨確率でしたが、幸い、日中は雨が降らず、
多くのアサギマダラに出会うことができました。
ただし、朝方は西風が強く、
ゲレンデで見るアサギマダラは少なめで、
午後に、増えて来ました。
ゴンドラ駅の気温は、朝9時で16度Cで大変低いものでしたが、
手持ちの温度計は21.5度Cで、体感は後者に近いものでした。
■本日のアサギマダラの特徴は、昼間全体を通して鋭敏かつ敏捷で、
近づくとすぐ逃げ、飛ぶ速さも速いものでした。
■アサギマダラは外界の状態にシンクロして行動様式を決めています。
筆者はこれをレゾネーション(共鳴)という用語で説明しています。
アサギマダラは環境に共鳴しながら、
適応して生き延びていく智性を持った生き物です。
これを「ネゾネる智性」と呼ぶことにしたいと思います。
アサギマダラを観察することによって、
人間が学ぶことはたくさんあります。
グランデコのゲレンデで、筆者は日々、
「アサギマダラの教え」を学んでいるわけです。
■今日は、単独で逃げるときと、集団で逃げるときの
飛び方の違いを「教えて」もらいました。
単独行動をしていて逃げるときは、気づくのが遅れ、
個体の意志のみで逃げますので、飛び方もワンパタンーで
「振り返って確認する」動作が入るので、
捕獲するチャンスが大きくなります。
ところが集団で過ごしていて逃げるときは、
そのうちの一頭のシグナルで一斉に逃げます。
したがって、まず異常を速かに察知することになります。
そして、振り返ることなく、一気に逃げます。
したがって、捕獲の間を与えるチャンスが減ります。
さらに、集団で逃げるときには、
(これが今日学んだことですが)
飛び方が極めて複雑なパターンになるのです。
それは空間で、お互いの空間位置に反応しながら飛ぶので、
飛跡(飛ぶ道筋)が全く予測不可能なパターンになります。
それによって、捕獲される可能性はさらに減ることになります。
こうして、アサギマダラは集団行動をすることによって、
逃げる確率を増すことができるのです。
■午前中に、福島明成高等学校の江川先生、穂積先生、
高校三年生の生徒さん3名が
アサギマダラ観察会に参加されましたので、
解説と標識指導を行いました。
この生徒さんはアサギマダラの研究をすることになるそうです。
■今日のアサギマダラ観察会には、
昨年グランデコのアサギマダラ観察会に参加され、
小学校4年生のお子さんが、2頭標識して放蝶しただけなのに、
1頭が鹿児島県の喜界島で再捕獲されたご家族が再参加されました。
■20km離れた安達太良山で標識されたHKマークのアサギマダラを
3頭再捕獲していて、放蝶者が不明でしたが、
実は昨年グランデコの観察会に参加された小柴さんが標識者と
分かりました。本日の観察会に参加されたので
お会いして確認できてよかったと思いました。
■この日は標高の低めのところで標識をしました。
■本日標識した589頭のうち雌は40頭で、比率は6.8%。
雌比率としては非常に低いものでした。
雌比率は
15%、15%、23%、16%、24%、
24%、8%、6%、7%、17%、0%と推移しています。
■交尾痕のある雌個体は1頭(SRS8260)で、やや古い個体でした。
この個体には硬結がありました。
これまでにグランデコで交尾痕のあった雌で本当に新鮮な個体は1例のみ
で他はやや古い個体であったことは注目すべきことです。
■ヘアペンシルの出た雄個体は1頭(SRS8436)。
右側のみの例です。今年の夏に見たヘアペンシル例は
すべて片側だけ出ていました。
■翅の変形は8例(SRS8225、8316、8323、8383♀、
8396、8587、8728♀、8735♀)。割合は1.4%。
やや多めです。
■ここ数日、モンシロチョウ程度の小さい個体が
目立つほどに増えています。どこから飛来しているのでしょう。
■「中古の個体」は4例(SRS8260♀交尾済、8315、
7937、7975)。
「古い個体」は0例。
合わせて4例となり、その割合は0.7%です。
■「病気」と思われる個体は1例(SRS8508♂)でした。
腹部の横が削られたようになっています。
人間で言えば、皮膚疾患にあたる病変かもしれません。
■589例のうち、前日8月19日の標識のある個体の再捕獲は1例。
前日は14例しか標識しませんでしたから、この値を用いて
確率的な推定するのは意味がありません。
かわりに、前々日の数字を用いる方が意味があるでしょう。
8月18日の標識のある個体の再捕獲は8例。
その日は591例に標識をしましたから、
591×589/8=43512頭(=約4万頭余)となります。
以下に、より意味のあると思われる推定をしておきましょう。
■標識日を日付順にA、B、C、・・・とすると、各日の分の再捕獲は
A0、B4、C5、D2、E5、F5、
G2、H9、I0、J3、K5、L0、M8、N1
となり、その合計は
0+4+5+2+5+5
+2+9+0+3+5+0+8+1=49例です。
筆者の標識した個体は累積で昨日までに4894例ですから、推定値は
4894×589/49=58828(頭)[=約6万頭]
となります。すなわち、
8月19日(=前日)には約6万頭程度のアサギマダラが
「ゲレンデ周辺(見えないところも含めた仮想領域)」にいたと推定されます。
8月18日の再捕獲による8月17日の推定値も
約4万頭でしたから、
今日の2つの方法による推定値4万頭余~6万頭という値は
個体数がさらに増えたことを示唆していると思われます。
■当日筆者が放蝶した個体の自己再捕獲は4頭でした。
これが少ないことも、全体の個体数が増えたという
予想に矛盾しません。
■筆者以外の人が標識した個体の再捕獲は26例でした。
これは筆者の放蝶した個体の再捕獲数に比べると
多めに見えます。
■白い部分が多い個体(白い部分の斑紋模様が派手に見える個体)
は増えたままで著変なし。例としては、SRS8395(黒っぽい)、
8422、8477、8560、8567、
8585(8700はよい対照)、8671、8693など。
いずれも♂です。
■鱗粉のある場所の全体が普通より黒っぽい個体の例は、
SRS8231、8286、8516(前項を兼ねる)、
8517、8525、8551、8562、8599、8614、
8711など。いずれも♂です。♀の場合は、正常のものとの区別が
やや難しいので、特に取り上げていないことも例示していない理由です。
このうち、8711は、黒いだけでなく、やや古くもあります。
これは8月の時間経過が長くなって来たことと関係するのでしょう。
黒っぽい個体は増えていますが、
このような個体は翅だけでなく、腹部の色彩も黒さが強いものです。
■今日は、一昨日と同じように、
昼間は高層での雲の展開を楽しむことができました。
しかし、夕方には、空に雲が広がり、
19時に下山するまでに空はすべて雲で覆われてしまいました。
グランデコの夏は雨天とのかけひきで気を使います。
アサギマダラは高原で優雅に夏を過ぎしているだけはなく、
日々ダイナミックな天候変化に対応しながら、
成熟への一時期を過ごし。
彼らの「青春の物語」をつむぎ出しているのです。
■明日、8月21日の天候は終日傘マークがついています。
午前30%、午後20%、夜40%の降雨確率。
温度も低そうですから、明日は成果の乏しい日になりそうです。
全国的に見ると、福島県を取り囲むエリアだけ雨が降る予想になっています。
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■タテハチョウ科マダラチョウ亜科(以前はマダラチョウ科とすることもあった)アサギマダラ属アサギマダラ。学名Parantica sita 。英名Chestnut Tiger。
■本ブログの総合的な画像目次や、ブログ内容を地域毎・テーマ毎にまとめた画像目次を下記のHPから見ることができます。
●
SRS研究所の公式HP<参考HP>
●
グランデコ・デコ平・裏磐梯でのアサギマダラ・自然旅行体験(SRS研究所)●
3Dアサギマダラの世界(SRS)●
SRSアサギマダラ生態図鑑●
2008年アサギマダラ移動調査記録(SRS)■ランキングのために次の2つをそれぞれ一押ししていただければ幸いです:
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■08年8月19日(火曜日)は、08年のグランデコスキー場での
アサギマダラのマーキングの14日目でした。
この日はSRS8207からSRS8220までの
14頭にマーキングをしました。
写真上はその最初に標識したSRS8207の画像です。

[080819] 福島県耶麻郡北塩原村桧原荒砂沢山 グランデコスキー場。デコ平。
■4日間連続して雨が降った翌日、
1日よい天気となりましたが、その翌日は
朝から夕方まで60%の降雨確率の予測があり、
実際にその日は朝から雨降りとなってしまいました。
その状態ではアサギマダラに出会うことは無理ですが、
様子を見に、ゲレンデに向かいました。
13時半の時点でゲレンデ駅の温度は16.5度。
これではアサギマダラは通常は動けません。
小雨の中で観察して回りました。
■雨の中ではありますが、
宿にしている高木の枝の間を移動するアサギマダラを数頭見ました。
これは「宿替え」をしている可能性があります。
「翅の水を振り払う」、「運動不足を解消する」などの
可能性も考えられますが、枯れた小枝に止まり直す個体もあり、
これはぬれることを覚悟で止まっていますから、
「翅の水を振り払う」ということではないことが分かります。
■枯れ枝に止まるのはアサギマダラの習性のひとつで、
南西諸島でも同様のことが見られますが、
南西諸島の場合はつる植物が活用されるケースが増えます。
■小雨の中でも、ごく稀に花に止まっている個体がいます。
■14:30頃になると、雨が上がりました。
すると、カラマツ(唐松、落葉松)の
数メートルの高さの梢の上では、
ときどきふらふらと飛び立つ個体が観察できます。
風が吹いたりすると、数頭が同時に飛び立って、
風に向かって泳ぐように羽ばたいた後に、
また枝に戻ったりしています。
このような動作は、「水を払う」「ちょっと運動をする」
といったことに対応する可能性があります。
止まっている場所を少し移動することにもなりそうです。
■雨は上がっても、捕獲できる高さまで下りて来る
アサギマダラはほとんどありませんでした。
結局、移動中の個体や、異例な行動をしたアサギマダラなど、
合計14頭に標識をすることができました。
この個体数はこの夏の最低値です。
■14頭はすべて新鮮な雄でした。
■ヘアペンシルの出た例は0頭。
■翅の変形のある例も0頭。
■「中古の個体」も「古い個体」も0頭。
■「病気」の個体も0頭。
■再捕獲は0頭ですから、頭数推定はこの日はできませんでした。
■白い部分が多い個体(白い部分の斑紋模様が派手に見える個体)も0頭。
■鱗粉のある場所の全体が普通より黒っぽい個体も0頭。
■15:30には、濃霧が周囲に立ちこめて来ました。
手持ちの温度計でも17.5度Cと下がっており、
アサギマダラが活動できる状態ではなくなりましたので、
下山をしました。
■山を下ったホテルの近くでは、いつもより早い時間で、
雨も霧もなく、何とか撮影も可能な状況でしたので、
湿原を中心に散策をしました。
雨に打たれて、美しい状態ではありませんでしたが、
例年と比較して、季節の進行を改めて考える素材を得ました。
■1200mレベルでは、
オカトラノオの花はまだ咲いていました。
ノコギリソウは満開状態です。
ツリガネニンジンも満開です。
カワラナデシコの花が若干咲いています。
ハクサンフウロの花が咲いています。
ゲンノショウコも咲いています。
タムラソウの花は多くはありませんが咲いています。
ナガボノシロワレモコウはこれから開花という状況で、
少し遅れています。
アケボノソウは開花していません。
クリンソウの花は終わっています。
センダイハギは実がなっており、花はありません。
ヤマウルシの葉は紅くなりかかっています。
リョウブは花を終わろうとしています(上の方では開花中)。
ノリウツギの花は変色するほどに咲ききっています。
オトコエシの花を見ますが、これはやや咲き遅れています。
キンミズヒキがわずかに開花し、一部は実になっています。
ツリフネソウやキツリフネソウの株がありますが、
例年よりかなり遅れており、まだつぼみも小さいものが多いです。
アシ(葦)はぐんぐん伸びて、一部、花穂が出始めています。
アブラガヤは大きな群落を作って花穂を出していますが、
数年前ほどの勢いはありません。
ヨツバヒヨドリはこのレベルではほとんど花が終わりかけています。
ミズバショウの葉はずいぶん大きく育っています。
ススキの穂が1割くらい伸び出てきました。
ヨモギは高く伸びていますが、
開花はこれからという状態の株が多く見られます。
メグスリノキが植えてありますが、紅葉の気配はありません。
ホテルの庭ではオオバギボウシの花が完全に終わりました。
セイヨウノコギリソウはこれから開花しようとしています。
これは例年より遅いです。
ナナカマドはまだ緑のもの、一部黄色みを帯びたもの、
色とりどりです。赤くなったものはまだありません。
ヤドリギは緑の葉を持ち、丸い実をつけています。
ブタクサは芝生の上に大繁茂していたところは刈られてしまいましたが、
ところどころでは元気に咲いています。
以上を総括すると、遅いもの、早いもの、
季節時計の進み方は種類によってさまざまですが、
まさに今日あたり、季節のターニングポイントになっていると感じます。
昨日の素晴らしい雲は、西大巓の山全体としては、
天空の季節の曲がり角を曲がったことを示していました。
「その裾野の大地」では、まさに「今日」、
季節の曲がり角を超えたことを感じました。
■ちなみに、標高がやや高い標識をするゲレンデでは、
標高は1400m程度で、そこでは以下の状態です:
ユキザサの実が真珠のように実っています。
クロヅルはほとんど花を終え、大半は実になっています。
ナルコユリの緑の実が見事に実っています。
ホウチャクソウは実が黒くなっています。
オオカニコウモリは花が咲いている状態です。
ツルリンドウも開花しています。
ヤマハハコは例年より花の生育が不良に見えます。
ヒオウギアヤメは大半は実になっていますが、
一輪だけ青い花が咲いています。
ウドの花をつける茎がぐんぐん伸びて花が咲いています
(これは例年より遅い)。
ツルアジサイの花やイワガラミは筆者が来る前に花が終わっています。
これは非常に早い経過を取ったようです。
アキノキリンソウが咲き初めています。
オトギリソウも多くはありませんが咲いています。
イケマの花は終わりました。
ハンゴンソウの開花はやや遅れており、花数も多くないように見えます。
ミズキの緑の実は大分変色して藍色っぽくなっています。
オオバカメノキの実は成熟がやや遅れています。
シナノキやコシアブラの花はアサギマダラが好む植物ですが、
ゲレンデでは実に移行しています(グランデコでは、シナノキで
アサギマダラが吸蜜しているのを8月上旬には見ることができます)。
コシアブラで吸蜜しているアサギマダラはまだ見たことがありません。
コウゾリナはよく育って咲いています。
例年はアオダモの実があるのですが、ここ2年間、なぜか実を見ません。
カエデの仲間はごく一部を除いてはまだ色づいていません。
ツタウルシにもまだ紅葉の兆しはありません。
以上を総合判断すると、標識をするゲレンデのレベルでは、
秋の到来は若干遅れているように感じます。
■標高が1300mあたりの中間の場所では、どうでしょうか。
トチノキの実が2.5cmほどの大きさに育っています。
(2日後、他の場所での実は2cm以下であることに気づきました)。
ホオノキの実も一部で育っていますが、
実そのものの数年前より数が少ない状態です。
サワグルミは花穂が垂れたままで推移しています。
若干のノアザミの花が咲いています。
トネアザミがびっくりするほど伸びています。開花は2割程度。
フキの葉が軽度に変色を初めています。
エゾアジサイは花期をほぼ終えています。
ゴンドラから見えるトモエソウの花は最近は見えなくなりましたので、
花期を終えたのでしょう。
■明日、8月20日の天候は傘マークがついています。
しかし、本日より改善することを期待したいと思います。
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■タテハチョウ科マダラチョウ亜科(以前はマダラチョウ科とすることもあった)アサギマダラ属アサギマダラ。学名Parantica sita 。英名Chestnut Tiger。
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●
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■08年8月18日(月曜日)は、08年のグランデコスキー場での
アサギマダラのマーキングの13日目でした。
この日はSRS7616からSRS8206までの
591頭にマーキングをしました。
写真上はその途中で標識したSRS8200の画像です。

[080818] 福島県耶麻郡北塩原村桧原荒砂沢山 グランデコスキー場。デコ平。
■4日間連続して雨が降った次の日、
8月18日はよい天気が予測されていました。
ゴンドラ駅での気温は午前9時に
16度Cと信じられないほどの低値(今夏の最低)でした。
しかし、体感としては爽やさを感じました。
ゲレンデに出て見ると、まもまくアサギマダラを次々と見ることができました。
手持ちの温度計では21.5度C。こちらの値の方が、
ゲレンデの実際に近い値なのでしょう。
数日来見ることができないほどの多くのアサギマダラに
ところをさほど選ばないで出会うことができました。
その結果、今回のマーキングの最高頭数である591頭に標識できました。
■グランデコのスタッフが行うアサギマダラ観察会でも、
多くの個体に標識が出来たようです。
■この日は相対的に標高の低いところと高いところの両方で標識をしました。
■雌は95頭で、割合は約16%。雌比率は
15%、15%、23%、16%、24%、
24%、8%、6%、7%、17%と推移してきました。
■交尾痕のある雌個体は1頭(SRS7906)で、やや古い個体でした。
■ヘアペンシルの出た雄個体は1頭(SRS7649)。
左側のみの例です。今年の夏に見ているヘアペンシル例は
すべて片側だけ出ています。
■翅の変形は7例(SRS7689、7810、7893、7913、
8021、8025、8197)。割合は1.2%。
■「中古の個体」は4例(SRS7739、7877、
7937、7975)。
「古い個体」は2例(SRS7635、7960)の2例。
合わせて6例となり、その割合は1.0%です。
■「病気」と思われる個体は1例(SRS8015♀)でした。
これは尾端に病変があり、変色が見られました。
■591例のうち、前日8月16日の標識のある個体の再捕獲は3例。
前日は30例しか標識しませんでしたから、この小さい値を用いて
確率的な推定するのはあまり意味がありませんが、形式的に推定すると、
591×30/3=5910値となります。
以下に、より意味のあると思われる推定をしておきましょう。
■標識日を日付順にA、B、C、・・・とすると、各日の分の再捕獲は
A2、B6、C8、D11、E6、F12、
G8、H6、I1、J6、K4、L3
となり、その合計は73例です。
筆者の標識した個体は全部で4880例ですから、推定値は
4880×591/73=39508(頭)
となります。すなわち、
8月15日(=前日)には約4万頭程度のアサギマダラが
「ゲレンデ周辺(見えないところも含めた仮想領域)」にいたと推定されます。
8月16日の再捕獲による8月15日の推定値も
約4万頭でしたから、
今日の推定値49508頭という値もほぼ事実に対応すると思われます。
■筆者以外の人が標識した個体の再捕獲は15例でした。
筆者の標識結果との比率で見ると、
4880×15/73=1003
すなわち、約1000例くらいは観察会その他で
標識された可能性があります。
■なお、当日、筆者が放蝶して、自己再捕獲をした例は5例です。
この値も、当日の個体数を把握する上で役立つと考えて、
毎日記録しています(議論の詳細は省略)。
■白い部分が多い個体(白い部分の斑紋模様が派手に見える個体)
は増えたままなので、記録は特に取っていません(今後も)。
■鱗粉のある場所の全体が普通より黒っぽい個体は
SRS7632、7988、8024、8032、8098が
目立ちました(他にもあり)。
いずれにしても黒っぽい個体は増えつつあります。
これは翅色が羽化する時期に依存するのか、
あるいは羽化する場所に依存するのか、興味が持たれます。
前者ではないかという気がしています。
すなわち、羽化する時期が夏の終わりに近づくほど、
羽色が黒くなるのではないか、というのが筆者の仮説です。
■8月17日(昨日)には、手持ちの温度計で20~21度、
ゴンドラ駅の温度計では18度という温度で、
日差しがあり、風もなく、夕方でもない条件下で、
アサギマダラがまったく見られなくなり、
大変不思議に思ったのですが、
8月18の9時頃にはそれと大差のない9時頃の条件で
大変多くのアサギマダラが見られました。
やはりアサギマダラには月並みのデータでは理解しがたい
「本当に本当に不思議」な性質があると思われます。
前日は、今夏の最低の標識頭数でしたが、
本日は、今夏の最高の標識頭数となりました。
■再捕獲例がありました。
「あだたら HK 65 8/14」という♂個体です。
これは「SRS8199 デコ 8/18」と標識して放蝶しました。
同じ標識者の個体を捕獲するのは今年の夏で3例目です。
第一例、第二例は、以下の通りです。
「あだたらHK21 8/2」(SRS4849 デコ 8/9)
「あだたらHK52 8/2」(SRS5473 デコ 8/11)
以上の3例は、安達太良山から約20km離れた
グランデコのスキー場に着実に飛来してくる個体がある
ことを証明しています。
■雌の比率については、現在、2つの作業仮説を持っています。
第一仮説は、「天候不良の日は雌比率が下がる」こと、
第二仮説は、「標高の低い方が雌比率が下がる」ことです。
このうち、第二に関して、本日検討した結果を示します。
検討(1)「ゲレンデAの標識の高めのエリアで標識した結果」は
72頭のうち17頭が雌で、雌比率は23.6%でした。
検討(2)「ゲレンデAの標識の低めのエリアで標識した結果」は
113頭のうちの20頭が雌で、雌比率は17.7%でした。
検討(3)「ゲレンデBの標識の低めのエリアで標識した結果」は
406頭のうち、58頭で、14.3%でした。
検討(1)と検討(3)を合わせると、
2箇所の標高の低めのゲレンデで調べた結果は、
519頭のうち78例で、15%でした。
以上から、標高が低めのエリアでは15%、高めのエリアでは23.6%
とまとめることができ、第二仮説を支持する結果が得られました。
この結果は統計的にも有意になっていることでしょう。
この現象に関してはさらにデータを増やして調べていく予定です。
■5日ぶりのこの日は、青空に次々と素晴らしい雲が展開して、
心をのびのびさせてくれました。
例年、グランデコの空にはとても美しい巻雲が出るのですが、
この日が本格的に巻き雲が出る最初の日になりました。
(最初に巻き雲を見たのは雨の降り始めの日でした)。
8月の上旬は上昇気流によってもくもくと立ち上がる
「楽しい雲の遊び」を眺めて楽しむことができるのですが、
8月の半ばすぎには秋の気配を感じさせる高い雲の展開を
見ることができるようになります。
雲の舞台の標高が低いレベルから、
高いレベルに移行したのです。
舞台が上がると、淡い雲が羽衣のように美しく優雅に展開して、
心を高揚させてくれます。
この日はその中でもおぼろ状態になった群雲が特に印象に残りました。
■陸地の舞台だけでなく、
空の舞台も日々季節の変化を教えてくれるのです。
人間は立ち止まることがあっても、
季節は決して立ち止まることなく
日々の歩みを進めていきます。
■アサギマダラはそのような舞台の変化に鋭敏に反応して
集団の挙動を変化させて行きます。
■私はアサギマダラの行動を読むためには
「地水火風空人物命」をとらえることが重要と考えていますが、
雲は「水」をその本態とし、「火(熱エネルギー)」によって生成され、
「風」によって駆動され、「空」を舞台とする重要な自然界の要素であり、
アサギマダラを「読む」ためには「雲を読む」ことが重要です。
雲の変化とともにアサギマダラの行動も変化していきます。
■明日、8月19日は再度、終日雨天の予想です。
再び、標識頭数は減ることでしょう。
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■08年8月18日(月曜日)の朝6時40分の磐梯山の姿を示します。
標高1200mあたりの裏磐梯(北側)から眺めた様子です。
磐梯山は大爆発のために頂上部分が吹っ飛び、二峰に見えています。
裾には白い雲が広がっています。
通常の雲は頂上もしくはその上にかかりますから、
このように下を埋めているということは、
下界が霧の中にあることを示しています。
しかし、上空はからりと明るい空の色で、
4日間続いた天候不良が開けて、
爽やかな一日が始まる予感がします。
■本日はアサギマダラの標識の13日目。
おそらく波乱の日々が納まったこのような日には
多くのアサギマダラに出会えることが期待されます。

[080818] 福島県耶麻郡北塩原村桧原荒砂沢山 グランデコスキー場。デコ平。
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■08年8月17日(日曜日)は、08年のグランデコスキー場での
アサギマダラのマーキングの12日目でした。
この日はSRS7586からSRS7615までの
30頭にマーキングをしました。
写真上はその途中で標識したSRS7586(左)と
SRS7590(右)の画像です。
左は、後翅の色調が黒っぽくなっています
(これを筆者は黒化個体と呼びます)。
ここ数日、このような個体が増えています。
右はほぼ正常の例で、比較対照のために示しました。

[080817] 福島県耶麻郡北塩原村桧原荒砂沢山 グランデコスキー場。デコ平。
■17日の降雨確率は午前50%、午後20%という予測でした。
予想最高気温は18度という低い値でした。
ホテルでは朝から雨が降っていました。
ゲレンデに上っても同じで雨降りで、その上霧に包まれていました。
ゴンドラ駅での気温は18度C。
雨が降って、温度が18度ではアサギマダラが動ける理由がありません。
一般に、グランデコのゲレンデでは19度Cより低い温度になると、
アサギマダラは活動できなくなります。
■本日は、筆者の指導するアサギマダラ観察会の日でした。
10時までの間、レインコートを着て、ゲレンデを歩き回りましたが、
移動中の4頭を標識できたのみ。
花に吸蜜に来ている個体はありませんでした。
観察会の開始を30分から1時間遅らせる案も出ましたが、
結局、11時頃まで雨は止むことはなく、
観察会は中止となりました。
■11時頃から雨がほぼ止んだので、ゲレンデを歩き回りましたが、
10分に1頭を見るか見ないか、という状態でした。
8月10日に観察会に来た方が再訪されて、
2年前に安達太良山でその方が
撮影して再確認したアサギマダラの写真を持って来てくださいました。
これは20068月12日に筆者がグランデコで標識して、
8月19日にその方が安達太良山(約20km東方)で撮影したのでした。
グランデコから夏の間に安達太良山に移動した貴重な例です。
■この日も相対的に標高の低いところのみで標識をしました。
■雌は5頭で、割合は約17%。
15%、15%、23%、16%、24%、24%、8%、6%、7%
と推移した雌比率の変動ですが、今回は30例という少ない数の中の
比率ですから、明確な判断ができません。
天候が改善してから、意味を再考したいと思います。
■交尾痕のある雌個体は0頭でした。
■ヘアペンシルの出た雄個体は0頭。
■翅の変形も0例。
■「中古の個体」も「古い個体」も0例でした。
■「病気」と思われる個体は0例でした。
■今回の30例のうちには何と、一例も再捕獲例はありませんでした。
したがって、本日は、いずれの方法を用いても
頭数の推定はできないことになりました。
■筆者以外の人が標識した個体も本日は0例でした。
■白い部分が多い個体(白い部分の斑紋模様が派手に見える個体)
は前日と著変なし。
■鱗粉のある場所の全体が普通より黒っぽい個体は
SRS7586[上図左]、SRS7599などが該当例でした。
■昼前後には再度小雨が降り、
霧が上からは降りるし、下からは上がって来る、という状況で、
霧にはさまれてサンドイッチ状態になっていました。
そんな中で、湿度も高く、カメラも一時結露して、
画像がきちんと撮影できなくなり、やむなく、
予備のカメラを使う場面もありました。
■本日極めて不思議に感じたのは、
午後1時半以後は雨は降らず、ときおり青空も見え、
暖かさも感じられ、風もほぼ無風で、
雲はあるものの十分な明るさを感じさせるゲレンデの状態で、
人間にとっても比較的心地よい条件になったのですが、
それでも吸蜜に訪れるアサギマダラを
ほとんど見ることができなかったことです。
■このような事態は、過去のグランデコでは
思い当たる経験があまりありません。
結果から見ると、16時頃には、
私の手持ちの温度計では20~21度、
ゴンドラ駅の温度計では18度という低い温度でしたので、
それがアサギマダラを見なかった一番の理由だったとも考えられますが、
過去には、その程度の温度の条件でも、日差しさえあれば、
かなりの数のアサギマダラが見られることを何度も経験しています。
したがって、温度の条件を考慮しても、
「本日ほどアサギマダラに巡り会えなかった」ことは
「本当に本当に不思議」に感じられました。
■そもそも2008年の夏には、「まだ明るいうちから
突然ぱったりアサギマダラの姿を見なくなる」ことが
繰り返されています。
過去数年とはアサギマダラの挙動が異なって来ているように思われます。
■では、アサギマダラはいったいどこでどうしていたのでしょうか。
一部はカラマツの高い枝に止まっているのを見たり、
一部は林の中でふらふらと飛んでいるのを見たりしました。
おそらくほとんどのアサギマダラは、
夜間に止まったいた場所(=比較的高い樹の枝)に
そのままじっと身動きせずに止まっていたのでしょう。
■8月17日は、結果として、今夏の最低の標識頭数となりました。
■明日、8月18日は曇天の予想です。降雨確率は低いので、
温度が上がれば、明日は本日より期待できるかもしれません。
■昨夜の雨のためか、アサギマダラの食草のイケマの花は
ほとんどがこぼれ落ちてしまいました。
■ゲレンデの植物はあいかわらずにょきにょきと育っています。
アサギマダラが好むヨツバヒヨドリはこれでもか、これでもか、
という具合に日々伸びています。
標高1200mレベルではほぼ開花は終わりに近づいています。
標高1400mレベルでは6割咲きくらい。
標高1500mレベルでは4割咲きくらい、という状況です。
■ヨモギもどんどん伸び、ゲレンデの芦(一箇所だけ)もどんどん育ち、
アブラガヤも急速に高くなり、ウドも草原から突出して伸び、
ゴマナも筆者の背丈を超えてなおつぼみ状態のものがほとんどで、
8月半ばでこれほど植物が伸びたことは過去数年ありません。
■ツルアジサイやイワガラミのような蔓植物はほとんど花が咲かないか、
咲いても、例年より半月も早く花が終わっているかと思うと、
他方で、例年より成長、または成熟が遅れている植物もあります。
ウドは8月中旬に開花を見るようになりましたが明らかに遅れています。
リョウブは現在開花中ですが、例年より遅れているように見えます。
オオバカメノキの実が赤くなる時期は遅れているように思われます。
ミヤママタタビの白またはピンクの葉も例年ほど見かけません。
なんとなくちぐはぐな印象を持ち続けています。
そんな中で、アサギマダラのピークが
例年より早く過ぎてしまうことを恐れています。
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■タテハチョウ科マダラチョウ亜科(以前はマダラチョウ科とすることもあった)アサギマダラ属アサギマダラ。学名Parantica sita 。英名Chestnut Tiger。
■本ブログの総合的な画像目次や、ブログ内容を地域毎・テーマ毎にまとめた画像目次を下記のHPから見ることができます。
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SRS研究所の公式HP<参考HP>
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グランデコ・デコ平・裏磐梯でのアサギマダラ・自然旅行体験(SRS研究所)●
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■08年8月16日(土曜日)は、08年のグランデコスキー場での
アサギマダラのマーキングの11日目でした。
この日はSRS7181からSRS7585までの
405頭にマーキングをしました。
写真上はその途中で標識したSRS7400の画像です。

[080816] 福島県耶麻郡北塩原村桧原荒砂沢山 グランデコスキー場。デコ平。
■16日の降雨確率は午前も午後も70%という予測でした。
午前中に、台風が伊豆諸島を通過し、
全国でも豪雨が予想されていました。
朝7:30頃にホテルのレストランの芝生の上を
一頭のアサギマダラが壁の方に向かって飛来し、
そこでターンをして別な方角に飛んで行く場面を見ました。
レストランの近くでアサギマダラを見るのは大変に珍しいことです。
また、ゴンドラに乗る前にも、
芝生の上を飛んでいくアサギマダラ2頭を見ました。
これも極めて珍しいことです。
平素は霧が山の上から下に降りて来るものですが、
この日は朝食中に霧が下から上に上がっていくのが見えました。
■ゲレンデに上ると、西大巓の上部は前日同様、朝から雲に覆われていました。
温度は24くらいあり、日差しもうっすらとありました。
降雨予想にも関わらず、昼過ぎまではそこそこの数を標識できました。
しかし、午後1時半過ぎににわか雨が降って来ました。
リフトの倉庫の屋根の中に逃げ込んで、雨をしのぎました。
その後、再度、雨が上がりましたので、標識をしましたが、
結局、雨がまたもや降り始め、
今度の雨はかなり長引きそうなので、16時に下山を決心しました。
結局、その雨は一晩中降り続けることとなりました。
雨が降るまでにかなり頑張ったので、405頭に標識ができました。
前日同様、標識中は蚊やぶよとの戦いでした。
■この日も相対的に標高の低いところのみで標識をしました。
■雌は27頭で、割合は約7%と前日に続いて低い値でした。
15%、15%、23%、16%、24%、24%、8%、6%、
と推移した雌比率の変動を見ると、
雨が降った3日間はいずれも雌比率が非常に低いこととなりました。
天候と雌比率との関わりをさらに調べる必要がありそうです。
■交尾痕のある雌個体は0頭でした。
■ヘアペンシルはSRS7316に認められました。割合は0.2%。
左側のみに出ていました。以上までの前例で、片方のみに出ています。
■翅の変形があったのは2例(SRS7208♂、7235♂、7238♂)。
割合は0.7%と低目の値です。
■「中古の個体」は0例。「古い個体」も0例でした。
■「病気」と思われる個体は0例でした。
■前日の8月15日に標識したアサギマダラのうち、
8月16日に再捕獲できたのは2頭でした。
前日放蝶した335頭に対して、本日は
2/405頭の割合で再捕獲されたことになりますから、
簡易な方法による前日の推定頭数は、
335×405/2=67838[頭]
となります。この計算に従えば、
8月15日(=前日)には約6万頭程度のアサギマダラが
「ゲレンデ周辺(見えないところも含めた仮想領域)」にいたと推定されます。
■8月の推定頭数は、1万頭程度から始まり、
次第に増えて2~3万頭前後になっていると示唆されていました。
今日も再捕獲の頭数が2例と少ないので、
上の方法による推定の信頼性は高くはありません。
推定値は大きすぎるように思われます。
別の推定法の結果を参考にしましょう。
■過去7日間(8月9~15日)と同様に、
日付を問わないで計算する別な推定法も行ってみましょう。
8月6、7、8、9、10、11、12、13、14、15日の
日付がある再捕獲個体の数(=本日再捕獲した個体数)を合計すると、
1+5+9+4+4+4+6+7+0+2=42頭でした。
昨日までの累積標識頭数は
7585-3326=4259頭でした。これから、
4259×405/42=41068頭[=約4万頭]
という推定値が出ます。
8月14、15日の両日の推定値はほぼ3万頭でした。
2つの方法でより高い推定値になりましたので、
16日には本当に増えた可能性が出て来ました。
[注:本ブログでは推定値の誤差に関する詳細な議論は省きます]。
この時期にもグランデコにさらに集まって来つつある可能性があります。
■白い部分が多い個体(白い部分の斑紋模様が派手に見える個体)
は前日よりもさらに増えたように感じました。
■鱗粉のある場所の全体が普通より黒っぽい個体も増えています。
■グランデコのスタッフが行うアサギマダラ観察会は一日中止をしただけで
毎日行われています(ただし、日曜日は筆者が指導予定)。
■筆者以外の人が標識した個体は8月16日には9例再捕獲しました。
■8月17日も雨天になる確率が70%と予想されています。
連続4日雨が降ることになり、困難な状況が続きます。
■8月13日に雨が降って以来、植物の背丈がぐんぐんと伸びています。
8日16日には急速に背丈が伸びていたヤマニガナの花茎が開花しました。
■8月中旬のお盆休みの頃にグランデコスキー場の天候が乱れるのは
例年のことですが、明日で終わりになることを願っています。
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■タテハチョウ科マダラチョウ亜科(以前はマダラチョウ科とすることもあった)アサギマダラ属アサギマダラ。学名Parantica sita 。英名Chestnut Tiger。
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■08年8月15日(金曜日)は、08年のグランデコスキー場での
アサギマダラのマーキングの10日目でした。
この日はSRS6846からSRS7180までの
335頭にマーキングをしました。
写真上はその途中で標識したSRS7100の画像です。

[080815] 福島県耶麻郡北塩原村桧原荒砂沢山 グランデコスキー場。デコ平。
■15日の降雨確率は50%という予測でした。
西大巓の上部は朝から雲に覆われていました。
現場のスキー場のゲレンデは上部に霧がかかり
(遠くで雲に見えるものは近くでは霧に他なりません)、
それがときどき下の方にもやもやと降りて来る状況でした。
日差しはなく、ゲレンデは暗く、温度も9時頃で18.5度と
アサギマダラが活動できる状況ではありませんでした。
実際に見渡して見るとアサギマダラが飛んでいるのは見えません。
近づいて見ると、ときにヨツバヒヨドリに止まっている
アサギマダラを見出す程度です。慣れない人であれば、
一頭もいなかった、と言うような状況でした。
■正午過ぎには雨が降り始めました。
最初は山毛欅(ぶな)の大樹のもとで雨をしのいでいました。
このようなとき、山毛欅の大樹はたのもしく雨を防いでくれます。
しかし、雨量が増すにつれて次第に葉の間から落ちる雨滴が増えてきます。
やむなく、しばらくの間、ゴンドラ駅に避難しました。
その後、雨が止んだり、降ったりという状況でしたので、
止んだときに標識をして、困難な状況ではありましたが、
335頭に標識ができました。
(雨が降ると、蚊やぶよがわんさと出て来ます。
一頭標識している間には必ず手で振り払えない静止時間がありますので、
そのすきを狙って、どんどん額のあたりを攻撃されます。
おかげで、額のあたりはぶよに刺されてでこぼこ状態になりました)。
■この日も相対的に標高の低いところのみで標識をしました。
■雌は21頭で、割合は約6%ともっとも低い値でした。
15%、15%、23%、16%、24%、24%、8%
と推移した雌比率の変動を見ると、
この日が最も低い雌の割合となりました。
昨日の8%と低い割合ですが、昨日も今日も雨が降りました。
天候と雌比率とに何かの関わりがあるのかもしれないと推測しました。
■交尾痕のある雌個体は0頭でした。
■ヘアペンシル例、腹部の病気の例、寄って来た例、
などはいずれも見られませんでした。
■翅の変形があったのは2例(SRS6852♂、SRS2920♂)。
割合は0.6%と低値。
■「中古の個体」は2例(SRS6865♂、SRS2138♂)。
「古い個体」は0例。両者を併せて、0.6%と低目です。
■前日の8月14日に標識したアサギマダラのうち、
本日再捕獲できたのは1頭でした。
前日放蝶した61頭に対して、本日は
1/335頭の割合で再捕獲されたことになりますから、
簡易な方法による前日の推定頭数は、
61×335/1=20435[頭]
となります。この計算に従えば、
8月14日には約2万頭程度のアサギマダラが
「ゲレンデ周辺(見えないところも含めた仮想領域)」にいたと推定されます。
■8月の推定頭数は、1万頭程度から始まり、
次第に増えて1万5千頭から2万頭前後であると示唆されていました。
今日も前日同様に、雨天で再捕獲の頭数が少ないので、
データの信頼性は高くはありませんが、
推定は妥当のように感じられます。
別の推定法の結果を参考にしましょう。
■過去6日間(8月9~14日)と同様に、
日付を問わないで計算する別な推定法も行ってみましょう。
8月6、7、8、9、10、11、12、13、14日の
日付がある再捕獲個体の数(=本日再捕獲した個体数)を合計すると、
3+4+7+4+7+8+3+3+1=40頭でした。
昨日までの累積標識頭数は
6845-3326=3519頭でした。これから、
3519×335/40=29471頭[=約3万頭]
という推定値が出ます。
前日(8月14日)の同じ方式の推定値はほぼ3万頭でした。
前日の推定値は信頼性が高くないので、
あくまで参考値とするのが適切と述べましたが、
この方式での推定値が約3万頭となりつつあるのは
意味があるかもしれません。
一般には第一の方法より、第二の方法の方が
大きい推定値が出ると予想されます。
[注:本ブログでは推定値の誤差に関する詳細な議論は省きます]。
■近くにいる個体数の推定値が次第に増えていくのは、
グランデコスキー場に次第に個体が集まっていくからでしょう。
8月には毎年同様な傾向が見えます。
■白い部分が多い個体(白い部分の斑紋模様が派手に見える個体)
は前日よりも増えつつあります。
(♂ではSRS7008、♀ではSRS6980など)。
■鱗粉のある場所の全体が普通より黒っぽい個体も増えて来ました。
(SRS6935、7034、7130、7155、7167など)。
■このような模様の違う個体が増えて来るのは、
外部から集団が流入しつつあることを示唆する所見の一つと思います。
■グランデコのスタッフが行うアサギマダラ観察会は、
前日は中止になりましたが、本日は行われました。
■筆者以外の人が標識した個体は8月15日には4例再捕獲しました。
■8月16日も雨天が予想されています。
連続3日雨が降ることになり、困難な状況が続きそうです。
(本日の降水確率の予想は北塩原村では50%。明日は20%です)。
8月13日ににわか雨が降り、14日は一気に草丈が伸びたのですが、
15日もさらに植物の背丈が伸びました。
アザミなどは筆者が両手を挙げても、負けるほどの高さになりました。
これからは日ごとに秋の気配が増えていきます。
夏から秋にかけての植物は、丈が高くなるだけでなく、
姿も「あられもない姿」「恥も外聞もない姿」になっていきます。
■ゲレンデでは、平素より1時間ほど早くアサギマダラが姿を消しました。
そこで下山する時間も1時間早めることとしました。
8月6日には夕闇に浮かぶ月の形はきれいな三日月でしたが、
日々その面積を増して、8月15日にはほぼ満月の形になりました。
■ホテルに近いところではススキの穂が観察され、
草むらでは多くの秋の虫の声が聞こえています。
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■タテハチョウ科マダラチョウ亜科(以前はマダラチョウ科とすることもあった)アサギマダラ属アサギマダラ。学名Parantica sita 。英名Chestnut Tiger。
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■08年8月14日(木曜日)は、08年のグランデコスキー場での
アサギマダラのマーキングの9日目でした。
この日はSRS6785からSRS6845までの
61頭にマーキングをしました。
写真上はその途中で標識したSRS6807の画像です
[6708とあるのは6807の記入ミス]。
これは下記に記載したようにリフト駅の天窓(写真下)に
自然にトラップされた個体です。


[080814] 福島県耶麻郡北塩原村桧原荒砂沢山 グランデコスキー場。デコ平。
■この日は、朝から雨天でした。
(日本海に低気圧があり、日本海側には広く前線が出来ていて、
日本海側は雨天になるだろうとの朝の天気予報がありました)。
ゲレンデを上がってみると、10時過ぎに30分間ほど
アサギマダラの活動を見ることができました。
ただし、いずれの個体も花に止まるか止まらないかの状態で
ふわふわと飛び回っているだけで、まったく落ち着かない様子でした。
それから雨が再度降り、昼すぎに少し雨が止んだときに、
若干の標識を加えることができました。
あとはずっと雨が降り続きましたので、
あきらめて、15時半に下山を開始しました。
■雨の降っている間、木陰で観察していると、
上空20m程度のところを最高で一視野に7頭程度の
アサギマダラが飛んでいく場面を見ることができました。
このような場面は毎年見るものですが、今回改めて観察すると、
これは大変不思議な出来事だと思われました。
1)目的なく、どこへ飛ぶともなく飛んでいるように見える。
2)羽ばたき方が非常に不規則である
(ただし、1秒から1.5秒ごとに数回はばたいて少し上昇する)。
3)旋回するわけでも、直進するわけでもない。
4)飛跡は上下に動く波を描くがその形は非常に不規則である。
5)相互に関心を持つことは全くなくそれぞれ単独で飛んでいる。
6)森からオープンスペースの上空に飛ぶが、
花に吸蜜に向かったりはしない。
7)雨が降っていても飛んでいる。
8)飛ぶ方向はでたらめである。ただし、少し風があるときは、
風に逆らうような飛び方をすることが多い。
9)このような飛び方をするときは、空はどんよりとしており、
湿度は高く、青空は見えない。気温は20度程度。
雨で濡れた翅を動かして、乾燥させようとしているのかもしれない、
と筆者は漠然と考えました。
■8月14日の9日目は、61頭に標識をしました。雌(♀)はそのうち10頭で、
その割合は約16%でした。過去6日間は、
15%、15%、23%、16%、24%、24%、8%
と変動が見られています。
■この日は標高の低いところのみで標識をしました。
■交尾痕のある雌個体は0頭でした。
■前日の8月13日に標識したアサギマダラのうち、
本日再捕獲できたのは2頭でした。
前日放蝶した506頭に対して、本日は
2/61頭の割合で再捕獲されたことになりますから、
簡易な方法による前日の推定頭数は、
506×61/2=15433[頭]
となります。この計算に従えば、
8月12日には約1万5千頭程度のアサギマダラが
「ゲレンデ周辺(見えないところも含めた仮想領域)」にいたと推定されます。
■8月の推定頭数は、1万頭程度から始まり、
1万5千頭前後であると示唆されていました。
今日は雨天で、標識した範囲も狭く、標識頭数が少なく、
前日の再捕獲も2頭しかないので、
データの信頼性は高くはありません。
しかし、たまたま妥当な数字になっているようです。
もう一つ推定法での結果を参考にしましょう。
■過去5日間(8月9、10、11、12、13日)と同様に、
日付を問わないで計算する別な推定法も行ってみましょう。
8月6日、7日、8日、9日、10日、11日、12日、13日の
日付がある再捕獲個体の数(=本日再捕獲した個体数)を合計すると、
6頭でした。
昨日までの累積標識頭数は
6784-3326=3458頭でした。これから、
3458×61/6=35156頭[=約3万頭]
という推定値が出ます。
前日の推定値はほぼ2万頭でした。
上にも述べたように今回の推定値は信頼性が高くないので、
あくまで参考値とするのが適切です。
[注:本ブログでは推定値の誤差に関する詳細な議論は省きます]。
■8月13日は「中程度に古い個体」も「古い個体」も0頭でした。
■翅に変形が見られたのは61頭中1頭(雄)で、
割合は1.6%でした。
■白い部分が多い個体はやはり増えつつあります。
(SRS6797♂、6811♂など)
■ヘアペンシルを出した個体は0頭でした。
■腹部に疾病のある個体は0頭。
■寄って来た個体は0頭。
■SRS6807、6808は、
リフトの駅で雨宿りをしているとき、明かり取りのある天窓に
自然にトラップされているのを見つけて
標識した個体です(上記写真は、
上がその個体の写真で、下が天窓部分の写真です)。
個体数の多い年には同じ場所に10数頭がトラップされました。
今年はそれに比べるとさほど多くありません。
■グランデコのスタッフが行うアサギマダラ観察会は、
本日は中止となりました。
■筆者以外の人が標識した個体は8月14日には1例のみ再捕獲。
■8月15日も雨天が予想されています
(本日の降水確率の予想は北塩原村では50%。明日は20%です)。
■一昨日までの夏の初めの安定した気象は、昨日を境にして、
完全に不安定な気象に移行した実感があります。
盛夏に突入すると同時に秋が始まったのです。
昨日のにわか雨が慈雨となって、昨日から本日までの1日で、
植物の背丈が驚くほど伸びました(10cm程度という実感)。
アザミ、タラ、ヨツバヒヨドリ、ハンゴンソウなど、
ゲレンデの植物は筆者の背丈を超えて一気に成長していきます。
ユキザサやナルコユリの緑の実も
ゲレンデで充実の度を増しつつあります。
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■タテハチョウ科マダラチョウ亜科(以前はマダラチョウ科とすることもあった)アサギマダラ属アサギマダラ。学名Parantica sita 。英名Chestnut Tiger。
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■08年8月13日(水曜日)は、08年のグランデコスキー場での
アサギマダラのマーキングの8日目でした。
この日はSRS6279からSRS6784までの
506頭にマーキングをしました。
写真はその途中で標識したSRS6700の画像です。

[080813] 福島県耶麻郡北塩原村桧原荒砂沢山 グランデコスキー場。デコ平。
■8月13日の8日目は、506頭に標識をしました。雌(♀)はそのうち41頭で、
その割合は約8%でした。過去6日間は、
15%、15%、23%、16%、24%、24%
でしたので、変動が見られ、8日目が最少の値でした。
■この日は、標高によって、雌雄の比率が異なるかどうかを検討した、
3日目にあたりましたが、この日は低いエリアでのみ標識をしました。
もしかしたら、雌の割合が少ないのは、
標高の低いところだけで標識したことが関係しているかもしれません。
■交尾痕のある個体は1頭だけ見かけました。
(これは8月6日にすでに記載した
SRS3358[=SRS6405]を再捕獲したものです)。
■前日の8月12日に標識したアサギマダラのうち、
本日再捕獲できたのは7頭でした。
前日放蝶した504頭に対して、本日は
7/506頭の割合で再捕獲されたことになりますから、
簡易な方法による前日の推定頭数は、
504×506/7=36432[頭]
となります。この計算に従えば、
8月12日には約3万6千頭程度のアサギマダラが
「ゲレンデ周辺(見えないところも含めた仮想領域)」にいたと推定されます。
■過去6日間の推定頭数は、1万頭程度から始まり、
1万5千頭前後であると示唆されていました。
それから見ると3万6千頭は急速に増えすぎた印象です。
他の日付けの個体を見ると、次項で示すように16値の
ものが多く、7頭という数字は低すぎる印象です。
すなわち、この推定はやや信頼度が低い数字に見えます。
そこで、もう一つ推定法での結果を参考にしましょう。
■過去5日間(8月9、10、11、12日)と同様に、
日付を問わないで計算する別な推定法も行ってみましょう。
8月6日、7日、8日、9日、10日、11日、12日の
日付がある再捕獲個体の数(=本日再捕獲した個体数)を合計すると、
2+9+16+16+16+12+7=78頭です。
昨日までの累積標識頭数は
6278-3326=2952頭でした。これから、
2952×506/78=19150頭[=約2万頭]
という推定値が出ます。
前日の推定値もほぼ2万頭だったことと矛盾しません。
今回の推定値はゲレンデの個体数が8月12日から13日にかけて、
本当に増加していたことを示唆していると解釈できます。
[注:本ブログでは推定値の誤差に関する詳細な議論は省きます]。
■8月13日は「中程度に古い個体」は6頭いました(いずれも雄。
SRS6292、6650、6669、6689、6728、6735)。
また、「古い個体」は3頭いました(いずれも雄。SRS6360、
6520、6632、6668)。
両方合わせると9例で、1.8%になります。
これは過去最高の値で、突然に増えた印象です。
他はすべて新鮮と判断されました。
■翅に変形が見られたのは506中10頭(すべて雄)で、
その割合は2.0%で、過去6日間を通して1%前後だったのが、
突然に倍増しました(SRS6388、6396、6561、
6630、6670、6696、6729、6725、
6743、6771)。
■すでに上述しましたが、この日は、標高の下の方のみで、
雌雄の比率が検討できるようにしました
(その結果、雌が少なかった可能性があるのかもしれません)。
■白い部分が多く、「シャンデリア」と
筆者が呼ぶ個体が数頭以上観察され、増えつつあります。
■ヘアペンシルを出した個体は1例あり、
SRS6763でした。これは8月8日の4084でしたので、
そのときにはどうだったのか興味が持たれます。
■前日同様、腹部に疾病を持っていると思われる個体がいました(SRS6652♂)。
腹部の一部が黒ずみ、滲出液が出ている状態でした。
■ゲレンデの標高約1400mレベルのところには、
食草であるつる植物のイケマが開花していますが、
そこで吸蜜している個体を2頭みました。
ヨツバヒヨドリほどではありませんが、
この花もアサギマダラの好物です。
■本日は、過去1週間で初めて美しい巻き雲が空に出ました。
また、ここ一週間で初めてにわか雨が通り過ぎました
(そのためにずぶ濡れになりました)。
そして、たくさんの蚊やぶよがふだんはいないところが出現し、
夜にはホテルの窓に羽蟻を初めとする多くの昆虫が見られました。
これらはいずれも、秋がスタートしたことを示唆しています。
その中でアサギマダラも、雄雌比が雄の方に偏り、
羽の変形率も突然に高くなりました。
古い個体、中古の個体も突然に増えました。
そして、推定頭数が増加しました。
これらを総合すると、昨日、新しい集団がゲレンデに
到着したのではないかと推測されます。
■夏の初めの安定した気象から、
夏の半ばの不安定な気象に推移したと思われます。
これからゲレンデはどんどんと秋の気配が深まることでしょう。
実際に、夕方下山する際には、昨日から、
数多くの秋の虫の声が草むらで聞こえるようになりました。
■この日、標識中の筆者の回りに寄って来て、
手づかみで捕獲されたのはSRS6358♂でした。
リフトの駅に雨宿りしながら、SRS6575を標識しているとき、
2頭が筆者のところに飛んで来て、周囲を何度も回りました。
このような現象が増えるのも、夏の中盤に入ったことを示唆しています。
■8月12日の夕方には、アサギマダラがぱたりといなくなり、
大変不思議に思ったのでしたが、
8月13日にも、にわか雨は上がって太陽は出ているのに、
夕方17:00過ぎにはほとんどのアサギマダラを
見かけなくなりました。
■前日お会いした嶋氏はこの日も昼頃までマーキングをしておられました。
■グランデコのスタッフが行うアサギマダラ観察会は、
10時から11時半頃まで、8月8日から毎日行われています。
(8月10日[日曜]は筆者が指導)。
■筆者以外の人が標識した個体は8月13日には
14頭同所再捕獲しました。
筆者は3458頭標識して、当日のも含めると
78+3(当日分)=81頭を自己再捕獲しました。
その割合で見ると、3458×14/81=598(=約600頭)
ですから、約600頭程度は、筆者以外の人が標識していると推測されます。
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■08年8月12日(火曜日)は、08年のグランデコスキー場での
アサギマダラのマーキングの7日目でした。
この日はSRS5775からSRS6278までの
504頭にマーキングをしました。
写真はその途中で標識したSRS6200の画像です(雄)。

[080812] 福島県耶麻郡北塩原村桧原荒砂沢山 グランデコスキー場。デコ平。
■7日目は、504頭に標識をしました。雌(♀)はそのうち120頭で、
割合は約24%でした。過去3日は、
15%、15%、23%、16%、24%
でしたので、変動が見られます。
■この日は、ある標高によって、雌雄の比率が異なるかどうか、
2日目の検討を行いました(結果はここには示さず)。
もしかしたら、雌の割合が多いのは、
本日は標高の高めのところで標識した個体が多いためかもしれません。
■交尾痕のある個体は0頭でした(0%)。
■前日の8月11日に標識したアサギマダラのうち、
本日再捕獲できたのは17頭でした。
前日放蝶した527頭に対して、本日は
17/504頭の割合で再捕獲されたことになりますから、
簡易な方法による前日の推定頭数は、
527×504/17=15624[頭]
となります。
すなわち、8月11日には約1万5千頭程度のアサギマダラが
「ゲレンデ周辺(見えないところも含めた仮想領域)」にいたと推定されます。
■過去5日間の推定頭数も、1万頭余でした。
前日の推定も13561頭でしたので、
頭数は増加していると考えられ、
ゲレンデにいるアサギマダラの頭数は
およそ1万5千頭前後であると示唆されます。
■過去4日間(8月9、10、11日)と同様に、
日付を問わないで計算する別な推定法も行ってみましょう。
8月6日、7日、8日、9日、10日、11日の
日付がある再捕獲個体の数(=本日再捕獲した個体数)を合計すると、
1+10+13+12+8+17=61頭です。
昨日までの累積標識頭数は
174+346+491+524+386+527=2448頭でした。これから、
2448×504/61=20226頭[=約2万頭]
という推定値が出ます。
前日の推定値も増加傾向を示していたことと考え合わせると、
今回の推定値はゲレンデの個体数が8月11日から12日にかけて、
本当に増加したことを示唆していると解釈できます。
[注:本ブログでは推定値の誤差に関する詳細な議論は省きます]。
■6日目は「中程度に古い個体」は1頭いました(雄)。
また、「古い個体」は3頭いました(いずれも雄)。
両方合わせると3例で、0.6%になります。
今日は少なめでした。他はすべて新鮮と判断されました。
■翅に変形が見られたのは504中3頭(雌1、雄2)で、
その割合は0.6%で、過去5日間を通して1%前後です。
■すでに上述しましたが、この日も、標高の上下で、
雌雄の比率が異なるかどうかが分かるような記録を取りました。
■白い部分が多く、「シャンデリア」と
筆者が呼ぶ個体が4頭以上観察されました。
これは増えつつあることを示しています。
■前日はヘアペンシルを出し例がありましたが、
この日はありませんでした。
■腹部にかじられた跡のある個体がいました(SRS6032)。
これは翅の方にもそれと合致した欠損があり、
何かに腹部と翅を一気にかじられたものと思われました。
■腹部に「病気」と思われる変化のある個体が
一頭いました(SRS6037)。
■天気予報では晴れという予想の一日、
ゲレンデも天候に恵まれました。
ゲレンデのゴンドラ駅の気温は朝9:00に20度で
前日同様に低めで始まりました。
途中は、晴れたり曇ったりで、昼間の温度は、
28度程度まで上昇しました(手持ちの温度計)。
■この日は、筆者の回りや捕虫網の回りに
寄って来た個体はいませんでした。
■8月12日に大変不思議に思ったことは、
17:30を過ぎた頃に、いつもならまだ多くの個体が
見られる場所で、全く一個体も目撃できなくなったことです。
温度は23度くらいあり、天候も不良ではないのに、
このようなことが起きたことは
過去には一度も体験したことがありません(グランデコでは)。
あえて言えば、昼間にそこそこ曇ったり、天気になったりで、
過ごしやすかったため、多くのアサギマダラは
昼間に「食事」を済ますことができたので、
夕方には「食事」に出る必要がなかったことが推測されます。
■2007年に、筆者がグランデコで放蝶した個体
「SRS 8606 デコ 9/3」を
愛知県のご自宅のフジバカマで偶然に
再確認してくださった嶋さんが、
グランデコに初めてアサギマダラの標識に来られ、
ゲレンデでお会いすることができました。
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■タテハチョウ科マダラチョウ亜科(以前はマダラチョウ科とすることもあった)アサギマダラ属アサギマダラ。学名Parantica sita 。英名Chestnut Tiger。
■本ブログの総合的な画像目次や、ブログ内容を地域毎・テーマ毎にまとめた画像目次を下記のHPから見ることができます。
●
SRS研究所の公式HP<参考HP>
●
グランデコ・デコ平・裏磐梯でのアサギマダラ・自然旅行体験(SRS研究所)●
3Dアサギマダラの世界(SRS)●
SRSアサギマダラ生態図鑑●
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■08年8月11日(月曜日)は、08年のグランデコスキー場での
アサギマダラのマーキングの6日目でした。
この日はSRS5248からSRS5774までの
527頭にマーキングをしました。
写真はその途中で標識したSRS5700の画像です。

[080810] 福島県耶麻郡北塩原村桧原荒砂沢山 グランデコスキー場。デコ平。
■6日目は、527頭に標識をしましたが、雌(♀)はそのうち103頭で、
割合は約20%でした。過去3日は、
15%、15%、23%、16%でしたので、5%程度の変動が見られます。
交尾痕のある個体は1頭いました(0.2%)。
その個体は「やや古い」個体で(=SRS5255)。
交尾痕だけでなく、腹部に硬結が確認されました。
産卵の痕跡は認めませんでした。
■前日標識したアサギマダラのうち、本日再捕獲できたのは15頭でした。
前日放蝶した386頭に対して、本日は
15/527頭の割合で再捕獲されたことになりますから、
簡易な方法による前日の推定頭数は、
386×527/15=13561[頭](=約1万頭余)
となります。すなわち、8月11日に約1万頭余のアサギマダラが
「ゲレンデ周辺(見えないところも含めた仮想領域)」にいたと推定されます。
■過去5日間の推定頭数も、1万頭前後でしたから、
ゲレンデにいるアサギマダラの頭数は
およそ1万頭前後のままであることが分かります。
■前日、前々日(8月9、10日)と同様に、
日付を問わないで計算する方法も行ってみましょう。
8月6日、7日、8日、9日、10日の日付の再捕獲個体を合計すると、
3+14+17+22+15=71頭です。
昨日までの累積標識頭数は
173+346+491+524+386=1920頭でした。これから、
1920×527/71=14251頭
という推定値が出ます。1万頭よりやや多い値となります。
約1万頭という推定値から大きくは外れてはいませんが、
上記の推定でも13561頭でしたから、
1万頭よりも3000頭前後増えたことが示唆されているのかもしれません。
明日以後の推移を参考にして判断したいと思います。
■6日目は「中程度に古い個体」が5頭いました(うち、雌が2頭)。
また、さらに「古い個体」が3頭いました。
両方合わせると8例で、1.5%になります。
今日はやや多めでした。
他はすべて新鮮と判断されました。
■翅に変形が見られたのは527中4頭で、
その割合は0.8%で、過去5日間1%前後です。
■この日は、標高の上下で、雌雄の比率が異なるかどうか
が分かるような記録を取りました。
■白い部分が多く、「シャンデリア」と
筆者が呼ぶ個体が2例観察されました。
■ヘアペンシルを出した雄が2例ありました。
SRS5375は左側だけ出しており、
SRS5774も左側だけ出していました。
■天気予報では終日雲りということでしたが、
ときどき大きな雲が流れるものの、
青空は見えて、ゲレンデが一気に明るくなることもしばしばありました。
ゲレンデのゴンドラ駅の気温は朝9:00前には19.8度と
前日同様に、やや低めの数字で始まりました。
途中は、曇りときどき晴れで、昼間の温度も前日同様、
28度程度までの気温上昇に止まりました(手持ちの温度計)。
■この日は今夏初めて、マーキングしている筆者の回りを
旋回する個体が見られました。
これは手づかみで捕獲できました(SRS3258)。
さらに、知らないうちにネットに寄って来て
止まっていた個体もいました。これも手づかみで捕獲
(SRS5298、SRS5419、SRS5543)。
このような現象はグランデコでは
毎夏起きますが、今年は例年より早期に起きました。
■6日目には、「あだたら HK52 8/2」という個体を
再捕獲しました(SRS5473)。一昨日にも
同日発の同記号の個体を再捕獲しましたが、その仲間のようです。
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■タテハチョウ科マダラチョウ亜科(以前はマダラチョウ科とすることもあった)アサギマダラ属アサギマダラ。学名Parantica sita 。英名Chestnut Tiger。
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■08年8月10日(日曜日)は、08年のグランデコスキー場での
アサギマダラのマーキングの5日目でした。
この日はSRS4862からSRS5247までの
386頭にマーキングをしました。
写真はその途中で標識したSRS5200の画像です。

[080810] 福島県耶麻郡北塩原村桧原荒砂沢山 グランデコスキー場。デコ平。
■08年8月10日の4日目は、グランデコホテル主催の
アサギマダラ観察会が施行され、
午前中はその指導にあたったため、
標識する時間が限られ、標識個体数は前日より少ないこととなりました。
■5日目は、386頭に標識をしましたが、雌(♀)はそのうち65頭で、
割合は約16%でした。過去3日は、
15%、15%、23%でしたので、昨日が多かったことになります。
交尾痕のある個体は2頭いました(0.5%。SRS4028とSRS4046)。
そのうちの1頭は新鮮な個体で、
もう一頭は「やや古い」個体です(=SRS4046)。
後者は交尾痕だけでなく、腹部に硬結が確認されました。
産卵の痕跡は認めませんでしt。
■前日標識したアサギマダラのうち、本日再捕獲できたのは19頭でした。
前日放蝶した524頭に対して、本日は
19/386頭の割合で再捕獲されたことになりますから、
簡易な方法による前日の推定頭数は、
524×386/19=10646[頭](=約1万頭弱)
となります。すなわち、8月10日には約1万頭弱のアサギマダラが
「ゲレンデ周辺(見えないところも含めた仮想領域)」にいたと推定されます。
■過去4日間の推定頭数も、1万頭前後でしたから、
ゲレンデにいるアサギマダラの頭数は
およそ1万頭前後のままであることが分かります。
■前日(8月9日)と同様に、
日付を問わないで計算する方法も行ってみましょう。
8月6日、7日、8日、9日の日付の再捕獲個体を合計すると、
4+11+33+19=67頭です。
昨日までの累積標識頭数は
173+346+491+524=1534頭でした。これから、
1534×386/67=8837頭
という推定値が出ます。1万頭よりやや少ない値ですが、
約1万頭という推定値から大きくは外れてはいません。
■5日目は「中程度に古い個体」が3頭いました(うち、雌が1頭)。
また、さらに「古い個体」が2頭いました。
両方合わせると5例で、1.3%になります。
他はすべて新鮮と判断されました。
■翅に変形が見られたのは396中3頭で、
その割合は0.8%で、過去4日間1%前後です。
■前日に続いて雲が目立つ一日でした。
ところどころ青空は見えましたが、
ゲレンデのゴンドラ駅の気温は朝9:00頃に19.5度と
やや低めの数字で始まりました。
途中、日差しもありましたが、風が心地よく、
28度程度までの気温上昇に止まりました(手持ちの温度計)。
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■タテハチョウ科マダラチョウ亜科(以前はマダラチョウ科とすることもあった)アサギマダラ属アサギマダラ。学名Parantica sita 。英名Chestnut Tiger。
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●
SRS研究所の公式HP<参考HP>
●
グランデコ・デコ平・裏磐梯でのアサギマダラ・自然旅行体験(SRS研究所)●
3Dアサギマダラの世界(SRS)●
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■08年8月9日は、08年のグランデコスキー場での
アサギマダラのマーキングの4日目。
この日はSRS4338からSRS4861までの
524頭にマーキングをしました。
写真はその途中で標識したSRS4800の画像です。

[080809] 福島県耶麻郡北塩原村桧原荒砂沢山 グランデコスキー場。デコ平。
■08年8月9日、3日目はやはり07年に比較して、
より多くのアサギマダラに巡り会うことができました。
■4日目は、524頭に標識をしましたが、雌(♀)はそのうち122頭で、
割合は約23%でした。前日、前々日は15%でしたから、
やや多い結果でした。
1頭のみ交尾痕のある個体がいました(0.8%)。
■前日標識したアサギマダラのうち、本日再捕獲できたのは27頭でした。
前日放蝶した491頭に対して、本日は
27/524頭の割合で再捕獲されたことになりますから、
簡易な方法による前日の推定頭数は、
491×524/27=9529[頭](=約1万頭弱)
となります。すなわち、8月8日には約1万頭弱のアサギマダラが
「ゲレンデ周辺(見えないところも含めた仮想領域)」にいたと推定されます。
■前日の推定頭数も、約1万頭でしたから、
やはりゲレンデにいるアサギマダラの頭数は
1万頭前後であることが分かります。
■4日目ともなると、再捕獲の頭数として、
日付を問わないで計算をする方法も活用できます。
8月6日、7日、8日の日付の再捕獲個体を合計すると、
2+11+27=40頭です。
昨日までの累積標識頭数は
173+346+491=1010頭でした。これから、
1010×524/40=13231頭
という推定値が出ます。1万頭よりやや多い値ですが、
約1万頭という推定値から大きく外れてはいません。
5日目以後は、こちらの方法を採用していくことにします。
その方が推定値として、安定した値が出ることが期待できますから。
■4日目は「中程度に古い個体」が3頭いました(うち、雌が1頭)。
また、さらに「古い個体」が3頭いました。
両方合わせると6例で、1.1%になります。
他はすべて新鮮と判断されました。
■翅に変形が見られたのは524中5頭で、
その割合は1.0%で、過去3日間ほぼ同じ割合です。
■この日は、「あだたら HK21 9/2」という個体を
再捕獲しました。
これは約19km離れた安達太良山で
放蝶された個体と思われます。
これに関しては、別項で解説します。
■過去2日間(2日目、3日目)は
類例のないほど雲の少ない恵まれた日でしたが、
この日は、淡い雲が広がっていました
しかし、ヨツバヒヨドリの群落はゲレンデに花畑を形成し、
淡いピンクの色彩がとりわけ美しく見えます。
■8月9日の夜は、ホテルグランデコで
「アサギマダラとグランデコ」というタイトルの
講演会を行う予定になっていましたので、
平素より1時間早く下山しました。
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■タテハチョウ科マダラチョウ亜科(以前はマダラチョウ科とすることもあった)アサギマダラ属アサギマダラ。学名Parantica sita 。英名Chestnut Tiger。
■本ブログの総合的な画像目次や、ブログ内容を地域毎・テーマ毎にまとめた画像目次を下記のHPから見ることができます。
●
SRS研究所の公式HP<参考HP>
●
グランデコ・デコ平・裏磐梯でのアサギマダラ・自然旅行体験(SRS研究所)●
3Dアサギマダラの世界(SRS)●
SRSアサギマダラ生態図鑑●
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■8月8日は、08年のグランデコスキー場での
アサギマダラのマーキングの3日目でした。
この日はSRS3847からSRS4337までの
491頭にマーキングをしました。
写真はその途中で標識したSRS4300の画像です。

[080808] 福島県耶麻郡北塩原村桧原荒砂沢山 グランデコスキー場。デコ平。
■08年8月8日の4日目はやはり07年に比較して、
より多いアサギマダラがいることが確認されました。
■3日目は、491頭標識をしましたが、雌(♀)はそのうち74頭で、
割合は前日と同じ約15%であることが分かりました。
■前日標識したアサギマダラのうち、本日再捕獲できたのは15頭でした。
前日放蝶した346頭に対して、本日は
15/346頭の割合で再捕獲されたことになりますから、
簡易な方法による前日の推定頭数は、
491×346/15=11326[頭](=約1万頭)
となります。すなわち、昨日は約1万頭のアサギマダラが
「ゲレンデ周辺(見えないところも含めた仮想領域)」にいたと推定されます。
■前日の推定頭数は、3万頭前後でしたが、
再捕獲の頭数が少ないので、推定の信頼度は十分とは言えませんでした。
今日のデータの方が、捕獲頭数も、再捕獲の数もより多いので、
より信頼度が高い推定と言えます。
■参考までに、初日の8月6日に173頭捕獲したうち、
3日目の8月8日に再捕獲されたのは7例です。
このデータを用いて、ゲレンデ周囲に出入りがなかったと仮定して、
昨日のデータを用いた場合と同様の推定をすると、
8月6日の推定頭数は、
491×173/7=12134[頭](=約1万頭)
となります。おそらく、3万頭という推定よりも、
こちらの方が現実に近い推定なのでしょう。
この推定を用いれば、
8月6日も8月7日もいずれも約1万頭のアサギマダラが
ゲレンデにいたことが示唆されます。
■3日目は中程度に古い個体が3頭いました。
他はすべて新鮮と判断されました。
■翅に変形が見られたのは491中5頭で。
その割合は1.0%で、前日の0.9%と変わらず、
例年より少ない印象です。
■この日は、「GD-1 デコ 7/30」という個体を
再捕獲しました。
これに関しては、別項で解説します。
■本日ゲレンデは終日正真正銘の晴れ。
磐梯山には昼過ぎからやや雲がかかりましたが、
ゲレンデが斜面をなしている西大巓(山の名前)には、
終日雲ひとつかかりませんでした(これは大変に珍しいこと)。
そのかわり、温度は高く、9時頃は24度程度でしたが、
昼過ぎには温手持ちの温度計で前日同様に
32度程度までの上昇が観察されました。
■3日目も取材陣と一緒でしたが、3日目は前日よりも
より多くの時間を標識に費やすことができました。
そのために頭数が増えたと考えられます。
■取材陣は午前中に私を含んだ映像を撮影した後、
景観やアサギマダラ自体を特別に撮影されたようです。
撮影に関して天候に恵まれたことは
同行した私にとってもうれしいことでした。。
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■タテハチョウ科マダラチョウ亜科(以前はマダラチョウ科とすることもあった)アサギマダラ属アサギマダラ。学名Parantica sita 。英名Chestnut Tiger。
■本ブログの総合的な画像目次や、ブログ内容を地域毎・テーマ毎にまとめた画像目次を下記のHPから見ることができます。
●
SRS研究所の公式HP<参考HP>
●
グランデコ・デコ平・裏磐梯でのアサギマダラ・自然旅行体験(SRS研究所)●
3Dアサギマダラの世界(SRS)●
SRSアサギマダラ生態図鑑●
2008年アサギマダラ移動調査記録(SRS)■ランキングのために次の2つをそれぞれ一押ししていただければ幸いです:
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■徳島県にある四国の八十八箇所の第四十番目の札所の
平城山・観自在寺(へいじょうざん、かんじざいじ)には
十二支守護八体仏があります。それに関しては、過去の記事
●「十二支守本尊八体仏を立体視する(No.1。クロス法) 。
愛媛県の平城山・観自在寺の十二支の守り本尊の八体の仏像。
[080721。四国八十八箇所。3D仏像。画像処理]」
http://srs21.blog59.fc2.com/blog-entry-1749.html で示しました。
前項ではその中の文殊菩薩の座像を
クロス法で立体視しました。
ここではそれをパラレル法で立体視しましょう。
■この像は、水をかけて祈願するように設定されています。
像の前には水の流れる水路が設置してあり、
参拝者は自分の守護仏、あるいは家族などの守護仏の前に行き、
流れる水を柄杓で汲んで水をかけるようになっています。
興味深い仕組みと思われました。
■写真は画像処理が施されています。
パラレル法で立体視ができます。

[080721] 愛媛県宇和郡愛南町平城。真言宗大覚寺派。平城山・観自在寺。文殊菩薩の座像。
-------------------------------------------------------------
■文殊菩薩に関する説明は以下の記事を参照してください:
08.06/22「文殊菩薩とは何ですか [080622。3D仏像。画像処理]」
http://srs21.blog59.fc2.com/blog-entry-1642.html -------------------------------------------------------------
■文殊菩薩の写真(3D画像)の代表的な例は以下に示しました:
<高知県・竹林寺の例> 単独の像。
●
http://srs21.blog59.fc2.com/blog-entry-1489.html <奈良県・壺阪寺> 釈迦三尊の像。
●
http://srs21.blog59.fc2.com/blog-entry-1395.html -------------------------------------------------------------
■仏像を鑑賞する意義に関しては、以下の記事もご参照ください:
08.05/28●「仏像を鑑賞する意義 [080528。3D仏像。画像処理]」-------------------------------------------------------------
■能力開発、眼力開発における3D立体視訓練の意義や方法に関しては、
SRS研究所のHPにある著書一覧の中にある
3D写真シリーズを参考にしてください。
http://www.srs21.com/books/index.htm■本ブログの総合的な画像目次や、ブログ内容を地域毎・テーマ毎にまとめた画像目次を下記のHPから見ることができます。
●
SRS研究所の公式HP<参考HP> 以下では、本ブログの仏像を種類毎に分類して探しやすくしてあります。
●
3D仏像集(SRS研究所)■ランキングのために次の2つをそれぞれ一押ししていただければ幸いです:
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■徳島県にある四国の八十八箇所の第四十番目の札所の
平城山・観自在寺(へいじょうざん、かんじざいじ)には
十二支守護八体仏があります。それに関しては、過去の記事
●「十二支守本尊八体仏を立体視する(No.1。クロス法) 。
愛媛県の平城山・観自在寺の十二支の守り本尊の八体の仏像。
[080721。四国八十八箇所。3D仏像。画像処理]」
http://srs21.blog59.fc2.com/blog-entry-1749.html で示しました。ここではその中の文殊菩薩の座像を
クロス法で立体視しましょう。
■この像は、水をかけて祈願するように設定されています。
像の前には水の流れる水路が設置してあり、
参拝者は自分の守護仏、あるいは家族などの守護仏の前に行き、
流れる水を柄杓で汲んで水をかけるようになっています。
興味深い仕組みと思われました。
■写真は画像処理が施されています。
クロス法で立体視ができます。

[080721] 愛媛県宇和郡愛南町平城。真言宗大覚寺派。平城山・観自在寺。文殊菩薩の座像。
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■文殊菩薩に関する説明は以下の記事を参照してください:
08.06/22「文殊菩薩とは何ですか [080622。3D仏像。画像処理]」
http://srs21.blog59.fc2.com/blog-entry-1642.html -------------------------------------------------------------
■文殊菩薩の写真(3D画像)の代表的な例は以下に示しました:
<高知県・竹林寺の例> 単独の像。
●
http://srs21.blog59.fc2.com/blog-entry-1489.html <奈良県・壺阪寺> 釈迦三尊の像。
●
http://srs21.blog59.fc2.com/blog-entry-1395.html -------------------------------------------------------------
■仏像を鑑賞する意義に関しては、以下の記事もご参照ください:
08.05/28●「仏像を鑑賞する意義 [080528。3D仏像。画像処理]」-------------------------------------------------------------
■能力開発、眼力開発における3D立体視訓練の意義や方法に関しては、
SRS研究所のHPにある著書一覧の中にある
3D写真シリーズを参考にしてください。
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■夏の間、筆者がアサギマダラのマーキングをするのは、
吾妻連峰の中の西大巓(1982メートル)という山の
南面にあたる場所です。
そこから宿に戻るのはいつも日がとっぷりと暮れる頃。
写真は18時40分頃、
すでにあたりは薄暗くなる下山道で撮影した磐梯山の様子です。
いつもこのような景色を眺めながら山を下ります。
8月7日おn昼間は上昇気流のために磐梯山の上空には
さまざまな雲が浮かんでいました。
磐梯山の周囲自体の空気の透明度もやや低いものでした。
それが夕方になると、雲はほとんど消えて、
大気の透明度も高くなって来ました。
一部残った小さい雲に、夕焼けの残照がほんのりと見えています。
明日もよい天気になりそうな兆候です。
写真の右上空には美しい右半分の三日月がほぼ垂直な形で浮かび、
写真では見えませんがあちこちに星のまたたきが見えていました。

[070807]福島県耶麻郡北塩原村桧原荒砂沢山 グランデコスキー場。
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●
SRS研究所の公式HP<参考HP>
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■08年8月6日からグランデコスキー場で
アサギマダラのマーキングを開始しましたが、
本日はその2日目。この日はSRS3501から
SRS3846までの346頭にマーキングをしました。
写真はその途中で標識したSRS3800の画像です。

[070807]福島県耶麻郡北塩原村桧原荒砂沢山 グランデコスキー場。デコ平。
■08年8月6日の初日、アサギマダラはすでに
そこそこの個体数がゲレンデにいるように思われましたが、
2日目にはその数がより具体的に見えて来ました。
■2日目には、346頭の標識をしましたが、雌(♀)はそのうち51頭、
したがって、雌の割合は約15%であることが分かりました。
■前日標識したアサギマダラのうち、本日再捕獲できたのは2頭のみでした。
すなわち、前日放蝶した173頭は、
2/346頭の割合で再捕獲されたことになりますから、
簡易な方法による前日の推定頭数は、
173×346/2=29929頭(=ほぼ3万頭)
となります。
すなわち、昨日の段階ですでに3万頭程度が
「ゲレンデ周辺(見えないところも含めた仮想領域)」にいたと推定されます。
■07年の推定頭数は、8月上旬では1万頭前後でしたから、
それと比べると、より多くの個体がいたことになります。
ただし、再捕獲の頭数が少ないので、推定の信頼度は十分とは言えません。
明日以後のデータの推移を見たいと思います。
過去の体験と本日のゲレンデでの実感とを比べると、
実際に3万頭程度はいたように感じられました。
■当日放蝶した蝶に、同日再開したのは2頭のみ。
この数も大変少ないので、このデータも
本当に多くの個体がいたことを示唆しています。
■前日同様、すべての個体がほぼ新鮮な個体でした
(中古と判断された個体は1頭のみです)。
■本日は、前線が移動して、ゲレンデは終日晴れ。
9時頃は24度程度でしたが、
昼過ぎには温度がかなり上がり、手持ちの温度計では
32度程度までの上昇が観察されました。
そのために、アサギマダラの様子は、例年から見ると
かなり変則的な動きをしているように見えました。
(多くの個体が集まっている場所や、時間帯が、
例年の8月上旬には見られないものでした)。
■翅に変形が見られたのは346中3頭。
その割合は0.9%で、例年より少ない印象です。
■一頭だけ、前翅の先端部分が左右ともかじられたように
なっている雄個体が見られました。
この例は何かの鳥にかじられてそうなったのではないかと
考えています。
■2日目も取材陣と一緒に行動する時間帯がありましたので、
標識頭数は平素の活動から見るとややセーブされた数字になっています。
今日は青空に恵まれましたので、取材の方々も、
風景としては明るい映像が撮影できた可能性があります。
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■タテハチョウ科マダラチョウ亜科(以前はマダラチョウ科とすることもあった)アサギマダラ属アサギマダラ。学名Parantica sita 。英名Chestnut Tiger。
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