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アサギマダラと自然のよろこび+仏像の写真・画像 【SRS研究所】

アサギマダラは渡りをする蝶、旅をする蝶。その生態と移動調査(マーキング)と国内外の四季の自然を画像で紹介。地球はよろこびの惑星。有限の惑星の無限の美しさと素晴らしさに共鳴・共感しませんか。植物図鑑、昆虫図鑑、動物図鑑も兼用。仏像写真の特殊処理画像も紹介。

福島県グランデコでのアサギマダラのマーキング9日目(8月14日)は天候不良のため61頭標識。雌は10頭(交尾済は0頭)で16%、翅の変形は約1.6%。ゲレンデの個体は推計約1.5~2万頭程度。デコ累計3519頭。[080814。SRS6785-6845。福島県。デコ平]

■08年8月14日(木曜日)は、08年のグランデコスキー場での
 アサギマダラのマーキングの9日目でした。
 この日はSRS6785からSRS6845までの
 61頭にマーキングをしました。
 写真上はその途中で標識したSRS6807の画像です
 [6708とあるのは6807の記入ミス]。
 これは下記に記載したようにリフト駅の天窓(写真下)に
 自然にトラップされた個体です。 
SRS6708
リフト駅
[080814] 福島県耶麻郡北塩原村桧原荒砂沢山 グランデコスキー場。デコ平。
■この日は、朝から雨天でした。
 (日本海に低気圧があり、日本海側には広く前線が出来ていて、
 日本海側は雨天になるだろうとの朝の天気予報がありました)。
 ゲレンデを上がってみると、10時過ぎに30分間ほど
 アサギマダラの活動を見ることができました。
 ただし、いずれの個体も花に止まるか止まらないかの状態で
 ふわふわと飛び回っているだけで、まったく落ち着かない様子でした。
 それから雨が再度降り、昼すぎに少し雨が止んだときに、
 若干の標識を加えることができました。
 あとはずっと雨が降り続きましたので、
 あきらめて、15時半に下山を開始しました。
■雨の降っている間、木陰で観察していると、
 上空20m程度のところを最高で一視野に7頭程度の
 アサギマダラが飛んでいく場面を見ることができました。
 このような場面は毎年見るものですが、今回改めて観察すると、
 これは大変不思議な出来事だと思われました。
 1)目的なく、どこへ飛ぶともなく飛んでいるように見える。
 2)羽ばたき方が非常に不規則である
  (ただし、1秒から1.5秒ごとに数回はばたいて少し上昇する)。
 3)旋回するわけでも、直進するわけでもない。
 4)飛跡は上下に動く波を描くがその形は非常に不規則である。
 5)相互に関心を持つことは全くなくそれぞれ単独で飛んでいる。
 6)森からオープンスペースの上空に飛ぶが、
   花に吸蜜に向かったりはしない。
 7)雨が降っていても飛んでいる。
 8)飛ぶ方向はでたらめである。ただし、少し風があるときは、
   風に逆らうような飛び方をすることが多い。
 9)このような飛び方をするときは、空はどんよりとしており、
   湿度は高く、青空は見えない。気温は20度程度。
 雨で濡れた翅を動かして、乾燥させようとしているのかもしれない、
 と筆者は漠然と考えました。
■8月14日の9日目は、61頭に標識をしました。雌(♀)はそのうち10頭で、
 その割合は約16%でした。過去6日間は、
 15%、15%、23%、16%、24%、24%、8%
 と変動が見られています。
■この日は標高の低いところのみで標識をしました。
■交尾痕のある雌個体は0頭でした。
■前日の8月13日に標識したアサギマダラのうち、
 本日再捕獲できたのは2頭でした。
 前日放蝶した506頭に対して、本日は
 2/61頭の割合で再捕獲されたことになりますから、
 簡易な方法による前日の推定頭数は、
 506×61/2=15433[頭]
 となります。この計算に従えば、
 8月12日には約1万5千頭程度のアサギマダラが
 「ゲレンデ周辺(見えないところも含めた仮想領域)」にいたと推定されます。
■8月の推定頭数は、1万頭程度から始まり、
 1万5千頭前後であると示唆されていました。
 今日は雨天で、標識した範囲も狭く、標識頭数が少なく、
 前日の再捕獲も2頭しかないので、
 データの信頼性は高くはありません。
 しかし、たまたま妥当な数字になっているようです。
 もう一つ推定法での結果を参考にしましょう。
■過去5日間(8月9、10、11、12、13日)と同様に、
 日付を問わないで計算する別な推定法も行ってみましょう。
 8月6日、7日、8日、9日、10日、11日、12日、13日の
 日付がある再捕獲個体の数(=本日再捕獲した個体数)を合計すると、
 6頭でした。
 昨日までの累積標識頭数は
 6784-3326=3458頭でした。これから、
 3458×61/6=35156頭[=約3万頭]
 という推定値が出ます。
 前日の推定値はほぼ2万頭でした。
 上にも述べたように今回の推定値は信頼性が高くないので、
 あくまで参考値とするのが適切です。
 [注:本ブログでは推定値の誤差に関する詳細な議論は省きます]。
■8月13日は「中程度に古い個体」も「古い個体」も0頭でした。
■翅に変形が見られたのは61頭中1頭(雄)で、
 割合は1.6%でした。
■白い部分が多い個体はやはり増えつつあります。
 (SRS6797♂、6811♂など)
■ヘアペンシルを出した個体は0頭でした。
■腹部に疾病のある個体は0頭。
■寄って来た個体は0頭。
■SRS6807、6808は、
 リフトの駅で雨宿りをしているとき、明かり取りのある天窓に
 自然にトラップされているのを見つけて
 標識した個体です(上記写真は、
 上がその個体の写真で、下が天窓部分の写真です)。
 個体数の多い年には同じ場所に10数頭がトラップされました。
 今年はそれに比べるとさほど多くありません。
■グランデコのスタッフが行うアサギマダラ観察会は、
 本日は中止となりました。
■筆者以外の人が標識した個体は8月14日には1例のみ再捕獲。
■8月15日も雨天が予想されています
 (本日の降水確率の予想は北塩原村では50%。明日は20%です)。
■一昨日までの夏の初めの安定した気象は、昨日を境にして、
 完全に不安定な気象に移行した実感があります。
 盛夏に突入すると同時に秋が始まったのです。
 昨日のにわか雨が慈雨となって、昨日から本日までの1日で、
 植物の背丈が驚くほど伸びました(10cm程度という実感)。
 アザミ、タラ、ヨツバヒヨドリ、ハンゴンソウなど、
 ゲレンデの植物は筆者の背丈を超えて一気に成長していきます。
 ユキザサやナルコユリの緑の実も
 ゲレンデで充実の度を増しつつあります。
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■タテハチョウ科マダラチョウ亜科(以前はマダラチョウ科とすることもあった)アサギマダラ属アサギマダラ。学名Parantica sita 。英名Chestnut Tiger。
■本ブログの総合的な画像目次や、ブログ内容を地域毎・テーマ毎にまとめた画像目次を下記のHPから見ることができます。
SRS研究所の公式HP
<参考HP>
グランデコ・デコ平・裏磐梯でのアサギマダラ・自然旅行体験(SRS研究所)
3Dアサギマダラの世界(SRS)
SRSアサギマダラ生態図鑑
2008年アサギマダラ移動調査記録(SRS)
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福島県グランデコでのアサギマダラのマーキング8日目(8月13日)は506頭標識。雌は41(交尾済は1頭)で少なく、翅の変形は約2.0%で増加。ゲレンデの個体は推計約2万頭程度に増加。デコ累計3458頭。[080813。SRS6279-6784。福島県。デコ平]

■08年8月13日(水曜日)は、08年のグランデコスキー場での
 アサギマダラのマーキングの8日目でした。
 この日はSRS6279からSRS6784までの
 506頭にマーキングをしました。
 写真はその途中で標識したSRS6700の画像です。
SRS6700
[080813] 福島県耶麻郡北塩原村桧原荒砂沢山 グランデコスキー場。デコ平。
■8月13日の8日目は、506頭に標識をしました。雌(♀)はそのうち41頭で、
 その割合は約8%でした。過去6日間は、
 15%、15%、23%、16%、24%、24%
 でしたので、変動が見られ、8日目が最少の値でした。
■この日は、標高によって、雌雄の比率が異なるかどうかを検討した、
 3日目にあたりましたが、この日は低いエリアでのみ標識をしました。
 もしかしたら、雌の割合が少ないのは、
 標高の低いところだけで標識したことが関係しているかもしれません。
■交尾痕のある個体は1頭だけ見かけました。
 (これは8月6日にすでに記載した
 SRS3358[=SRS6405]を再捕獲したものです)。
■前日の8月12日に標識したアサギマダラのうち、
 本日再捕獲できたのは7頭でした。
 前日放蝶した504頭に対して、本日は
 7/506頭の割合で再捕獲されたことになりますから、
 簡易な方法による前日の推定頭数は、
 504×506/7=36432[頭]
 となります。この計算に従えば、
 8月12日には約3万6千頭程度のアサギマダラが
 「ゲレンデ周辺(見えないところも含めた仮想領域)」にいたと推定されます。
■過去6日間の推定頭数は、1万頭程度から始まり、
 1万5千頭前後であると示唆されていました。
 それから見ると3万6千頭は急速に増えすぎた印象です。
 他の日付けの個体を見ると、次項で示すように16値の
 ものが多く、7頭という数字は低すぎる印象です。
 すなわち、この推定はやや信頼度が低い数字に見えます。
 そこで、もう一つ推定法での結果を参考にしましょう。
■過去5日間(8月9、10、11、12日)と同様に、
 日付を問わないで計算する別な推定法も行ってみましょう。
 8月6日、7日、8日、9日、10日、11日、12日の
 日付がある再捕獲個体の数(=本日再捕獲した個体数)を合計すると、
 2+9+16+16+16+12+7=78頭です。
 昨日までの累積標識頭数は
 6278-3326=2952頭でした。これから、
 2952×506/78=19150頭[=約2万頭]
 という推定値が出ます。
 前日の推定値もほぼ2万頭だったことと矛盾しません。
 今回の推定値はゲレンデの個体数が8月12日から13日にかけて、
 本当に増加していたことを示唆していると解釈できます。
 [注:本ブログでは推定値の誤差に関する詳細な議論は省きます]。
■8月13日は「中程度に古い個体」は6頭いました(いずれも雄。
 SRS6292、6650、6669、6689、6728、6735)。
 また、「古い個体」は3頭いました(いずれも雄。SRS6360、
 6520、6632、6668)。
 両方合わせると9例で、1.8%になります。
 これは過去最高の値で、突然に増えた印象です。
 他はすべて新鮮と判断されました。
■翅に変形が見られたのは506中10頭(すべて雄)で、
 その割合は2.0%で、過去6日間を通して1%前後だったのが、
 突然に倍増しました(SRS6388、6396、6561、
 6630、6670、6696、6729、6725、
 6743、6771)。
■すでに上述しましたが、この日は、標高の下の方のみで、
 雌雄の比率が検討できるようにしました
(その結果、雌が少なかった可能性があるのかもしれません)。
■白い部分が多く、「シャンデリア」と
 筆者が呼ぶ個体が数頭以上観察され、増えつつあります。
■ヘアペンシルを出した個体は1例あり、
 SRS6763でした。これは8月8日の4084でしたので、
 そのときにはどうだったのか興味が持たれます。
■前日同様、腹部に疾病を持っていると思われる個体がいました(SRS6652♂)。
 腹部の一部が黒ずみ、滲出液が出ている状態でした。
■ゲレンデの標高約1400mレベルのところには、
 食草であるつる植物のイケマが開花していますが、
 そこで吸蜜している個体を2頭みました。
 ヨツバヒヨドリほどではありませんが、
 この花もアサギマダラの好物です。
■本日は、過去1週間で初めて美しい巻き雲が空に出ました。
 また、ここ一週間で初めてにわか雨が通り過ぎました
 (そのためにずぶ濡れになりました)。
 そして、たくさんの蚊やぶよがふだんはいないところが出現し、
 夜にはホテルの窓に羽蟻を初めとする多くの昆虫が見られました。
 これらはいずれも、秋がスタートしたことを示唆しています。
 その中でアサギマダラも、雄雌比が雄の方に偏り、
 羽の変形率も突然に高くなりました。
 古い個体、中古の個体も突然に増えました。
 そして、推定頭数が増加しました。
 これらを総合すると、昨日、新しい集団がゲレンデに
 到着したのではないかと推測されます。
■夏の初めの安定した気象から、
 夏の半ばの不安定な気象に推移したと思われます。
 これからゲレンデはどんどんと秋の気配が深まることでしょう。
 実際に、夕方下山する際には、昨日から、
 数多くの秋の虫の声が草むらで聞こえるようになりました。
■この日、標識中の筆者の回りに寄って来て、
 手づかみで捕獲されたのはSRS6358♂でした。
 リフトの駅に雨宿りしながら、SRS6575を標識しているとき、
 2頭が筆者のところに飛んで来て、周囲を何度も回りました。
 このような現象が増えるのも、夏の中盤に入ったことを示唆しています。
■8月12日の夕方には、アサギマダラがぱたりといなくなり、
 大変不思議に思ったのでしたが、
 8月13日にも、にわか雨は上がって太陽は出ているのに、
 夕方17:00過ぎにはほとんどのアサギマダラを
 見かけなくなりました。
■前日お会いした嶋氏はこの日も昼頃までマーキングをしておられました。
■グランデコのスタッフが行うアサギマダラ観察会は、
 10時から11時半頃まで、8月8日から毎日行われています。
 (8月10日[日曜]は筆者が指導)。
■筆者以外の人が標識した個体は8月13日には
 14頭同所再捕獲しました。
 筆者は3458頭標識して、当日のも含めると
 78+3(当日分)=81頭を自己再捕獲しました。
 その割合で見ると、3458×14/81=598(=約600頭)
 ですから、約600頭程度は、筆者以外の人が標識していると推測されます。
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■タテハチョウ科マダラチョウ亜科(以前はマダラチョウ科とすることもあった)アサギマダラ属アサギマダラ。学名Parantica sita 。英名Chestnut Tiger。
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SRS研究所の公式HP
<参考HP>
グランデコ・デコ平・裏磐梯でのアサギマダラ・自然旅行体験(SRS研究所)
3Dアサギマダラの世界(SRS)
SRSアサギマダラ生態図鑑
2008年アサギマダラ移動調査記録(SRS)
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