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アサギマダラと自然のよろこび+仏像の写真・画像 【SRS研究所】

アサギマダラは渡りをする蝶、旅をする蝶。その生態と移動調査(マーキング)と国内外の四季の自然を画像で紹介。地球はよろこびの惑星。有限の惑星の無限の美しさと素晴らしさに共鳴・共感しませんか。植物図鑑、昆虫図鑑、動物図鑑も兼用。仏像写真の特殊処理画像も紹介。

福島県グランデコでのアサギマダラのマーキング10日目(8月15日)は2日連続の天候下で335頭標識。雌は21頭(交尾済は0頭)で6%、翅の変形は約0.6%。ゲレンデの個体は推計約2~3万頭程度。デコ累計3854頭。[080815。SRS6846-7180。福島県。デコ平]

■08年8月15日(金曜日)は、08年のグランデコスキー場での
 アサギマダラのマーキングの10日目でした。
 この日はSRS6846からSRS7180までの
 335頭にマーキングをしました。
 写真上はその途中で標識したSRS7100の画像です。
SRS7100
[080815] 福島県耶麻郡北塩原村桧原荒砂沢山 グランデコスキー場。デコ平。
■15日の降雨確率は50%という予測でした。
 西大巓の上部は朝から雲に覆われていました。
 現場のスキー場のゲレンデは上部に霧がかかり
 (遠くで雲に見えるものは近くでは霧に他なりません)、
 それがときどき下の方にもやもやと降りて来る状況でした。
 日差しはなく、ゲレンデは暗く、温度も9時頃で18.5度と
 アサギマダラが活動できる状況ではありませんでした。
 実際に見渡して見るとアサギマダラが飛んでいるのは見えません。
 近づいて見ると、ときにヨツバヒヨドリに止まっている
 アサギマダラを見出す程度です。慣れない人であれば、
 一頭もいなかった、と言うような状況でした。
■正午過ぎには雨が降り始めました。
 最初は山毛欅(ぶな)の大樹のもとで雨をしのいでいました。
 このようなとき、山毛欅の大樹はたのもしく雨を防いでくれます。
 しかし、雨量が増すにつれて次第に葉の間から落ちる雨滴が増えてきます。
 やむなく、しばらくの間、ゴンドラ駅に避難しました。
 その後、雨が止んだり、降ったりという状況でしたので、
 止んだときに標識をして、困難な状況ではありましたが、
 335頭に標識ができました。
 (雨が降ると、蚊やぶよがわんさと出て来ます。
 一頭標識している間には必ず手で振り払えない静止時間がありますので、
 そのすきを狙って、どんどん額のあたりを攻撃されます。
 おかげで、額のあたりはぶよに刺されてでこぼこ状態になりました)。
■この日も相対的に標高の低いところのみで標識をしました。
■雌は21頭で、割合は約6%ともっとも低い値でした。
 15%、15%、23%、16%、24%、24%、8%
 と推移した雌比率の変動を見ると、
 この日が最も低い雌の割合となりました。
 昨日の8%と低い割合ですが、昨日も今日も雨が降りました。
 天候と雌比率とに何かの関わりがあるのかもしれないと推測しました。
■交尾痕のある雌個体は0頭でした。
■ヘアペンシル例、腹部の病気の例、寄って来た例、
 などはいずれも見られませんでした。
■翅の変形があったのは2例(SRS6852♂、SRS2920♂)。
 割合は0.6%と低値。
■「中古の個体」は2例(SRS6865♂、SRS2138♂)。
 「古い個体」は0例。両者を併せて、0.6%と低目です。
■前日の8月14日に標識したアサギマダラのうち、
 本日再捕獲できたのは1頭でした。
 前日放蝶した61頭に対して、本日は
 1/335頭の割合で再捕獲されたことになりますから、
 簡易な方法による前日の推定頭数は、
 61×335/1=20435[頭]
 となります。この計算に従えば、
 8月14日には約2万頭程度のアサギマダラが
 「ゲレンデ周辺(見えないところも含めた仮想領域)」にいたと推定されます。
■8月の推定頭数は、1万頭程度から始まり、
 次第に増えて1万5千頭から2万頭前後であると示唆されていました。
 今日も前日同様に、雨天で再捕獲の頭数が少ないので、
 データの信頼性は高くはありませんが、
 推定は妥当のように感じられます。
 別の推定法の結果を参考にしましょう。
■過去6日間(8月9~14日)と同様に、
 日付を問わないで計算する別な推定法も行ってみましょう。
 8月6、7、8、9、10、11、12、13、14日の
 日付がある再捕獲個体の数(=本日再捕獲した個体数)を合計すると、
 3+4+7+4+7+8+3+3+1=40頭でした。
 昨日までの累積標識頭数は
 6845-3326=3519頭でした。これから、
 3519×335/40=29471頭[=約3万頭]
 という推定値が出ます。
 前日(8月14日)の同じ方式の推定値はほぼ3万頭でした。
 前日の推定値は信頼性が高くないので、
 あくまで参考値とするのが適切と述べましたが、
 この方式での推定値が約3万頭となりつつあるのは
 意味があるかもしれません。
 一般には第一の方法より、第二の方法の方が
 大きい推定値が出ると予想されます。
 [注:本ブログでは推定値の誤差に関する詳細な議論は省きます]。
■近くにいる個体数の推定値が次第に増えていくのは、
 グランデコスキー場に次第に個体が集まっていくからでしょう。
 8月には毎年同様な傾向が見えます。
■白い部分が多い個体(白い部分の斑紋模様が派手に見える個体)
 は前日よりも増えつつあります。
 (♂ではSRS7008、♀ではSRS6980など)。
■鱗粉のある場所の全体が普通より黒っぽい個体も増えて来ました。
 (SRS6935、7034、7130、7155、7167など)。
■このような模様の違う個体が増えて来るのは、
 外部から集団が流入しつつあることを示唆する所見の一つと思います。
■グランデコのスタッフが行うアサギマダラ観察会は、
 前日は中止になりましたが、本日は行われました。
■筆者以外の人が標識した個体は8月15日には4例再捕獲しました。
■8月16日も雨天が予想されています。
 連続3日雨が降ることになり、困難な状況が続きそうです。
 (本日の降水確率の予想は北塩原村では50%。明日は20%です)。
 8月13日ににわか雨が降り、14日は一気に草丈が伸びたのですが、
 15日もさらに植物の背丈が伸びました。
 アザミなどは筆者が両手を挙げても、負けるほどの高さになりました。
 これからは日ごとに秋の気配が増えていきます。
 夏から秋にかけての植物は、丈が高くなるだけでなく、
 姿も「あられもない姿」「恥も外聞もない姿」になっていきます。
■ゲレンデでは、平素より1時間ほど早くアサギマダラが姿を消しました。
 そこで下山する時間も1時間早めることとしました。
 8月6日には夕闇に浮かぶ月の形はきれいな三日月でしたが、
 日々その面積を増して、8月15日にはほぼ満月の形になりました。
■ホテルに近いところではススキの穂が観察され、
 草むらでは多くの秋の虫の声が聞こえています。
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■タテハチョウ科マダラチョウ亜科(以前はマダラチョウ科とすることもあった)アサギマダラ属アサギマダラ。学名Parantica sita 。英名Chestnut Tiger。
■本ブログの総合的な画像目次や、ブログ内容を地域毎・テーマ毎にまとめた画像目次を下記のHPから見ることができます。
SRS研究所の公式HP
<参考HP>
グランデコ・デコ平・裏磐梯でのアサギマダラ・自然旅行体験(SRS研究所)
3Dアサギマダラの世界(SRS)
SRSアサギマダラ生態図鑑
2008年アサギマダラ移動調査記録(SRS)
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