アサギマダラのマーキングの16日目でした。
この日はSRS8810の
1頭だけにマーキングができました。
これは過去のグランデコの歴史の中では最少の標識頭数です。
写真はそのSRS8810の画像です。

[080821] 福島県耶麻郡北塩原村桧原荒砂沢山 グランデコスキー場。デコ平。
■4日間連続して雨→1日よい天気の日→雨の日→ほどほどの日、
と続き、再度雨の日となりました。6日目の雨天です。
この地域の天気予報は、午前60%→午後40%→夜60%
という降雨確率で、終日、雨傘マークがついていまし。
結果は予報通りで終日雨天。
福島県は大雨が降り、1時間に100mの降水を超える地域もあり、
全国一番の降水量でした。
テレビでは土砂災害、洪水、暴風に注意とのニュースが放映されました。
ともかくもアサギマダラが活動するような日ではありませんでした。
今年の夏のグランデコを含む地域は雨災害の年とも感じられます。
過去数年にはこのような体験はありませんでした。
明日8月22日も雨天の予報が出ています。
■本日は福島県だけでなく、東北、北陸、中国地方に大雨が降りました。
関東にも激しい雨が降ったとのことです。
福島県のTV局では「一雨ごとに秋が近づいています」
という表現をアナウンサーが用いていました。
■朝食時には、ホテルの前の緑の芝生の上を、
ツバメが地上10cmほどの超低空の高速飛行で繰り返し飛んでいました。
これは飛びながら虫を捕っていたのです。
撮影をしてみましたが、暗い上に、
拡大率の大きい装置ではなかったので、
思ったような画像は撮れませんでした。
■午前中は雨降り続きのため、ホテルで仕事をしていました。
昼過ぎになって観察のためにゲレンデに上りました。
ゴンドラ駅の気温は、13時半に16.4度Cで大変低値でした。
手持ちの温度計でも17度C。
一般には19度C以下では、
グランデコのアサギマダラはほとんど活動できません。
■ひととおりゲレンデのポイントを回りましたが、
予想通り吸蜜しているアサギマダラは皆無でした。
西大巓の山は雲に覆われ、ゲレンデの上部は霧の中で、
その霧は次第に下りて、ゲレンデ全体を包みました。
■ただし、ゲレンデを囲む森の一箇所で、
2頭のアサギマダラが梢の上をふらふらと飛んでいるのを目撃しました。
私が「宿替え飛翔」と呼ぶことにした状態です。
雨の降る中でも、ときどき雨宿りしている場所
(といっても雨が防げているわけではない場所がほとんどですが)
を替えることがあるのです。
■雨の推移を見るために、リフト駅の屋根の下で時を過ごしていたところ、
目の前に一頭のアサギマダラが現れました。
いかにも私に標識してください、といわんばかりに
私の目の前でホバリングを続けています。
そこで、そうっとネットに納めて標識をしたのがSRS8810。
上に示した本日唯一の標識個体です。
新鮮な雄でした。
このような好奇心に満ちた行動をするのは
ほぼ例外なく翅に破損のほとんどない新鮮な個体です。
■筆者が標識をしていると、周囲を飛び回る個体がいるのは
グランデコでの特徴の一つですが、
ことしはそのような個体が多くありません(これまでに数例)。
■本日は、早めに下山しましたが、ゴンドラ駅では、霧の中で
ホテルの庭で行っていたのと同様に、
ゴンドラ駅の近くのゲレンデで、
超低空飛行+霧中飛行を繰り返していました。
今年は、ゲレンデに遅れて現れた燕たちですが、
雨が降ろうと振るまいと、せっせと虫を捕る日々を過ごしています。
■夜は、レストランの窓辺のガラスの外にアキアカネが来ていました。
トンボが照明に飛んで来るのは、例としては多くないと思いますので、
ガラス窓の中から撮影をしました。
■ゲレンデでは、ヨツバヒヨドリの花に緑のバッタが止まっていました。
ここには多くのバッタが例年発生し、
8月を通してどんどん成長していきます。
その経過で、8月の終わりに近づくと、
草に止まったまま命を失っている個体が見られるようになります。
今年も、数例そのような状態を見ています。
おそらく病気なのだと考えています。
■今年のグランデコで見た蝶を振り返ってみました。
キベリタテハは数頭見ました。
ヒョウモン類の個体数が少ないと感じています。
特にミドリヒョウモンは極めて少なかったです(8月上旬は通常は多い)。
メスグロヒョウモンは見ていません。
モンキチョウも過去に比べると多くありません。
スジグロチョウはそこそこの数を見ました。
ヒカゲチョウは見ていません。
ヒメキマダラヒカゲは非常に少なく、年々少なくなっています。
クロヒカゲはそこそこいますが、過去に比べると減っています。
ヒメシジミも例年多く発生する場所に、
今年は8月上旬だけ数頭見ただけでした。
■他に、今年ここで見た蝶は、キアゲハ、ミヤマカラスアゲハ、
ウラギンヒョウモン、オオウラギンスジヒョウモン、
オオチャバネセセリ1頭、キバネセセリ1頭、サカハチチョウ1頭など。
見ていないのは、コムラサキ、テングチョウ、トラフシジミ、・・・。
2004年、2005年頃には、ゲレンデに多種類の蝶がいましたが、
年々減っています。
アサギマダラも個体数は減少傾向にありますが、
ゲレンデではダントツに多く種類で、
そこがアサギマダラの特異なところと言えるかもしれません。
私の想像するには、蝶の個体数が減っているのは、
ここだけではなく、全国の多くの場所でそうではないかと思います。
■2008年は、ヤンマの発生が見られません(一頭だけ目撃)。
アキアカネも数年前に比べると非常に減っています。
ノシメトンボはほとんど見ません。
■ゲレンデ周辺では、植物が秋めいています。
1昨日(8月19日)、ゲレンデの下界(標高1000m近く)では
秋への曲がり角(ターニングポイント)を超えたと述べましたが、
今日はその第二歩の歩みを感じました。
すなわち、観察を通して、急速に秋に向かっている印象を持ちました。
ノブドウの葉が色づき初めています。
ゴンドラで見ると落葉松(からまつ)の枝先の
白っぽく伸びた部分が目につくようになりました。
ウダイカンバの葉にも黄色みが増えました。
ススキの群落も葉の色調に黄色みが少し増したように思います。
笹(チシマザサ)の茶色も増えたことがゴンドラから確認できます。
オオバカメノキの葉が下界で赤くなりました。
実は紅になっていきますが、葉の紅葉も次第に進んでいくのです。
ホテルの芝生も茶色が増していることに気づきました。
しかし、植えてあるアキニレの葉は不変で、メグスリノキも不変。
いずれも秋には変色しますが、今はまだ緑色の葉を保っています。
■筆者の現在の印象は、08年のグランデコ周辺に関する夏の特徴付けは
「成長は早いが、成熟が遅い夏」というものです。
これは丈は早く伸びたが、花は豊かに開花していない種が多く、
開花の時期も遅れているものが多いことを意味しています。
■昆虫も植物も08年の夏から秋への移行がどうなっていくのか、
注意深く見守りたいと思います。
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■タテハチョウ科マダラチョウ亜科(以前はマダラチョウ科とすることもあった)アサギマダラ属アサギマダラ。学名Parantica sita 。英名Chestnut Tiger。
■本ブログの総合的な画像目次や、ブログ内容を地域毎・テーマ毎にまとめた画像目次を下記のHPから見ることができます。
●SRS研究所の公式HP
<参考HP>
●グランデコ・デコ平・裏磐梯でのアサギマダラ・自然旅行体験(SRS研究所)
●3Dアサギマダラの世界(SRS)
●SRSアサギマダラ生態図鑑
●2008年アサギマダラ移動調査記録(SRS)
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