翅に標識(マーキング)を施して、移動の詳細を調べることが行われています。
一般には、マーキングの仕方は、
1)標識地を簡潔に示す、
2)標識者を示す記号をつける、
3)個体番号をつけて区別をつける、
4)標識月日を記載する、
などが重要な点です。
写真左の例では、標識地は「アマミ」、標識者は「SRS」で表し、
個体番号は「459」(これは07年の最初の個体からの番号)、
標識月日は「5/2」(5月2日を示す)、で示してあります。
この個体は雌です。それは、後翅に「性標」という黒い斑紋がなく、
腹部下面も白っぽいことから判断します。
■それ以外に、写真の個体では、「++ + −」という3つの記号をつけています。
これは筆者独自の表現です。
最初の場所の「++」は、腹部を触れると、
こりこりとした触感のある固い膨らみを触れることを示します。
これは交尾後に雄から受け継いだ精包(=精子の入った袋)が、
雌の交尾嚢にあるかどうかをチェックするものです。
しかし、この交尾判定法には不確実性があるとされます。
筆者がこの場所に「++」と書く場合は、明確にしこりを触れるときです。
(そうでない場合は、「+」。初見がない場合は「−」とします)。
2つめの場所の記号「+」は、交尾口(右の写真の腹端の黒い所)の
1mmほど頭の方向に離れた場所に、「横線がある」ことを示します。
この線は交尾の際に、雄が交尾口を把持することによって生ずる傷で、
交尾の痕跡を示すものです。この痕跡は2点だけのこともあります。
この個体は、交尾痕跡もあり、精包触感もあることになります。
交尾痕による判定の方が、腹部の触感で見る方法よりも、
一般にはより正確と考えられています。
3つめの場所の記号「−」は、腹部がこすれた状態を示す記号で、
「腹部擦過痕」と呼んでいます(複数の段階がありますが、
ここには詳しいことは示しません)。
数多くの個体を観察して来た経験から、
産卵したかどうかを推測する上で役立つものと考えています。
この個体はその初見が見られない例ですので、「−」となっています。
■5月の奄美大島で、春の渡りをする前に交尾が行われていることは、
重要な初見です。

[070502]鹿児島県奄美市住用町。奄美大島。
■タテハチョウ科マダラチョウ亜科(以前はマダラチョウ科とすることもあった)アサギマダラ属アサギマダラ。学名Parantica sita 。英名Chestnut Tiger。
■本ブログの総合的な画像目次や、ブログ内容を地域毎・テーマ毎にまとめた画像目次を下記のHPから見ることができます。
●SRS研究所の公式HP
<参考HP>
●奄美大島の自然旅行体験(SRS研究所)
●3Dアサギマダラの世界(SRS)
●SRSアサギマダラ生態図鑑
●2007年アサギマダラ移動調査記録(SRS)
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