以下、その内容を引用して紹介します。
■ 「アサギマダラ群舞地・大分県姫島
住民ボランティアで保護活動
草取りや砂入れ 全国から観察者。島起こしに」
渡りをするチョウ・アサギマダラは、春には南西諸島から本州へと北上するが、大分県国東半島の北東の海上に位置する姫島は個体数の多さから「群舞地」として知られている。アサギマダラが群がるムラサキ科の植物・スナビキソウが群落しているためで、住民がボランティアで保護活動に取り組んでいる。(7面参照)
龍郷町であったシンポジウムで講演した群馬パース大学教授の栗田昌裕さん=医学博士=によると、アサギマダラはAP(ピロリジジンアルカロイド)を多く含む植物に集まる性質があるが、スナビキソウはその植物の一つ。姫島ではスナビキソウが自生する海岸に、春になるとたくさんのチョウが集まる。
当初、地元の人々は「良くないことが起きる兆候では」ととらえていたが、最近になりアサギマダラと分かった。
姫島での個体数は千頭単位で確認されている。栗田さんは2005年春に訪れた際、数百頭と大量にマーキング(翅に標識)するなど多く集まる場所として知られている。その環境を保護していこうと組織された守る会は、中城信三郎さんを会長に地元の有志17人で発足。事務長の木野村孝一さんは今回のシンポにあわせて、栗田さんとともに奄美を訪れた。
若い時からアサギマダラが海を渡っていく事実を海上の船の上で観察してきた中城会長は、スナビキソウ群落に特に集まることを知り、そこを休息地として保護。
これに協力した人々で発足した守る会は、草取りなどが集まりやすい環境づくりに取り組んでいる。
04年の秋の台風により、海岸のスナビキソウ群落の場所が大きく破壊(高波による砂の流出)されたときには、生育地の埋め戻し作業を実施、大量の土砂を用いて修復した。海岸だけでなく、内陸の土地を畑に造成し、そこにスナビキソウを移植する取り組みも。スナビキソウは砂に根を深く張る性質があるが、その根を分断したところ、それぞれから根が出ることも分かり、植栽が大規模に行われた。
全国で行われているアサギマダラのマーキング報告によると、今年の北上では個体数が少ない傾向にある。それでも栗田さんは姫島で2千数百頭もマーキング。姫島から中部日本を中心に全国へ移動しており、現在のところ2頭が再捕獲(四国、東北から島根[栗田注:四国と島根にて再捕獲])された。
守る会の活動により、生息環境が保護されている姫島では春になると全国から観察者が訪れる。栗田さんは「多くのアサギマダラを一カ所で観察できる場所として姫島は日本一。その観察を目的に全国からたくさんの人が訪れており、アサギマダラは島おこしにつながっている」と話す。村行政も毎年5月にある「カレイ祭り」と関連させ、バスで移動しアサギマダラを観察したりマーキングするイベントを企画している。
「アサギマダラが群舞状態で大量に観察できる環境は、他では見られない価値あるものとして注目を集め、全国から人々が訪れ観光につながっている。その保護に地元の人々が取り組んだのが大きい」と栗田さんは語り、個体数が減少しているという奄美について「秋の渡りでは、奄美ではヤマヒヨドリバナに飛来するが、雑草として草刈りの対象となっている。11月下旬まで奄美に渡ることから、そのころまで草刈りはひかえ1ヶ月ずらすなど、渡りの時期への配慮をしてほしい」と求めている。
<写真の解説>
大分県・姫島の取り組みを報告した栗田さん(龍郷町シンポでの講演)↓

[070707]
■この記事に関する筆者(栗田)への取材は、07年7月6日朝に龍郷町で行われました。■本ブログの総合的な画像目次や、ブログ内容を地域毎・テーマ毎にまとめた画像目次を下記のHPから見ることができます。
●SRS研究所の公式HP
<参考HP>
●奄美大島の自然旅行体験(SRS研究所)
●姫島のアサギマダラを守る会の紹介
●3Dアサギマダラの世界(SRS)
●SRSアサギマダラ生態図鑑
●2006年アサギマダラ移動調査記録(SRS)
●2007年アサギマダラ移動調査記録(SRS)
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