そのシンボルが雄の「性標」で、
雄の後翅(うしろばね)の腹部に近いところにある黒い斑紋部がそれ。
ここからフェロモンなどの香り物質が出ると言われます。
■香り物質を空中に放散する仕組みがヘアペンシル(ヘア・ペンシル)。
これは筆の穂先のような構造をしています。
平素は腹部にたたみ込み、必要に応じてそれを腹端に出して、
性標から出る物質をこすり取って、空中に放散させます。
■筆者の観察では、ヘアペンシルを見ることができる確率は約千分の1。
すなわち、千頭見ると1頭くらいにヘアペンシルが見られます。
興味深いことに、アサギマダラの場合、左右両方が十分に出ている例は稀です。
■下の写真は、07年8月の福島県グランデコスキー場で見た2番目のヘアペンシル例。
やはり左の方のみ出ています。その出方も、中途半端な出方をしています。
この「SRS5226」はグランデコで2961番目に出会った個体です。
それが2例目のヘアペンシル例ということは、千例に一例という確率に矛盾しません。
■このような左右差に関する筆者の考えは以下の記事で述べました。
■このブログの過去の記事で、ヘアペンシルを扱ったものは以下の4件です:
06.10/10●「アサギマダラの雄のヘアペンシルとは(アザミ吸蜜)」
http://srs21.blog59.fc2.com/blog-entry-164.html
07.05/11●「タオルに寄って来たオオゴマダラはヘアペンシルを出していた
(喜界島にて。オオゴマダラNo.2)・・・「ヘアペンシル考」」
http://srs21.blog59.fc2.com/blog-entry-765.html
07.06/21●「姫島で出会ったアサギマダラの雄(SRS2075)には
左のヘアペンシルが出ていた(07年6月2日)
・・・片方だけ出ている理由(ヘアペンシルNo.2)」
http://srs21.blog59.fc2.com/blog-entry-949.html
07.08/10●「07年8月10日、
グランデコ最初のアサギマダラの「ヘアペンシルの例」に遭遇し、
左が短かった [070810。SRS3211。ヘアペンシルNo.3。デコ平]」
http://srs21.blog59.fc2.com/blog-entry-1123.html
■ツマムラサキマダラは刺激すると容易にヘアペンシルを出し。
左右差はありません。同じマダラチョウでも種によって事情は違います。

[070816]福島県耶麻郡北塩原村桧原荒砂沢山 グランデコスキー場(グランデコスノーリゾート)。デコ平。ゴンドラ駅。標高1390m。
■タテハチョウ科マダラチョウ亜科(以前はマダラチョウ科とすることもあった)アサギマダラ属アサギマダラ。学名Parantica sita 。英名Chestnut Tiger。
■本ブログの総合的な画像目次や、ブログ内容を地域毎・テーマ毎にまとめた画像目次を下記のHPから見ることができます。
●SRS研究所の公式HP
<参考HP>
●グランデコ・デコ平・裏磐梯でのアサギマダラ・自然旅行体験(SRS研究所)
●3Dアサギマダラの世界(SRS)
●SRSアサギマダラ生態図鑑
●2007年アサギマダラ移動調査記録(SRS)
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