9月14日に群馬県の赤城自然園で再捕獲されました。
これは春に北上移動したアサギマダラが、夏を経由して、
秋まで生きていたことが確認された最初の極めて珍しい例です。
以下、アサギMLに投稿した記事の一部を紹介します。
■[asagi:011560] 【移動情報】 姫島 6/5 → 赤城自然園 9/14 (KK420→・)
[姫島からの移動3例目]
姫島から赤城自然園への移動に関して報告いたします。
■移動情報
姫島 6/5 → 群馬県赤城自然園 9/14
(北西方向に約743km移動。移動日数は101日間)
標 識:KK 420 6/5 ヒメ
性 別:♂
標識日:2007年6月5日
標識地:大分県東国東郡姫島村みつけ海岸
標識者:木野村孝一
備 考:スナビキソウにて吸蜜。
↓
再捕獲日:2007年9月14日10時10分
再捕獲地:群馬県渋川市赤城自然園
再捕獲者:内田洋子・松本幸雄
再確認の方法:捕獲
備 考 :フジバカマ吸蜜中。
大変弱っており捕獲後絶命
■コメント
●1)本例は、2007年に、姫島から島外に北上移動して
再確認された第3例目にあたります。
●2)姫島からの移動距離の最長例の第二例目になりました。
第一例目は昨年(2006年)に、
姫島から赤城自然園に移動した例でした:
[asagi:010122] 【移動情報】 姫島 5/23,25
→ 赤城自然園 6/22 (KK136→SRS3483→AP26)
[姫島からの移動6例目]
最長距離を離れた場所で、2年連続して再確認されたことは興味深い
ことだと思います(昨年の例の標識者は木野村孝一氏&栗田昌裕で、
再捕獲者は松本幸雄&内田洋子)。
●3)2007年の赤城自然園では個体数が9月上旬から中旬の初めにかけて
大変少ないという風に伺っておりましたが、その中で本例のような
貴重な例が確認されたことはうれしい限りです。
●4)2007年の春の姫島は前年より3-4割個体数が少ない印象でしたが、
3つの移動の波が観察されました。
本例はその第3番目の波である6月5~8日のときに放蝶されたものです。
木野村さんによれば
「6月8日には、7時時点でのアサギマダラは約1500頭です。
天気曇り、温度21度です。昨日より増えている感じがいたします」
とのことでした。
●5)2006年に、一番最後に確認された北上個体は、
「姫島6/10→石川県白山市 8/31(KK560)」
という例でした(標識は木野村孝一氏→中村明男氏)。
この例は、538km、82日間の移動でした。
北上個体が「8月超え」を果たして、「9月入り」をしたことで、
本例には歴史的な意義が生まれたと思います。
●6)グランデコスキー場で8月に観察をしていると、
捕獲したアサギマダラのおよそ1%余が、
「古い個体、または中古の個体」となっています
(筆者のブログでその日々の割合は公開中)。
これらは、春に北上した個体がそのまま8月まで生き延びていると考えられ、
その割合は9月上旬まで変わることがありません。
したがって、生き延びていれば、そのまま南下していくと思われます。
すなわち、「北上の後、Uターンをする」ことになります。
●7)本当にUターンをしたかどうかは、「姫島で春に標識された個体が、
夏の全くいない時期を経て、秋に再度確認された場合」に言えることに
なると思います。その意味で、姫島は「Uターン現象が最初に確認さ
れる場所」になり得ると思います。本例はそのいわば前駆例になります。
■下の画像は、姫島から夏を超えて秋に見出されたアサギマダラ。
赤城自然園の片場富夫氏の御好意により筆者が撮影させていただきました。

[070914]群馬県赤城村 赤城自然園。
■タテハチョウ科マダラチョウ亜科(以前はマダラチョウ科とすることもあった)アサギマダラ属アサギマダラ。学名Parantica sita 。英名Chestnut Tiger。
■本ブログの総合的な画像目次や、ブログ内容を地域毎・テーマ毎にまとめた画像目次を下記のHPから見ることができます。
●SRS研究所の公式HP
<参考HP>
●群馬県の自然旅行体験(SRS研究所)
●姫島の自然旅行体験(SRS研究所)
●姫島のアサギマダラを守る会の紹介
●3Dアサギマダラの世界(SRS)
●SRSアサギマダラ生態図鑑
●2007年アサギマダラ移動調査記録(SRS)
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