これは『グランデコ→蔵王』という移動の2007年における第2例目になります。
07年の8月8日の11時55分に、福島県耶麻郡北塩原村のグランデコスキー場で、アサギマダラにSRS2717と標識をして放蝶しました。標識者は栗田昌裕。
その蝶は、それから17日後の8月25日に、山形県蔵王山で、阿部信行さんによって再捕獲されました。
移動距離は約55km。移動方向は北東です。
■下に示したのがSRS2717の放蝶時の画像です。新鮮な雄個体で、破損はありません。腹部は正常上限の太さ。翅の縁の白毛は10段階のうちの6くらいの残存レベルです。
■アサギマダラは夏の間は涼しい高原で過ごす傾向がありますが、今年の8月上旬の後半は東北地方は過去3年に似ず晴天続きで、気温も海抜約1400mのゲレンデで30度近くまで上昇を示す異常な暑さを示しました。そこで、通常ならば、グランデコで一夏を過ごせばよいところが、さらに北上してより涼しい場所を求めた個体が少なからずいたのではないかと想像しています。
■07年のグランデコからは、筆者の標識した個体が
3例も北上して蔵王で再捕獲されています。
以下のブログ記事を参照してください:
●07.9/7「福島県グランデコから宮城県蔵王にアサギマダラが約55km移動した [SRS2471 07.8/7。デコ平] 宮城県第一例」
http://srs21.blog59.fc2.com/blog-entry-1130.html
●07.9/6「福島県グランデコから山形県蔵王にアサギマダラが約55km移動した [SRS7212 07.8/25。デコ平] 山形県第一例」
http://srs21.blog59.fc2.com/blog-entry-1129.html
2番目の記事は、8月25日にグランデコでマーキングをした個体が、
9月4日に蔵王山の山形県側で再捕獲された例が示されています。
8月の下旬になってもまだ蔵王に移動する個体がいたくらいですから、
上旬にはかなりの数が移動した可能性があると思います。
■このようにグランデコから夏に北上した個体も、
いずれは秋になると南下するはずですから、
事実上、「Uターンをする」個体がいることを示唆しています。
どれくらいの個体が「Uターン」をするのかは、
まだきちんとしたデータは得られていません。
■以下、アサギMLに投稿した報告記事の一部を掲げておきます。
【移動情報】 グランデコスキー場 8/8
→ 宮城県蔵王町 8/25 (SRS2717→ ZAO) ♂ 宮城県第2例
◆移動情報
グランデコスキー場 8/8 → 群馬県赤城自然園 8/25
(東北方向に約55km移動。移動日数は17日間)
標 識:SRS 2717 デコ 8/8
性 別:♂
標識日:2007年8月8日16時08分
標識地:福島県耶麻郡北塩原村桧原荒砂沢山グランデコスキー場
標識者:栗田昌裕
備 考 :ヨツバヒヨドリにて吸蜜。写真あり。破損なし。鮮度上の下。
辺縁白毛6割残存。腹部横径 正常上限。
↓
再捕獲日:2007年8月25日16時頃
再捕獲地:宮城県蔵王町後見ゲレンデ 聖山平
再捕獲者:阿部信行
備考 :ZAO 8/25を追加標識して、再放蝶。
◆コメント 当日89頭標識したうちの1頭です。

[070808]福島県耶麻郡北塩原村桧原荒砂沢山 グランデコスキー場(グランデコスノーリゾート)。デコ平。ゴンドラ駅。標高1390m。
■タテハチョウ科マダラチョウ亜科(以前はマダラチョウ科とすることもあった)アサギマダラ属アサギマダラ。学名Parantica sita 。英名Chestnut Tiger。
■本ブログの総合的な画像目次や、ブログ内容を地域毎・テーマ毎にまとめた画像目次を下記のHPから見ることができます。
●SRS研究所の公式HP
<参考HP>
●グランデコ・デコ平・裏磐梯でのアサギマダラ・自然旅行体験(SRS研究所)
●3Dアサギマダラの世界(SRS)
●SRSアサギマダラ生態図鑑
●2007年アサギマダラ移動調査記録(SRS)
●2006年アサギマダラ移動調査記録(SRS)
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