この記事は上下の連載からなり、「上」は筆者に関する内容でした。
■タイトル
「「旅するチョウ アサギマダラから見た奄美
龍郷町・環境教育シンポジウム 下」
■サブタイトル 藤崎教授「謎解きは保護に」
矢原教授「共通感覚持つ」
■ チョウ・アサギマダラを通し、身近な自然を見つめ直す環境教育シンポジウム(龍郷町・京都大学21世紀COEプログラム共催)。登壇した京都大学大学院農学研究科・藤崎教憲治教授(59)、九州大学理学研究院・矢原徹一教授(53)の講演を振り返る。
藤崎教授は「アサギマダラの渡りの謎を解く」をテーマに講演。渡りの謎について、①移動の方向性の決定②移動の適応性③移動する理由-の3点を挙げ回答した。
アサギマダラの移動の方向性は詳しい研究がされていないため、類似の渡りをするオオカバマダラを例に紹介。アサギマダラも▽太陽をコンパスとして方向付けする▽光周期(明期と暗期の周期)に頼った体内時計で、季節ごとに移動の方向性を決める-の2点が考えられるとした。
移動の適応については、翅(はね)の防水性に注目。アサギマダラは、翅に黒、褐色、青みがかった透明部分を持つ。極めて防水性が高いのは、表面に独特な立体構造がある透明部分。藤崎教授は防水性が、「渡りの途中の降雨、海上での休息になる」とみている。
移動する理由は、避寒・避暑によるものと判断。「アサギマダラの生態や行動の謎を解くことは保護にも役立つ」とまとめた。
◇ ◇
■「アサギマダラ累は、なぜ蜜(みつ)が少ない小さな花のヒヨドリバナ類」を好むのか」-。矢原教授は、花と昆虫の関係について質問を投げ掛けた。
理由はアサギマダラ類が、ヒヨドリ花の蜜にある有毒成分・ピロリディン・アルカロイドを集める習性があるためと説明。雄は性フェロモンを作る際、有毒成分を利用するという。
続いて「なぜ花を作るのか」という問いについて、多くの植物は、他の生物に花や草を食べられないよう毒を作って体を守っていると答えた。
生き物と人との共通点については、好き・嫌いの感覚が共通と指摘。「人は、昆虫や動物の祖先から受け継いだ感覚を持つ」と話した。
たとえば、人がイモムシなどを見て嫌悪感を抱くように、昆虫も毒々しい色や目玉模様は嫌いらしい。人にとって安らぎの緑は動物には隠れ家で安心できるものなど共通点が見えてくる。
「感覚に頼らず生き物を知ることで受け取れるものがたくさんある」。矢原教授は、生き物からのメッセージに耳を傾けるよう勧めた。
■ <記事での画像の解説> アサギマダラの翅は超防水性!
水との接触角は実に165度ある!
テフロン(人間が作った最高の防水性の物質)でも100-110度に過ぎない

[070705] 鹿児島県奄美大島龍郷町にて。
■タテハチョウ科マダラチョウ亜科(以前はマダラチョウ科とすることもあった)アサギマダラ属アサギマダラ。学名Parantica sita 。英名Chestnut Tiger。
■本ブログの総合的な画像目次や、ブログ内容を地域毎・テーマ毎にまとめた画像目次を下記のHPから見ることができます。
●SRS研究所の公式HP
<参考HP>
●奄美大島の自然旅行体験(SRS研究所)
●3Dアサギマダラの世界(SRS)
●SRSアサギマダラ生態図鑑
●2007年アサギマダラ移動調査記録(SRS)
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