■タイトル「アサギマダラ 奄美から南下の例なし」
■サブタイトル「群馬パース大の栗田教授調査 本州に長期残留 渡りで2グループ」
■序文
「渡りをするチョウ・アサギマダラの南下にあわせて、群馬パース大学教授の栗田昌裕さん=医学博士・薬学博士=がマーキング(翅(はね)に標識)調査で奄美を訪れている。奄美大島では福島県や愛知県などから飛来した個体が再捕獲されたが、奄美大島からの南下の証明は一例もなく、島内での移動も不明な点が多い。栗田さんは、春と秋に日本列島を移動する珍しい昆虫に多くの人々が関心を持ち、マーキングへの参加を呼びかけている」。
■本文
「毎年一人で全国で2万頭もマーキングを行い、個体群の推計や生態調査を進める栗田さんは、今月1、2日に奄美大島で、3、4日は喜界島での調査を予定している。
奄美大島では北部の龍郷町で初日に40頭、2日目は71頭にマーキング(奄美大島での標識記号はSRA)。このうち再捕獲は1頭あり、愛知県渥美半島でマーキングされた個体で、南西方向に約1003キロの距離を移動したことになる。今年の南下(本州からの)で、これまでに奄美大島で再捕獲されたのは四例。最初の確認は10月16日にあり、栗田さんが福島県グランデコスキー場でマーキングしたアサギマダラが58日間かけて福島から奄美まで1446キロ移動した。
栗田さんは『主にヤマヒヨドリバナを吸蜜植物としている。ヤマヒヨドリバナの開花株数は過去3年の中では一番多く、状態がいい。アサギマダラを迎えるという意味では、奄美大島はこれからの季節が楽しみ』としており、ヤマヒヨドリバナを草刈りの対象とせず保全を求めている。
南下のスタート地点は例年より早かったものの、10月下旬でも愛知県など中部地方で再捕獲されるなど、本州での滞在が長引いている。また南下せずに東へ移動するケース(高知から徳島へ、愛知・長野から静岡へ)もみられる。栗田さんは「寒いところから暖かいところへという移動の図式が崩れつつあり。気温の高さが影響しており、南下が遅れ長引く可能性がある」と指摘する。
本州からの南下は長崎(五島列島でも再捕獲)、宮崎、熊本、それに奄美諸島で確認されているが、11月2日には県本土(指宿市)でも福島から85日間かけて1137キロ移動したものが再捕獲された。
栗田さんによると、奄美への渡りでは①愛知から10日前後でいっきに南下する(早い)②屋久島経由で12月ごろまでかかる(遅い)-二つのグループに分かれるという。他の地域でマーキングされたものが奄美で再捕獲されることで渡りのルートが明らかになるが、奄美からの南下は一例も証明されていない。
喜界島から沖縄への南下は確認されているものの、奄美大島からの南下は謎となっている。また奄美大島内の移動も笠利-龍郷間の移動は確認されているが、北部から南部への移動は再捕獲例がない。喜界島から奄美大島への移動は、奄美大島北部で二例確認されている。栗田さんは、「奄美大島北部ではこれまで何千頭もマーキングしているが、その南下を示す再捕獲例がない。奄美からの南下ルートを明らかにするためにも、奄美の多くの人々がマーキングに関心を持ってほしい」と話す。
日本各地で行われているアサギマダラのマーキングにより、今年の南下で見られるように気温とのかかわりが推測できる。アサギマダラは人間の営みや温暖化など地球の変化と連動しており、マーキングは自然に目を向けるチャンスとなる。
■<写真> アサギマダラのマーキング調査を行った栗田教授

[071107] 鹿児島県奄美大島龍郷町にて取材。
■タテハチョウ科マダラチョウ亜科(以前はマダラチョウ科とすることもあった)アサギマダラ属アサギマダラ。学名Parantica sita 。英名Chestnut Tiger。
■本ブログの総合的な画像目次や、ブログ内容を地域毎・テーマ毎にまとめた画像目次を下記のHPから見ることができます。
●SRS研究所の公式HP
<参考HP>
●奄美大島の自然旅行体験(SRS研究所)
●3Dアサギマダラの世界(SRS)
●SRSアサギマダラ生態図鑑
●2007年アサギマダラ移動調査記録(SRS)
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