アサギマダラのマーキングの9日目でした。
この日はSRS6785からSRS6845までの
61頭にマーキングをしました。
写真上はその途中で標識したSRS6807の画像です
[6708とあるのは6807の記入ミス]。
これは下記に記載したようにリフト駅の天窓(写真下)に
自然にトラップされた個体です。


[080814] 福島県耶麻郡北塩原村桧原荒砂沢山 グランデコスキー場。デコ平。
■この日は、朝から雨天でした。
(日本海に低気圧があり、日本海側には広く前線が出来ていて、
日本海側は雨天になるだろうとの朝の天気予報がありました)。
ゲレンデを上がってみると、10時過ぎに30分間ほど
アサギマダラの活動を見ることができました。
ただし、いずれの個体も花に止まるか止まらないかの状態で
ふわふわと飛び回っているだけで、まったく落ち着かない様子でした。
それから雨が再度降り、昼すぎに少し雨が止んだときに、
若干の標識を加えることができました。
あとはずっと雨が降り続きましたので、
あきらめて、15時半に下山を開始しました。
■雨の降っている間、木陰で観察していると、
上空20m程度のところを最高で一視野に7頭程度の
アサギマダラが飛んでいく場面を見ることができました。
このような場面は毎年見るものですが、今回改めて観察すると、
これは大変不思議な出来事だと思われました。
1)目的なく、どこへ飛ぶともなく飛んでいるように見える。
2)羽ばたき方が非常に不規則である
(ただし、1秒から1.5秒ごとに数回はばたいて少し上昇する)。
3)旋回するわけでも、直進するわけでもない。
4)飛跡は上下に動く波を描くがその形は非常に不規則である。
5)相互に関心を持つことは全くなくそれぞれ単独で飛んでいる。
6)森からオープンスペースの上空に飛ぶが、
花に吸蜜に向かったりはしない。
7)雨が降っていても飛んでいる。
8)飛ぶ方向はでたらめである。ただし、少し風があるときは、
風に逆らうような飛び方をすることが多い。
9)このような飛び方をするときは、空はどんよりとしており、
湿度は高く、青空は見えない。気温は20度程度。
雨で濡れた翅を動かして、乾燥させようとしているのかもしれない、
と筆者は漠然と考えました。
■8月14日の9日目は、61頭に標識をしました。雌(♀)はそのうち10頭で、
その割合は約16%でした。過去6日間は、
15%、15%、23%、16%、24%、24%、8%
と変動が見られています。
■この日は標高の低いところのみで標識をしました。
■交尾痕のある雌個体は0頭でした。
■前日の8月13日に標識したアサギマダラのうち、
本日再捕獲できたのは2頭でした。
前日放蝶した506頭に対して、本日は
2/61頭の割合で再捕獲されたことになりますから、
簡易な方法による前日の推定頭数は、
506×61/2=15433[頭]
となります。この計算に従えば、
8月12日には約1万5千頭程度のアサギマダラが
「ゲレンデ周辺(見えないところも含めた仮想領域)」にいたと推定されます。
■8月の推定頭数は、1万頭程度から始まり、
1万5千頭前後であると示唆されていました。
今日は雨天で、標識した範囲も狭く、標識頭数が少なく、
前日の再捕獲も2頭しかないので、
データの信頼性は高くはありません。
しかし、たまたま妥当な数字になっているようです。
もう一つ推定法での結果を参考にしましょう。
■過去5日間(8月9、10、11、12、13日)と同様に、
日付を問わないで計算する別な推定法も行ってみましょう。
8月6日、7日、8日、9日、10日、11日、12日、13日の
日付がある再捕獲個体の数(=本日再捕獲した個体数)を合計すると、
6頭でした。
昨日までの累積標識頭数は
6784-3326=3458頭でした。これから、
3458×61/6=35156頭[=約3万頭]
という推定値が出ます。
前日の推定値はほぼ2万頭でした。
上にも述べたように今回の推定値は信頼性が高くないので、
あくまで参考値とするのが適切です。
[注:本ブログでは推定値の誤差に関する詳細な議論は省きます]。
■8月13日は「中程度に古い個体」も「古い個体」も0頭でした。
■翅に変形が見られたのは61頭中1頭(雄)で、
割合は1.6%でした。
■白い部分が多い個体はやはり増えつつあります。
(SRS6797♂、6811♂など)
■ヘアペンシルを出した個体は0頭でした。
■腹部に疾病のある個体は0頭。
■寄って来た個体は0頭。
■SRS6807、6808は、
リフトの駅で雨宿りをしているとき、明かり取りのある天窓に
自然にトラップされているのを見つけて
標識した個体です(上記写真は、
上がその個体の写真で、下が天窓部分の写真です)。
個体数の多い年には同じ場所に10数頭がトラップされました。
今年はそれに比べるとさほど多くありません。
■グランデコのスタッフが行うアサギマダラ観察会は、
本日は中止となりました。
■筆者以外の人が標識した個体は8月14日には1例のみ再捕獲。
■8月15日も雨天が予想されています
(本日の降水確率の予想は北塩原村では50%。明日は20%です)。
■一昨日までの夏の初めの安定した気象は、昨日を境にして、
完全に不安定な気象に移行した実感があります。
盛夏に突入すると同時に秋が始まったのです。
昨日のにわか雨が慈雨となって、昨日から本日までの1日で、
植物の背丈が驚くほど伸びました(10cm程度という実感)。
アザミ、タラ、ヨツバヒヨドリ、ハンゴンソウなど、
ゲレンデの植物は筆者の背丈を超えて一気に成長していきます。
ユキザサやナルコユリの緑の実も
ゲレンデで充実の度を増しつつあります。
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■タテハチョウ科マダラチョウ亜科(以前はマダラチョウ科とすることもあった)アサギマダラ属アサギマダラ。学名Parantica sita 。英名Chestnut Tiger。
■本ブログの総合的な画像目次や、ブログ内容を地域毎・テーマ毎にまとめた画像目次を下記のHPから見ることができます。
●SRS研究所の公式HP
<参考HP>
●グランデコ・デコ平・裏磐梯でのアサギマダラ・自然旅行体験(SRS研究所)
●3Dアサギマダラの世界(SRS)
●SRSアサギマダラ生態図鑑
●2008年アサギマダラ移動調査記録(SRS)
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