■08年8月29日(金曜日)は、08年のグランデコスキー場での
アサギマダラのマーキングの24日目でした。
SRS11284からSRS11875までの
592頭を標識することができました。
[080829] 福島県耶麻郡北塩原村桧原荒砂沢山 グランデコスキー場。デコ平。
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■本日は朝から雨が降っているので、
ゲレンデ行きは延期。
朝のテレビニュースを見ていると、
愛知県の岡崎市の広田川が決壊して大変な被害が出ているとのこと。
関東にもゲリラ豪雨で床下浸水、床上浸水が生じている地域があります。
本日も東海地方では200mm、
関東甲信越地方や東北地方では100mmの降雨が予想されていました。
雨が収まったので、10時頃にゲレンデに出て標識開始。
しかし、16時には再度雨が降って来ましたので、
しばらく様子を見てから、雨の中で徒歩下山をしました。
■この日は標高の低めのところで標識をしました。
■本日標識した592頭のうち雌は8頭で、比率は1.35%。
雌比率は15%、15%、23%、16%、24%、
24%、8%、6%、7%、17%、7%、・・・
などと推移してきましたので、
雌比率が大変低い日であると言えます。
■交尾痕のある雌個体はなし。
■ヘアペンシルの出た雄個体もなし。
■翅の変形は2例のみ(SRS11341♂、11385♂)。
割合は0.33%で、少ない方です。
このうち、SRS11341は、前翅端に近い部分に、
直径1×2mm程度の小さい穴(ただし破損ではない)が出来ている
という珍しい例でした。
■モンシロチョウ程度の小さい個体が多い傾向は続いています。
40例を記録しましたが、これは6.8%にあたります。
■「中古の個体」は0例。「古い個体」も0例。
合わせて0例で、割合は0%でした。
■「病気」と思われる個体は0例。
■本日の592例のうち、
前日の8月28日の標識のある個体の再捕獲は5例でした。
その日は533例に標識をしましたから、
アサギマダラの推定頭数は
533×592/6=52589頭(=約5万頭余)となります。
以下に、より意味のあると思われる推定をしておきましょう。
■標識日を日付順にA、B、C、・・・とすると、各日の分の再捕獲は
A0、B0、C4、D2、E3、F2、G3、H5、I1、
J4、K6、L0、M9、N2、O8、P0、Q2、R0、
S5、T16、U10、V5
となり、その合計は
0+0+4+2+3+2+3+5+1
+4+6+0+9+2+8+0+2+0
+5+16+10+5
=87例です。
筆者の標識した個体は累積で昨日までに5560例ですから、推定値は
7957×592/87=54144(頭)[=約5万頭余]
となります。すなわち、
前日までには約5万頭程度のアサギマダラが
「ゲレンデ周辺(見えないところも含めた仮想領域)」にいたと推定されます。
■592頭中、87例が既標識例でしたので、標識率は14.7%でした。
■当日筆者が放蝶した個体の自己再捕獲は4頭でした。
■筆者以外の人が標識した個体の再捕獲は11例でした。
■白い部分が多い個体(白い部分の斑紋模様が派手に見える個体)
の例としては、SRS11296。
■鱗粉のある場所の全体が普通より黒っぽい個体の例は、
SRS12230など37例を記録しました。
(対照となる非黒化個体の例はSRS11427)。
その中でSRS11420は特に香りが強いので印象的でした。
SRS11443は小型でかつ黒化個体の例でした。
SRS11470はハートマークが印象的な例でした。
■標識中に筆者やネットに寄って来た個体
(これをストーカーと筆者は呼びます)は、
以下の通り14頭が記録されました。
1●SRS11285♂を標識中に2頭のストーカー飛翔例あり。
2●SRS11287♂を標識中に1頭のストーカー飛翔例あり。
3●SRS11306♂はネット・ストーカー。
すなわち、ネットに止まったので、手で捕獲して標識。
4●SRS11315♂は手に止まった例。止まった写真あり。
手で捕獲して標識。
5●SRS11316♂は寄って来てストーカー飛翔したので、
捕獲して標識。
6●SRS11317♂は手に止まりました。写真あり。
7●SRS11330♂は寄って来てストーカー飛翔したので、
捕獲して標識。寄って来たときの写真あり。
8●SRS11340♂は寄って来てストーカー飛翔したので、
捕獲して標識。
9●SRS11341♂も同上。
10●SRS11400♂は寄って来てストーカー飛翔した例。
この例はホバリングが特に著明なので、印象的。
11●SRS11420♂は寄って来てネットに止まった例。
12●SRS11568♀は寄って来て手に止まった例。
この例は♀(雌)であることに注意してください。
この項目だけ見るとストーカー飛翔する個体には、
♀が少ないように見えますが、そもそも♀個体は本日捕獲した
592例の中で8例しかいませんでしたので、ストーカー個体が
特に雌が少ないというわけではありません。
13●SRS11630♂は、寄って来て時計の腕輪部分に
止まった例。
以上、この日はストーカーが多い日であることが分かります。
旅立ちを始めると、ストーカーが増えて来るのです。
■本日は、タオル回しに反応することが分かりました。
通常はグランデコではタオル回しには反応しないのですが、
旅立ちをするほど成熟すると、
一部の個体はタオル回しに反応をするようになります。
これは成熟度が高まっていることを示唆します。
ストーカー個体が増えることとタオルキャッチが出来ることとは
相関のある現象です。
■8月27日はアサギマダラが明確に旅立ちを始めた日
と認識されましたが、このようなゲリラ豪雨の間を縫って
巧みに渡りを実行しているように見えるのは、
アサギマダラが気候の動向を見極める
素晴らしい直観的な能力を持っていることを
示唆しているように思います。
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■タテハチョウ科マダラチョウ亜科(以前はマダラチョウ科とすることもあった)アサギマダラ属アサギマダラ。学名Parantica sita 。英名Chestnut Tiger。
■本ブログの総合的な画像目次や、ブログ内容を地域毎・テーマ毎にまとめた画像目次を下記のHPから見ることができます。
●SRS研究所の公式HP
<参考HP>
●グランデコ・デコ平・裏磐梯でのアサギマダラ・自然旅行体験(SRS研究所)
●3Dアサギマダラの世界(SRS)
●SRSアサギマダラ生態図鑑
●2008年アサギマダラ移動調査記録(SRS)
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