筆者がマーキング(標識)した渡り蝶アサギマダラが、
11月12日の与那国島で6頭同所再穂確されました。
これらは島外には移動しないで、与那国島で越冬している
ことが確認されたことになります。
この結果から、筆者は、11月下旬の与那国島でのアサギマダラ
の動きに関して、若干の推測をしました。
その内容をメーリングリストでのやりとりから紹介します。
■以下は再捕獲してくださった三重県の西田さんの御報告です。
アサギMLでの報告から引用させていただきます。
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■[asagi:014250] 八重山の状況
●皆さん今日は、三重の西田です。
1月9日~12日にかけて与那国島、石垣島でアサギマダラを観察してきました。
さすがの八重山も、寒波の影響で気温が低く、10日の与那国島の日中でも12~3℃で成虫は、全く見られませんでしたが、2齢~終齢の幼虫を初めて観察出来ました。11日は、天候が回復し与那国で♂♀合わせて52頭にマークすることが出来ました。同所再捕獲は、11月21日~23日に栗田氏がマークされた個体6頭、私が23日、24日にマークした2頭、玉置氏が12月1日~3日にマークされた4頭を確認することが出来ました。
また1月12日は、石垣島の北部で♂♀合わせて62頭にマーク出来ました。
今回両島で観察したアサギマダラは、殆どが古い個体で、新鮮な個体は、与那国島1♂、石垣島3♂だけという状況です。
西田悦造
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■以下は西田さんの御報告に対する筆者の応答です。
アサギMLから引用します。
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■[asagi:014252] 感想と若干の推測 Re [asagi014250]
( [asaginet:5805] )八重山の状況
●西田さん、MLの皆さん、東京の栗田昌裕です。
●西田さん、与那国島と石垣島の1月の貴重な情報を
御報告くださり、ありがとうございました。
●1月11日に与那国島で捕獲された52頭のうち、
11.5%にあたる6頭が、私のマークしたアサギマダラ
であることを知りました。
●この情報は、2008年の11月下旬に与那国島を中心
にどれくらいの個体数のアサギマダラが動いていたか
に関して、おおざっぱな推定を可能にするように思います。
●08年の11月21日から23日には、与那国島で合計
1015頭の標識をしましたので、これが11.5%に該当
する約9000頭ほどのアサギマダラが動いたのではな
いかと思われます。
●一方で、21日、22日、23日の自己再捕獲のデータ
から判断すると、その時点では与那国島には数千頭
(3千頭からせいぜい4千頭)程度のアサギマダラしか
いないように推測されましたので、結果として、私が
去ってから後に、さらに5000頭程度は新たに与那国
島渡ってきた可能性があることも示唆されます。
●沖縄本島では2008年は合計823頭標識をしました
が、11月24日の時点でもまだかなりの数がいました。
そのような個体が、例年よりやや遅い時期に八重山諸
島に渡っていったと考えると、上記の推定と矛盾はしな
いように思います。
●今年の秋は奄美大島では個体数が非常に少なく、
沖縄、与那国島では例年より多くの個体数に出会う
ことができました。この変則的な出来事を背景とした上
での推論ですから、上記の数値は、例年の移動には
あてはまらない可能性があります。
●いずれにせよ、結果として、1月の八重山諸島にも
ある程度以上の個体数のアサギマダラが生存している
ことを教えていただき、うれしく思いました。2004年には
奄美大島を毎月訪れて周年生存を確認しましたが、
アサギマダラは条件さえよければ、屋外でも一年中
見ることができるということを、改めて認識できたよう
に思います。
■参考:ご存じの方も多いと思いますが、東京の多摩
動物園では真夏の期間を除いて、園内の温室でほぼ
一年中アサギマダラを見ることができます。昨年12月、
実際に飼育を担当しておられる方々から、飼育の現場
で、御説明を伺う機会がありました。その結果、飼育に
「十分な工夫」をすれば、確かに東京でも(暑すぎる夏
場を除いて)アサギマダラを継続的に見ることができる
のだということに納得をしました。
2009年1月13日 栗田昌裕
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■タテハチョウ科マダラチョウ亜科(以前はマダラチョウ科とすることもあった)アサギマダラ属アサギマダラ。学名Parantica sita 。英名Chestnut Tiger。
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●SRS研究所の公式HP[SRS速読法・SRS能力開発法指導]
<参考HP>
●2008年アサギマダラ移動調査記録(SRS)
●グランデコ・デコ平・裏磐梯でのアサギマダラ・自然旅行体験(SRS研究所)
●沖縄の自然旅行体験(SRS研究所)
●与那国島の自然旅行体験
●3Dアサギマダラの世界(SRS)
●SRSアサギマダラ生態図鑑
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