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アサギマダラと自然のよろこび+仏像の写真・画像 【SRS研究所】

アサギマダラは渡りをする蝶、旅をする蝶。その生態と移動調査(マーキング)と国内外の四季の自然を画像で紹介。地球はよろこびの惑星。有限の惑星の無限の美しさと素晴らしさに共鳴・共感しませんか。植物図鑑、昆虫図鑑、動物図鑑も兼用。仏像写真の特殊処理画像も紹介。

福島県のグランデコでのアサギマダラのマーキング情報。21日目の標識頭数は426頭。推定頭数は約37000頭。雌は15.5%(全部未交尾)と突然増加。古い個体1例。黒い個体5例(1.2%)、小型個体8例(1.9%)。高気圧に覆われ、晴れで気温20度以下。前日より低温だがアサギマダラはやや多い。梅雨開けもしていない前例のない冷夏のもと、まだ旅立ちは始まっていない[09年08月25日。SRS6518-6943。デコ総計5431頭。福島県。デコ平]

■福島県の裏磐梯にある耶麻郡北塩原村のグランデコスキー場のデコ平で、
 08年8月25日に、アサギマダラの21日目のマーキング調査をしました。
■日本列島が高気圧にすっぽり覆われているため、
 福島県も終日晴れとなりました。
 ただし、前日よりさらに1-3度気温が下がり、
 九月上旬から中旬の涼しさになるだろうと言われていた通り、
 福島県では30度を超えた場所はなく、
 グランデコも朝は15度で、16時は17度と終日低い気温でした。
 通常は、アサギマダラが活動できる温度ではありませんが、
 日ざしがよい時間帯びが比較的多くあったため、
 前日より多くのアサギマダラの活動を見ることができました。
 周囲の山々の上に立ち上がり、東に次々と流されていく雲が観察されました。
 これは裏磐梯の夏の特徴ですが、
 今年はこれまで見ることができなかったものです。
 ようやく例年の雲の動きが見えて来たのですが、
 どっこい今年はまだ一度も温度が高くならないのが例年とは異なる問題です。
 昼間は手持ちの温度計で見ていると、
 やっと20度から20.5度くらいにまで上がりました。
■アキアカネ(=赤蜻蛉の一種)はやや増えて、
 クロヒカゲやヒカゲチョウの他、
 若干のウラギンヒョウモン、ヒメシジミ、クジャクチョウを見ました。
■アサギマダラはSRS6518-6943の426頭に標識をしました。
 グランデコで筆者が標識した個体は総計5411頭となりました。
 本日は、例年ならば500頭から600頭は
 容易に標識できる時期なのですが、例年は朝早くから活動を始め、
 夕方まで遭遇できるのですが、今年は、朝9時すぎでないと
 ゲレンデに姿を現さず、午後は3時半頃に姿を消してしまうので、
 500頭を越すことは事実上不可能です。 
■雌は66頭で、割合は約15.5%でした(すべて未交尾)。
 これは前日と比べると著明な増加であり、
 一挙に異常な増加を示したことになります。
 理由の詳細は不明ですが、筆者が雌の大集団に遭遇した可能性もあります。
■古い個体は1例(SRS6204雄。0.2%)。
■翅の形に異常が見られる個体は0例。
■病気を持った個体は1例(SRS6811雌。0.2%)。
■小型の個体は8例見ました。
 SRS6521雄、6641雄、6651雄、6750雄、6829雄、
 6863雄、6872雄。6878雄。割合は1.9%です。
 例年のような著明な増加はまだ見られていません。
■ヘアペンシルを出した雄は0例。
■翅色の黒さの強い個体は5例いました。1.2%。すべて雄です。
 SRS6547雄、6608雄、6782雄、6814雄、6940雄。
 黒い個体の増加は秋に近づくときの特徴の一つです。
■「ストーカー」は0例。
 例年は8月下旬の始めには、「ストーカー」アサギマダラに数多く
 出合うものですが、今年は非常に少ないのが特徴です。
■翅の前後翅の白い領域の白さが特に明確で、コントラストの強い個体は0例。
■デコ平全域の頭数推定に関しては、
 前日の8月24日の再捕獲は3例で、前日は300例を標識しましたので、
 300×426/3=42600
 が推定値になります。ただし、再捕獲数が3頭と少ないので、
 この値は推定誤差の幅が大きくなっています。
■他の日に標識した個体の自己再捕獲の全体は以下の通りです。
 8月24日:3例(300例標識)。
 8月23日:6例(165例標識)。
 8月22日:4例(163例標識)。
 8月21日:1例(64例標識)。
 8月20日:9例(605例標識)。8月19日:9例(511例標識)。
 8月18日:7例(466例標識)。8月17日:2例(558例標識)。
 8月16日:2例(446例標識)。8月15日:10例(461例標識)。
 8月14日:1例(439例標識)。8月13日:1例(237例標識)。
 8月12日:2例(185例標識)。8月11日:1例(91例標識)。
 8月10日:0例(無標識)。8月9日:0例(34例標識)。
 8月8日:0例(74例標識)。8月7日:0例(無標識)。
 8月6日:0例(176例標識)。8月5日:0例(32例標識)。
■本日の再捕獲の総合計は58例でした。この58例という値と、
 昨日の8月24日までの標識総数5045例の値を用いると、
 推定頭数の概算は以下のように計算できます;
 5045×426/58=約37055。
 この推定値は前日の約43000という値よりやや低下しました。
 この変動は、誤差の範囲に入っている可能性があります。
■本日もアザミで吸蜜しているアサギマダラを1頭見ました。
 アザミがデコ平全域で開花を始めています。
■今朝の段階での北塩原村近域の予報は以下の通りでした:
 降水確率は0%(~12時)、10%(12~18時)、0%(18~24時)。
 天気は全体としては「晴れと曇り」と予想されており、
 3時間ごとの予想ではすべて晴れでした。
 結果は、その通りでしたが、上述のように終日低温気味でした。
 温度予想では、9時は17度で、最高は午後12、15時の19度でした。
 結果は、9時はもっと寒く、最高はその通りでした。
 それでもアサギマダラの活動が見られたのは、不思議です。
 アサギマダラが温度だけで活動を決めているのではないことが分かる例です。
 すなわち、同じ晴れの日でも、「寒くてもよく動くときがあるかと思えば、
 温度は20数度あっても、ぱったり姿が見られないときもある」のです。
 明日8月26日の予報は降水確率10%で、
 全体の予想は「晴れと曇り」です、3時間ごとの予想では、
 終日晴れとなっています。
温度予想では、最高が22度で今日よりも「若干寒さがゆるむ」日になりそうです。
■今年のグランデコは一貫して涼しい夏が続いています。
 東北では梅雨開け宣言のないまま8月が終わろうとしており、
 これは前例がありません。
 日本全体では8月の最低気温を更新しているということです。
 この異常気象の中で、いったいアサギマダラの旅立ちの開始は
 いつになるのでしょうか。
 あさってには高気圧が移動して、
 南からあたたかい風が流れこむため再び暑くなるという予報もある。
■夕方、グランデコホテルのハーブ園の周辺の庭を散歩しました。
 トゥルーラベンダーやチャイブは花が終わっていますが、
 可愛らしいタイムは花盛り、
 セイヨウノコギリソウはこれから開花という状況です。
 池のほとりのツリフネソウに、オニヤンマの仲間が止まっていましたが、
 左側の翅が伸びきっていませんでした。
 飛ぶことができないヤンマはどうなるのでしょうか。
 1本だけそこそこ紅葉の始まっているナナカマドの樹を見つけました。
 ここだけ見るとすでに秋が始まっています。
■ゴンドラから見ると、ヤマブドウの葉がうっすらと色づき初めています。
 ホウノキの細長い実も黄ばんで来ました。
 ゲレンデではノリウツギの装飾花のピンク色が強くなって来た株があります。
 山全体の樹林の色彩が緑一色から少しずつ多様な色彩に変化しています。
 秋を迎えつつある植物と、夏になりきっていない植物が混在する状況です。
■アサギマダラはおそらく十分に成熟しないと旅を始めないと思われます。
 その度合いはヨツバヒヨドリの開花状態と相関があると推測しています。
 グランデコのゲレンデのヨツバヒヨドリは
 まだまだ開花が続く余地を持っています。
 したがって、アサギマダラの旅立ちはもう少し後であろうと考えています。
■以上、グランデコ・アサギマダラ観察会・オフィシャルアドバイザー 栗田昌裕
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■筆者(栗田)が関わったアサギマダラの移動個体のリストおよび、
 それらを日付順に追った時系列的な表は
 筆者のHPの「2009年の移動調査記録」
 の頁に表示してあります:
   ●2009年アサギマダラ移動調査記録(SRS)
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■タテハチョウ科マダラチョウ亜科(以前はマダラチョウ科とすることもあった)アサギマダラ属アサギマダラ。学名Parantica sita 。英名Chestnut Tiger。
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■本ブログの総合的な画像目次や、ブログ内容を地域毎・テーマ毎にまとめた画像目次を下記のHPから見ることができます。
SRS研究所の公式HP[SRS速読法・SRS能力開発法指導]
<参考HP>
2009年アサギマダラ移動調査記録(SRS)
グランデコ・デコ平・裏磐梯でのアサギマダラ・自然旅行体験(SRS研究所)
3Dアサギマダラの世界(SRS)
SRSアサギマダラ生態図鑑
3Dアサギマダラの世界(SRS)
SRSアサギマダラ生態図鑑
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  • 2016/09/05(月) 09:49:36 |
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